地震予知連絡会の活動報告

第135回地震予知連絡会(1999年11月15日) 議事概要

 平成11年11月15日、国土地理院関東地方測量部において、第135回地震予知連絡会が開催された。全国の地震活動、地殻変動の概況の報告および東海、中国・四国、九州の地殻活動等について、大学、関係観測研究機関より観測・研究成果の報告があり、議論がなされた。次に今回のトピックスとしてトルコと台湾で最近発生した大地震に関連して、大学・関係機関等からこれまでの観測・調査結果の報告があり、討議が行われた。また、10月に行われたGPS国際シンポジウムにおけるGPSによる地殻変動検出等の動向についての報告がなされた。

 以下に、観測調査結果の報告と討議の内容について、その概要を述べる。

1.東海地方の地殻活動

 御前崎地方の地殻変動については、10月の水準測量結果によると、浜岡の水準点2595は前回観測よりも1.8mm隆起した。年周変化を取り除いた後の値では10.7mmの隆起であった。こうした現象は以前の観測でもみられたことがあるため、特段の異常とは思われない。
 水準点2595(浜岡町)の経年変化 (国土地理院資料)

2.中国・四国地方の地震活動

 瀬戸内海の愛媛・香川県境沖では今年3月頃から微小地震の活動があったが、10月にやや活発化して、10月30日にM4.5の地震が発生した。現在もこの活動は続いている。中央構造線の近傍で起きた活動のため、同構造線との関連性について議論がなされたが、中央構造線自体の活動の変化を示すような観測結果は見られていない。
 瀬戸内海中部(愛媛・香川県境沖)の地震活動(1)(気象庁資料)
 瀬戸内海中部(愛媛・香川県境沖)の地震活動(2)(気象庁資料)

3.九州地方の地震活動

 熊本地方では、10月31日にM4.0の地震が発生して一時的に地震活動が活発化し、11月10日にはその活動域内でM4.3の地震が発生した。震源は日奈久断層北部に集中しており、同断層との関連が議論された。
 熊本県地方の地震活動(気象庁資料)

4.トルコの地震

 8月17日に発生したトルコの地震(M7.4)に関連して、本震前後の地震活動について報告があった。これによると本震以前の6年間の観測では、今回の本震の震源周辺で明瞭な地震活動が見られていたことが示された。また、余震域の広がりと、地表に現れた地震断層との一致が示された。11月12日に発生した地震(M7.0)は8月の地震断層の東側延長上の破壊によるものと考えられる。
 1999年トルコ・コジャエリ地震前後の地震活動(1)(東京工業大学資料)
 1999年トルコ・コジャエリ地震前後の地震活動(2)(東京工業大学資料)

5.台湾の地震

 9月21日に発生した台湾中部の地震(M7.7)に関連して、地震活動、地殻変動等の調査結果が報告された。台湾周辺の地震活動については、本震発生の1年前からの傾向に特段の変化は見られなかった。台湾における被害地震の分布から見ると本地震は台湾中央部のプレート収束帯での一連の地震の一つと考えられる。 GPS観測結果からは定常的なプレート収束の速度が台湾の南部と北部で異なっているが、今回の地震はその境界付近で起きていることが示された。
 台湾付近の地震活動(1)(気象庁資料)
 台湾付近の地震活動(2)(気象庁資料)
 台湾付近の地震活動(3)(気象庁資料)
 地震前の台湾における地表変位場(東京大学地震研究所資料)

(事務局:国土地理院)

各機関からの提出議題

【1】気象庁
  A1 全国のM5以上の地震活動と主な地震のメカニズム
  A1 北海道地方とその周辺の地震活動
  A1 東北地方とその周辺の地震活動
  A1 関東・中部地方の地震活動
  A1 近畿地方とその周辺の地震活動
  A1 中国・四国地方とその周辺の地震活動
  A1 九州地方とその周辺の地震活動
  A1 沖縄地方とその周辺の地震活動
  C 燧灘の地震と地学的意味
  C 豊予海峡の地震空白域と非地震性すべり
  A5 気象庁の資料およびその他の資料に基づく今世紀の台湾の地震について
  A5 台湾の過去の主な地震と集集地震

【2】国土地理院
  A2 GEONETによる最近1年間の地殻水平変動
  A2 GEONETによる最近3ヶ月の地殻水平変動
  A2 GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差
  C 各地方毎の験潮場間の月平均潮位差
  A2 森〜掛川〜御前崎間の上下変動
  A2 水準点(140-1,2595)の経年変化
  A2 水準点2595(浜岡町)の経年変化
  C 掛川〜御前崎間の各水準点の経年変化
  A2 水準点2602-1(菊川町)と10333(大東町)及び2601(小笠町)の経年変化
  A2 水準点2602-1(菊川町)と2601(小笠町)の経年変化
  A2 水準測量(10333及び2601)による傾斜ベクトル(月平均値)
  C GPS連続観測結果駿河湾周辺
  A2 GPS連続観測結果 掛川・御前崎周辺
  C 御前崎長距離水管傾斜計月平均(E−W)
  C 地中地殻活動観測装置観測結果
  C 伊東東部連続観測(辺長)日平均結果
  C GPS連続観測結果伊東・初島周辺
  C GPS連続観測結果伊豆諸島北部周辺
  C 鹿野山精密辺長連続観測結果
  C GPS連続観測結果岩手山周辺
  C 岩手山連続観測(辺長)日平均結果
  C 岩手山麓における全磁力連続観測
  B 干渉SARによる岩手県内陸北部地震に伴う微小断層変位検出
  C 跡津川断層(有峰湖地区)精密辺長測量結果
  C 跡津川断層(神岡地区)精密辺長測量結果
  C 跡津川断層(宮川地区)精密辺長測量結果
  C GPS連続観測結果 上高地周辺
  A2 GPS連続観測結果 瀬戸内海中部
  C 久留米市〜日田市〜佐賀関町間の上下変動
  B 国内VLBI(国内超長基線測量)観測結果
  C 国際VLBI(国際超長基線測量)観測結果

【3】北海道大学
  C 北海道とその周辺の地震活動(1999年8月〜10月)

【4】東北大学
  C 東北地方およびその周辺の微小地震活動(1999年8月〜1999年10月)・
  C 東北地方における地殻変動連続観測(1999年10月まで)・

【5】東京大学大学院理学系研究科
  C 福島県東部,伊豆半島,東海地域におけるラドン観測

【6】東京大学地震研究所
  A4 東海地方の上下変動(1962〜1999)
  A4 東海地方と伊豆半島西岸の上下変動の比較(1999年まで)
  A4 伊豆半島の上下変動(1980〜1999)
  C 伊豆半島付近の地震活動(1999年8月〜10月)
  C 浅部ボアホールにおける歪観測(網代,内浦,御前崎,河津,和歌山)
  C 伊豆半島東部地域の全磁力観測(1998年11月〜1999年10月)
  C 関東甲信越地域の地震活動(1999年8月〜10月)
  C 紀伊半島およびその周辺部の地震活動(1999年8月〜10月)
  C 瀬戸内海西部とその周辺地域の地震活動(1999年8月〜10月)
  A5 1999年台湾地震とその余効的地殻変動
  A5 GPSの最近の動向(GPS国際シンポジウム報告)

【7】東京工業大学
  A4 伊豆半島における全磁力変化について
  A5 1999年トルコ地震発生前後の観測データの予備的解析について

【8】名古屋大学
  C 東海地域の地震活動(1999年8月〜10月)
  C GE0NETでとらえた豊後水道のSlow Thrust Slip Event

【9】京都大学
  C 1999年飛騨山脈の群発地震活動
  C 北陸近畿および近畿山陰地殻活動総合観測線における連続観測結果
                     (1998年11月〜1999年10月)
  C 西南日本内陸部の地震活動
  C 兵庫県南部地震前後の徳島県北東部の浅発微小地震活動
  A4 1999年10月30日の瀬戸内海中部の地震(M=5.1)について
  A4 1999年燧灘の群発的地震活動(高知大学)
  A5 1999年台湾地震について

【10】九州大学
  C 九州の地震活動(1999年8月〜1999年10月)
  C 九州南部の地震活動(1999年8月〜1999年10月)(鹿児島大)

【11】防災科学技術研究所
  C 関東・東海地域における最近の地震活動(1999年8月〜10月)
  C 関東・東海地域における最近の地殻傾斜変動(1999年8月〜10月)
  C 関東・東海地域におけ電磁界変動観測結果
  C トルコ北西部の地震に係る高精度余震観測

【12】地質調査所
  A4 1995〜1998年に発生した4度の伊豆半島東方沖群発地震時の大室山北観測井の
    地下水位と東伊豆観測点の体積歪における変化について
  C 東海・伊豆地域におけるテレメータによる地下水等観測結果(1999年5月〜10月)
  C 長野県西部・岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果5
    (1999年8月〜10月)

  C 近畿地域の地下水位・歪観測結果(1999年8月〜10月)
  C 有馬−高槻−六甲断層帯近傍における地殻活動観測結果(1999年8月〜10月)
  A4 地質調査所GPS連続観測網の初期成果及び地下水位との比較
  A5 1999年トルコ・イズミット(コジャエリ)地震の地表地震断層の調査結果
  A5 1999年台湾集集地震(M7.7)に伴う地表地震断層の調査結果
  B 平成10年度活断層・古地震研究調査概要報告書の出版について

【13】水路部
  C GPS地殻変動監視観測

【14】通信総合研究所
  B 首都圏広域地殻変動観測における宇宙測地技術のコロケーション比較

【15】その他
  A5 台湾東部における光波測量結果(恒石・許)
A1〜Cの分類は以下のとおりとなっています。
(A1)この間における全国の地震活動の報告と質疑
(A2)この間における全国の地殻変動の報告と質疑
(A3)地震活動,地殻変動以外の観測結果の報告と質疑
(A4)各地域についての詳細検討
(A5)トピックス
(B) 話題提供等
(C) 資料提出等
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