国土地理院のGNSS連続観測により、プレート境界面上での固着により大陸プレートが海洋プレートに引きずり込まれる方向へ動く地殻変動が、大きな地震の影響を受けている期間を除き、日本の広い範囲において観測されています。ところが、この通常の傾向とは異なる地殻変動が、房総半島や東海地方、四国地方などで繰り返し観測されています。
このような非定常地殻変動は、スロースリップと呼ばれる、プレート境界面上での固着により引きずり込まれる方向とは逆向きのすべりによって、引き起こされていると考えられています。
プレート境界で発生するスロースリップは、さらに短期的スロースリップと長期的スロースリップに分けられます。短期的スロースリップは、およそ数日間かけて発生する現象で、東海地方や四国地方では数か月に1回の頻度で発生していることが知られています。また、長期的スロースリップは、数か月から数年かけて、プレート境界がゆっくりすべる現象で、東海地方や四国地方では、過去に繰り返し発生していたと推定されています。スロースリップは、南海トラフ地震などの巨大地震との関連性が指摘されており、巨大地震の震源域に与える影響等、巨大地震の発生メカニズム解明のための研究対象として注目されています。
国土地理院では、短期的・長期的スロースリップに伴う非定常地殻変動を監視し、関係会議において定期的に報告しています。最新の情報については、下記をご覧ください。
【南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会 国土地理院分記者会見資料】
【地震予知連絡会】