地震予知連絡会の活動報告

地震予知連絡会強化地域部会(1995年10月16日) 議事概要

 平成7年10月16日、関東地方測量部において、地震予知連絡会強化地域部会(部会長宇津東大名誉教授)が開催され、伊豆半島東方沖及び南方沖の地震活動、東海地方の地殻活動について、関係機関、大学より観測・研究成果の報告があり、これについて議論を行った。以下に主な議論の概要を示す。

1.伊豆半島東方沖の地震活動

 伊豆半島東方沖では、9月11日から小さな活動が見られた後、9月29日より活発な群発地震活動が始まり、有感地震148回を含む9380回にのぼる(10月16日9時まで)地震が発生している(気象庁資料)。地震は川奈先沖に固まって発生しているが、特に9月29日以降は、10kmより浅いところで発生している(気象庁資料)。

 歪・傾斜等の地殻変動連続観測では、東伊豆の歪と伊東の傾斜に9月29日以来大きな変化が見られるが、その変化も10月6日頃から鈍化している(気象庁資料)。伊豆半島東岸を熱海から河津にいたる水準測量の結果、伊東市南部の水準点9338付近を中心とする約3cmの隆起が明らかになった。(国土地理院資料)。1989年、1993年の群発地震に伴う隆起と比較すると、活動毎に隆起のピークの位置が南方に移動していることがわかる。GPS連続観測では、9月28日より小室山と初島間の距離が約9cm伸びるなど、大きな変動を捉えている(国土地理院資料1資料2資料3)。小室山と初島間の距離の変化は6日頃から鈍化してきた。

 1989年、1993年の活動と傾斜変化の大きさを比べてみると、1993年は1989年の約半分で、今回はさらにその半分であることがわかる(防災科学技術研究所資料)。

2.伊豆半島南方沖の地震活動

 伊豆半島南方沖神津島近海に10月6日より地震活動が続いている。この活動は、散発的に発生しており、時間的に固まった幾つかのグループが見られるが、日を追うごとに震源が南西に深くなる傾向が見られる(気象庁資料)。過去のこの地域の顕著な地震(M6以上)を調べてみると、伊豆諸島から東海地域にかけての領域内において、かなり離れたところで時間的に近接した発生した例がよく見られる(東大地震研究所資料)。今回の伊豆半島東方沖の活動とならべてみると、お互いに相補的に活動しているように見える(茂木会長資料)。

 伊豆諸島のGPS連続観測から、これまで伸び続けてきた新島−神津島間が、今回の活動に伴って縮んでいることが明らかにされた(国土地理院資料1資料2)。

(事務局:国土地理院)