地震予知連絡会の活動報告

第119回地震予知連絡会(1996年5月20日) 議事概要

 平成8年5月20日、国土地理院関東地方測量部において、第119回地震予知連絡会が開催され、国立大学、関係観測機関等から地震活動、地殻活動の観測データの報告があり、議論が行われました。

 以下に主な議事の概要を紹介します。

1.東海地方の地震・地殻活動

 最近3ヶ月(8年2〜4月)の東海・南関東地域の地震活動では、3月の駿河湾内の活動、新島・神津島の群発活動、伊豆半島東方沖の活動、山梨県東部の地震等が目立つ(気象庁資料)。東海地震の想定震源域周辺の地震活動は、駿河湾内の北側では活動が見られるが、南半分では依然低調である(気象庁資料)。特に、最近、駿河湾内石花海付近においてややまとまった活動があり、これまでのデータとあわせて震源再決定を行い、その活動度の時間的変化を調べた(防災科学技術研究所資料1資料2)。震源再決定の結果、駿河湾内の地震は深さ10km程度に決まり、ルーチン処理によるものよりやや浅い。特に、石花海を囲む領域(図中Region A)について、1980年からの地震データを用いて、積算地震回数とb値の時間変化を調べたところ、1989年ころと1995年以降に活発化したことが明らかになった。しかし、b値で見ると、1989年頃はこの期間中で最大であったのに対し、1995年ころからは減少している傾向になり、異なる性格を持っていることが示唆される。

 地殻変動では、森〜掛川〜御前崎の水準測量の結果、長期的には沈降が継続しているものの、短期的には鈍化の様相も見られる(国土地理院資料資料2)。今後のデータの蓄積が待たれる。

2.山梨県東部の地震

 平成8年3月6日、山梨県東部でM5.8の地震が発生した。余震は、2日程度でほぼ収まっている((気象庁資料)。過去のこの地域の地震活動を調査したところ、1983年8月にM6.0、1988年9月にM5.6が発生しているが、今回も含めて震源分布の中で活動が低調な領域で発生しており(防災科学技術研究所資料)。さらに深さ方向に領域を分けてみると今回の活動域とその東側の北東側で深さ21〜24kmの領域、北側の浅いところなどの活動が依然低調であることが明らかになった(防災科学技術研究所)。

3.神津島・新島付近の地震活動

 平成8年4〜5月に、また、神津島・新島付近で群発地震活動が発生した。昨年10月の活動とは異なり、今回は新島と神津島間の神津島よりで発生した(気象庁資料)。この地域は、1990年頃からたびたび群発地震活動を繰り返しており、幾つかのクラスター構造を持って発生していることも報告された。

4.東京周辺の浅発地震活動

 東京周辺の浅発地震活動を、発破の影響の無い夜間の地震活動で調べた(防災科学技術研究所資料2)。東京周辺では、町田、川崎、東京湾北部の他、埼玉県内の4カ所に地震のクラスターが見られる。それぞれについて、時間変化を見ると、特に埼玉県中部のクラスターの活動が、1980年代の終わり頃から低調になっていることが注目される。

(事務局:国土地理院)