地震予知連絡会の活動報告

第221回地震予知連絡会(2018年11月30日)議事概要

 平成30年11月30日(金)、国土地理院関東地方測量部において第221回地震予知連絡会が開催された。全国の地震活動、地殻変動等のモニタリングについての報告が行われ、その後、重点検討課題として「予測実験の試行05」に関する報告・議論が行われた。以下に、その概要について述べる。

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1.地殻活動モニタリングに関する検討

1.1 地殻活動の概況

(1)全国の地震活動について

 国内で2018年8月から10月までの3か月間に発生したM5以上の地震は40回であった(気象庁資料3頁)。

(2)日本周辺における浅部超低周波地震活動

 8月下旬、10月下旬に日向灘で超低周波地震活動が検出された(防災科学技術研究所資料4頁)。

(3)日本列島のひずみ変化

 GNSS連続観測によると、最近1年間の日本列島のひずみには、東北地方太平洋沖地震、熊本地震の余効変動、房総半島スロースリップ、及び北海道胆振東部地震の影響が見られる(国土地理院資料5頁)。

(4)全国の海底地殻変動観測結果化

 海底地殻変動観測によると、最近4年間の水平移動速度には、東北地方太平洋沖地震の余効変動、フィリピン海プレートの沈み込みに伴う変動が見られる(海上保安庁資料6頁)。

1.2 東北地方太平洋沖地震関連

 東北地方太平洋沖地震以降、東北地方から関東甲信越にかけて東向きの変動が見られ、累積水平変動は岩手川崎A観測点で最大約145cmに達している。また、上下変動は、宮城県から千葉県にかけての太平洋沿岸では隆起が、岩手県沿岸と奥羽脊梁山脈付近では沈降が見られる(国土地理院資料7−8頁)。海底地殻変動観測によると、釜石沖、宮城沖で陸側へ、福島沖、銚子沖で海溝側への変動が見られる(海上保安庁資料9−10頁)。

1.3 プレート境界の固着状態とその変化

(1)駿河トラフ・南海トラフ・南西諸島海溝周辺

・南海トラフ沿いの海底地殻変動観測結果
 西南日本の沖合いの海底において、北西方向の地殻変動が見られる。紀伊水道の観測点では、2017年以降、南向きの非定常な変動が見られ、紀伊水道沖合いでプレート間滑りが推定された(海上保安庁資料11−13頁)。

・西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況
 短期的スロースリップイベントを伴う顕著な微動活動が四国西部から豊後水道(9月29日から10月6日)、四国東部から中部(10 月31 日から 11 月8日)で発生した。それ以外の主な微動活動は、東海地方(10月7日から10日)、紀伊半島北部から南部(9月18日から10月1日)、四国東部から中部 (10月10日から15日)、四国中部(8月6日から12日)で発生した(防災科学技術研究所資料14−17頁)。そのうち、紀伊半島北部から南部及び四国西部から豊後水道の微動活動に同期した短期的スロースリップに伴う地殻変動がGNSSで検出され、プレート間滑りが推定された(国土地理院資料18−19頁)。

・九州北部の非定常地殻変動
 2017年1月から2018年1月の期間を定常変動とした場合、2018年4月から10月にかけて九州北部を中心に南東向きに最大1㎝程度のわずかな非定常変動が見られた。この非定常変動から、日向灘北部で最大14cmに達するプレート間滑りの発生が推定された(国土地理院資料20頁)。

1.4 その他

(1)平成30年北海道胆振東部地震(9月6日 〜最大M6.7)

 2018年9月6日に胆振地方中東部の深さ37kmでM6.7の地震が発生し、最大震度7を記録した。この地震は陸のプレート内で発生した。発震機構は東北東−西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。この地震の発生以降、地震活動が活発になり、10月31日までにM4.0以上の地震が53回、最大震度4以上の地震が23回発生した。地震活動は、南北方向に延びる長さ約30kmの領域を中心に発生しており、減衰しつつも継続している。地震は、地震本部が長期評価を行った断層の位置から離れた場所で発生している(気象庁資料21-27頁)。SAR及びGNSSで観測された地殻変動から、ほぼ南北走向の高角な断層面における逆断層運動が推定された。断層の上端は深さ約16kmに位置し、Mw6.6と推定された(国土地理院資料28−31頁)。本震後約24日後から余震活動が統計的なモデルの予測値からかい離する傾向が見られた。これは、対応する様に余震群の南端に群発型の群れが発生し始めたためである。また余震のb値の増加傾向が認められ、これはb値の高い浅い場所での余震活動の割合が増えたためと考えられる(統計数理研究所資料32頁)。本震発生後3時間の地震データに基づくリアルタイム余震確率予測から、本震後に大きい地震が発生する確率が大阪北部地震より高いことが示された(統計数理研究所資料33頁)。

(2)インドネシア・スラウェシ島、ミナハサ半島の地震(9月28日 Mw7.5)

 2018年9月28日にインドネシア・スラウェシ島、ミナハサ半島の深さ10kmでMw7.5の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型であった(気象庁資料34−35頁)。SAR解析の結果、震央付近から南側で顕著な変動が見られ、変動域は約160㎞の範囲に及んでいることが分かった。震源域の南部では約5m程度の変位が見られ、南北走向の断層に沿った左横ずれ運動と調和的である(国土地理院資料36-38頁)。

2.重点検討課題「予測実験の試行05」の検討

 これまで行ってきている予測実験の試行の報告を行うとともに、スロースリップの地震活動への影響や北海道東方沖の地震活動の静穏化に関する地殻活動の現状について検討が行われた(コンビーナ:気象研究所・橋本徹夫委員資料41−42頁)。

◆群発的地震活動を前震活動と仮定して行う本震の発生予測手法(最近の活動事例による検証)と沖縄地方の繰り返し地震

 群発的地震活動を基にした最近1年間の本震の発生予測に関する報告があった。日本海溝沿い等の領域を対象に試行した結果、前震と判断され、その後本震が発生する事例はなかった。さらに、沖縄地方における繰り返し地震の発生状況とその発生予測について報告があった。宮古島近海や沖縄本島近海(国頭村東方沖)における2018年の活動では、発生確率が70%と予測された期間内に繰り返し地震が発生した領域があったことが報告された(気象研究所・橋本徹夫委員資料43頁)。

◆CSEP参加グループによる予測手法:予測と実際の活動の比較検証(3)

 関東の地震活動の予測の評価について報告があった。モデルの改良により、予測性能を示す情報利得値が向上することが示された。一方、地震発生数の予測については、予測モデル毎に結果に差があることが示され、発生数の予測精度を考慮したモデルの改良も重要であることが指摘された(東京大学地震研究所・鶴岡弘准教授資料44頁)。

◆スロー地震と巨大地震の関係

 海外のプレート境界付近の固着域周辺で発生した最近のスロー地震と巨大地震の関係について紹介があった。スロー地震のすべりが、巨大地震発生前に加速を示す事例は見つかっておらず,長期評価と組み合わせて,プレート境界の滑り速度の変化に基づいた確率論的な地震発生予測モデルの構築が必要不可欠であることが指摘された(東京大学地震研究所・加藤愛太郎准教授資料45頁)。

◆北海道東部の最近の地殻変動

 GEONET観測による最近の地殻変動と潮位観測による長期間の上下変動について報告があった。地震活動の静穏化が終息以降、GNSS観測において顕著な変化は見られないものの、根室付近の沈降速度がわずかに増加している可能性が示唆された。潮位データから推定される地盤の上下変動に近年見られる変化には、東北地方太平洋沖地震による広域の地殻変動や海面上昇の影響が含まれる可能性があることが指摘された(国土地理院・矢来博司委員資料46頁)。

◆北海道東方沖の地震活動の相対的静穏化を受けた他の物理量変化の検討

 北海道東方沖における地震活動や地殻変動の解析で見られている相対的な変化について紹介があった。2015年頃まで、地震活動の顕著な静穏化、地震の発生数と規模の関係を示すb値の低下、プレート間固着の変化が見られていたことが報告された。先行的な変化が中・長期的に見られていることから、戦略的な多種目の調査と解析の検討に今後取り組む必要性が指摘された(海洋研究開発機構・堀高峰委員資料47頁)。

3.次回(第222回)重点検討課題「南西諸島域の地殻活動」の趣旨説明

    

 第222回地震予知連絡会の重点検討課題として、「南西諸島域の地殻活動」を取り上げる。陸・海域の地震観測や地殻変動観測、構造探査等で明らかになった地殻活動について紹介し、その現状について議論する(コンビーナ:鹿児島大学・中尾茂委員資料48頁)。

各機関からの提出議題

《地殻活動モニタリングに関する検討》

【1】気 象 庁
1.地殻活動の概況
 a.地震活動
  O 全国M5.0以上の地震と主な地震の発震機構
    ・2018年08月〜10月の全国の地震活動概況を報告する。
 b.地殻活動
2.東北地方太平洋沖地震関連
  S 東北地方太平洋沖地震余震域の地震活動
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
  S 青森県東方沖の地震(8月24日 M5.1)
  S 青森県東方沖の地震(9月11日 M5.0) 
  S 宮城県沖の地震(9月19日 M5.0) 
  S 福島県沖の地震(10月22日 M5.0) 
  S 宮城県沖の地震(10月26日 M5.7) 
  S 硫黄島近海の地震(8月17日03時21分、03時23分 M6.3、M6.6)
  S 埼玉県南部の地震(9月18日 M4.3)
  S 千葉県北東部の地震(10月12日 M5.2)
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
  S  東海・南関東地方の地殻変動
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 南海トラフ沿いの地震活動
  S 東海地域から豊後水道にかけての深部低周波地震活動
  S 南海トラフ沿いの長期的スロースリップの客観検知
  S  東海・南関東地方の地殻変動
  S  紀伊半島北部から東海の深部低周波地震活動と短期的ゆっくりすべり(9月18日〜10月17日)
  S  徳島県から豊後水道の深部低周波地震活動と短期的ゆっくりすべり(8月6日〜13日)
  S  四国の深部低周波地震活動と短期的ゆっくりすべり 
                     (9月29日〜10月15日、10月10日〜15日、10月30日〜)
  S  紀伊半島西部の深部低周波地震活動と短期的ゆっくりすべり ※期間外(11月3日〜)
 d.その他
  S 全国GNSS観測点のプレート沈み込み方向の位置変化
4.その他の地殻活動等
  O 「平成30年北海道胆振東部地震」の活動(9月6日〜 最大M6.7) 
    ・2018年9月6日03時07分に胆振地方中東部の深さ37kmでM6.7の地震が発生した。この地震は陸のプレート内で発生した。発震機構(CMT解)は東北東−西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。
     この地震の発生以降、地震活動が非常に活発になり、同日06時11分にこの地震の震央付近の深さ38kmでM5.4の地震(最大震度5弱)が発生するなど、10月31日までにM4.0以上の地震が53回、
     最大震度4以上の地震が23回発生している。
     地震活動は、南北方向に延びる長さ約30kmの領域を中心に発生しており、減衰しつつも継続している。
  S 国後島付近の地震(10月26日、11月5日 M5.5、M6.3)※期間外含む
  S オホーツク海南部の地震(11月2日 M6.1)※期間外
  S 三陸沖の地震(8月8日 M5.6)
  S 福島県沖の地震(8月11日 M5.0) 
  S 茨城県沖の地震(9月5日 M5.5) 
  S 千葉県南東沖の地震(9月10日 M4.7) 
  S 茨城県北部の地震(9月14日 M4.9) 
  S 千葉県東方沖の地震(10月4日 M4.7) 
  S 愛知県東部の地震(10月7日 M5.0) 
  S 栃木県北部の地震(10月15日 M3.7) 
  S 茨城県沖の地震(10月27日 M5.0) 
  S 松代における地殻変動観測
  S 紀伊水道の地震(11月2日、5日 M5.4、M4.6)※期間外	
  S 内陸の地震空白域における地殻変動連続観測
  S 熊本県熊本地方の地震(8月22日 M4.1)
  S 「平成28年(2016年)熊本地震」の活動域における地震の発生状況	
  S 沖縄本島近海の地震活動(9月15日〜 最大M6.2)
  S 与那国島近海の地震(10月23日、24日 M6.1、M6.3)
  S インドネシア、スンバワの地震(8月5日 Mw6.9)
  S ローヤリティー諸島南東方の地震 (8月29日 Mw7.1)
  O インドネシア、スラウェシ、ミナハサ半島の地震(9月28日 Mw7.5)
    ・2018年9月28日19時02分(日本時間、以下同じ)にインドネシア、スラウェシ、ミナハサ半島の深さ10kmでMw7.5の地震が発生した。
     この地震の発震機構(気象庁によるCMT解)は北西−南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型である。
     この地震により発生した津波などで、スラウェシ島の州都パルを中心に少なくとも死者2090人以上の被害が生じた(10月12日現在、インドネシア国家防災庁による)。

【2】国土地理院 
1.地殻活動の概況
 b.地殻変動
  O GEONETによる全国の地殻水平変動
    ・GEONETによるGNSS連続観測から求めた最近1年間及び3か月間の全国の水平地殻変動を報告する。
  O GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差
    ・最近3か月間の水平方向の地殻変動について、1年前の同時期の水平変動ベクトルとの差を取って得られた非定常的な変動の概況を報告する。
  O GNSS連続観測から推定した日本列島のひずみ変化
    ・GNSSデータから推定した日本列島の最近1年間のひずみ変化の概況を報告する。
2.東北地方太平洋沖地震関連
  O 地殻変動ベクトル
    ・東北地方太平洋沖地震後における水平・上下の地殻変動について、全期間の累積及び最近3か月間の変動の概況を報告する。
  O GNSS連続観測時系列
  ・東北地方太平洋沖地震後の東日本におけるGNSS連続観測の時系列の概況を報告する。
  S 成分変位と速度グラフ
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺	
  S 北海道太平洋岸 GNSS連続観測時系列
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下  
  S 伊豆半島・伊豆諸島の水平上下変動
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 森〜掛川〜御前崎間の上下変動 電子基準点の上下変動 水準測量とGNSS連続観測
  S 森〜掛川〜御前崎間の上下変動 高精度比高観測点の上下変動 水準測量とGNSS連続観測
  S 森〜掛川〜御前崎間の上下変動 高精度比高観測
  S 御前崎周辺 GNSS連続観測時系列
  S 駿河湾周辺 GNSS連続観測時系列
  S 東海地方の地殻変動
  S 東海地方の非定常地殻変動
  O 奈良県から愛知県の深部低周波微動と同期したスロースリップ
    ・9月18日から10月17日まで、紀伊半島北部から東海において発生した深部低周波微動と同期して、GNSSでもわずかな地殻変動を観測したので、その概況を報告する。
  S 紀伊半島 電子基準点の上下変動 水準測量とGNSS連続観測
  S 和歌山県田辺市〜串本町間の上下変動 水準測量
  S 和歌山県串本町〜新宮市間の上下変動 水準測量
  S 紀伊半島の各水準点の経年変化
  S 南海トラフ周辺 GNSS連続観測時系列
  S 南海トラフ沿いの地殻変動
  S 南海トラフ沿いの非定常地殻変動
  O 四国西部の深部低周波微動と同期したスロースリップ
    ・9月29日から10月15日まで、四国西部において発生した深部低周波微動と同期して、GNSSでもわずかな地殻変動を観測したので、その概況を報告する。
  S 室戸岬周辺 電子基準点の上下変動 水準測量とGNSS連続観測
  S 高知県香南市〜室戸市間の上下変動 水準測量
  S 徳島県美波町〜高知県室戸市間の上下変動 水準測量
  S 1896年を基準とした室戸地方の各水準点の経年変化
  O 九州北部の非定常水平地殻変動
    ・2018年6月頃から、九州北部においてこれまでの傾向とは異なる地殻変動をGNSSで観測したので、その概況を報告する。
4.その他の地殻活動等
  O 平成30年北海道胆振東部地震に伴う地殻変動 地殻変動ベクトルとGNSS連続観測時系列
    ・平成30年北海道胆振東部地震に伴う地殻変動の概況を報告する。
  O 平成30年北海道胆振東部地震に伴う地殻変動 SAR干渉解析結果
    ・平成30年北海道胆振東部地震に関する「だいち2号」データの解析結果を報告する。
  O 平成30年北海道胆振東部地震に伴う地殻変動 震源断層モデル
    ・「だいち2号」及びGNSSで観測された地殻変動を基に推定された震源断層モデルについて報告する。
  S 伊豆東部地区 GNSS連続観測時系列
  S 伊豆諸島地区 GNSS連続観測時系列
  S 鳥取県琴浦町〜岩美町間の上下変動 水準測量
  O インドネシア・スラウェシ島の地震に伴う地殻変動
    ・インドネシアのスラウェシ島で発生した地震に関する「だいち2号」データの解析結果を報告する。

【3】北海道大学
1.地殻活動の概況
 a. 地震活動
  S 平成30年北海道胆振東部地震の余震活動

【4】東北大学理学研究科・災害科学国際研究所

【5】東京大学理学系研究科・地震研究所

【6】東京工業大学

【7】名古屋大学

【8】京都大学理学研究科・防災研究所
4.その他の地殻活動等
  S 近畿地方北部の地殻活動
  S 地殻活動総合観測線

【9】九州大学

【10】鹿児島大学

【11】統計数理研究所
1.地殻活動の概況
 a.地震活動
  O 2018年大阪北部及び胆振地方の地震に対するリアリタイム余震確率予測
    ・Hi-netの自動処理震源カタログを用いた余震活動のリアルタイム予測システムを開発し、その試験運用を防災科学技術研究所にて行っている。
     本システムは本震の3時間後から予測を開始し、初期の余震データの欠損や推定の不確定性を考慮している。これによる2018年6月18日の大阪府北部の地震(M6.2)や2018年9月6日の北海道胆振地方の地震(M6.6)の
     予測結果を示す。
     また2016年の熊本地震のデータを用いたレトロスペクティブな予測実験を行い、大きな地震を予測する上での有用性も示した。
  O 北海道胆振東部地震の余震活動の特徴について
    ・(1)下限M1.5の余震活動に本震後24日(9月29日)頃ETASの背景地震活動強度μ(t) が10倍近く上昇し漸減している。対応する様に余震群の南端で「群発型」の群れが認められる。
     (2)対数スケールの時間経過に対して、b値には緩やかな増加トレンドが認められる。しかし空間分布には明瞭な位置依存性があり特に浅部のb値が大きい。
        従って増加トレンドは、マイグレーションによる浅部余震の割合増加の為である可能性が高い。
     (3)下限M3.0の余震活動が本震から1週間後、相対的に静穏化し、その後M5クラスの余震が頻発した。静穏化の理由について考えうる1シナリオを述べた。

【12】防災科学技術研究所
3.プレート境界の固着状態とその変化
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  O 日本周辺における浅部超低周波地震活動
    ・期間内には、顕著な活動ではないものの、8月下旬および10月下旬に超低周波地震活動が検出された。
  S 南海トラフ周辺における最近の傾斜変動
  O 西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況
    ・短期的スロースリップイベントを伴う顕著な微動活動が、四国西部から豊後水道で9月29日〜10月6日にみられ、四国東部から中部で10月31日〜11月6日にみられた。
     また、それ以外の主な微動活動が、紀伊半島北部から南部で9月18日〜10月1日に、四国東部から中部で10月10日〜15日に四国中部で8月6日〜12日にみられた。
4.その他の地殻活動等
  S 平成30年北海道胆振東部地震

【13】産業技術総合研究所
3.プレート境界の固着状態とその変化
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 東海・伊豆地域における地下水等観測結果(2018年8月〜2018年10月)
  S 紀伊半島〜四国の地下水・歪観測結果(2018年8月〜2018年10月)
  S 東海・紀伊半島・四国における短期的スロースリップイベント(2018年8月〜2018年10月)
4.その他の地殻活動等
  S 神奈川県西部地域の地下水位観測(2018年8月〜2018年10月)
                          -- 神奈川県温泉地学研究所・産総研
  S 岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(2018年8月〜2018年10月)
  S 近畿地域の地下水・歪観測結果(2018年8月〜2018年10月)
  S 鳥取県・岡山県・島根県における温泉水・地下水変化(2018年5月〜2018年10月)
                              -- 鳥取大学工学部・産総研

【14】海上保安庁
2.東北地方太平洋沖地震関連
  O 日本海溝沿いの海底の水平地殻変動
    ・海上保安庁が日本海溝沿いで実施している海底地殻変動観測について、東北地方太平洋沖地震後の観測結果を報告する。
3.プレート境界の固着状態とその変化
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  O 南海トラフ沿いの海底の水平地殻変動
    ・海上保安庁が南海トラフ沿いで実施している海底地殻変動観測について、観測結果を報告する。

【15】海洋研究開発機構

【16】その他の機関
記載分類は以下のとおりとなっています。
1.地殻活動の概況
 a.地震活動
 b.地殻変動
2.東北地方太平洋沖地震関連
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
 d.その他
4.その他の地殻活動等

 ・口頭報告(O)
 ・資料提出のみ(S)