地震予知連絡会の活動報告

第207回地震予知連絡会(2015年5月22日)議事概要

 平成27年5月22日(金)、国土地理院関東地方測量部において第207回地震予知連絡会が開催された。始めに第24期地震予知連絡会の体制が決定された。次に、全国の地震活動、地殻変動等のモニタリングについての報告が行われ、続いて、重点検討課題として「予測の根拠となるモニタリングデータと処理方法」に関する報告・議論が行われた。最後に次回の重点検討課題「予測実験の試行について」に関する趣旨説明等が行われた。以下に、その概要について述べる。

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「地殻活動のモニタリングに関する検討」資料説明映像  (26MB,約15分)
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1.第24期の地震予知連絡会の体制について

 全会一致で平原和朗委員が会長に選出された。平原会長により、松澤暢委員と山岡耕春委員が副会長に指名された。松澤暢委員が東日本部会長に、平田直委員が中日本部会長に、澁谷拓郎委員が西日本部会長に、山岡耕春委員が重点検討課題運営部会長に指名された。北海道大学・高橋浩晃准教授が新たに委員に就任した(地震予知連絡会委員第24期名簿1頁)。

2.地殻活動モニタリングに関する検討

2.1 地殻活動の概況

(1)全国の地震活動について

 国内で2015年2月から2015年4月までの3か月間に発生したM5以上の地震は35回であった。目立った活動としては、2月17日の三陸沖の地震(M6.9)、 4月20日の与那国島近海の地震(M6.8)が挙げられる(気象庁資料5頁)。

(2)日本周辺における浅部超低周波地震活動

 2月末から3月上旬及び4月下旬から5月初めにかけて十勝沖で、5月上旬から日向灘周辺で超低周波地震活動があった(防災科学技術研究所資料6頁)。

(3)日本列島のひずみ変化

 東北地方太平洋沖地震後の余効変動の影響や長野県北部の地震の影響が見られる(国土地理院資料7頁)。

2.2 東北地方太平洋沖地震関連

 東北地方太平洋沖地震以降の累積水平変動には、東北地方から関東甲信越にかけて東向きの変動が見られ、岩手川崎A観測点で最大約119cmに達している。また、上下変動には、宮城県から千葉県にかけての太平洋沿岸と関東甲信越地方及び青森県から北海道の襟裳岬付近にかけた地域に隆起が、岩手県沿岸と奥羽脊梁山脈付近に沈降が見られ、M牡鹿観測点で最大約40cmの隆起が観測されている(国土地理院資料8-9頁)。2015年1月までの海底地殻変動のデータには、宮城沖1及び釜石沖1で西向きの地殻変動が引き続き見られる(海上保安庁資料10頁)。

2.3 プレート境界の固着状態とその変化

(1)日本海溝・千島海溝周辺

・三陸沖の地震
 2015 年2月17 日に三陸沖でM6.9 の地震(最大震度4)が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した。この地震は東北地方太平洋沖地震の余震域で発生した。岩手県の久慈港で27cmの津波を観測したほか、北海道から岩手県の太平洋沿岸で微弱な津波を観測した。今回の地震の発生後、この地震の震央周辺で、最大震度1以上を観測する地震が2月28 日までに12回発生し、地震活動が活発になった(気象庁資料11項)。2月17日の三陸沖の地震に伴い、わずかな地殻変動が検出された(国土地理院資料12項)。

・宮城県沖の地震
 2015 年5月13 日に宮城県沖でM6.8 の地震(最大震度5強)が発生した。この地震は、発震機構が東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した(気象庁資料13項)。また、今回の地震に伴い、約2cmの地殻変動がGNSS観測により検出された(国土地理院資料14項)。

(2)南海トラフ・南西諸島海溝周辺

・豊後水道の長期的スロースリップ
 2014年夏頃から始まった豊後水道付近の長期的スロースリップは、現在は停滞している(国土地理院資料16項)。

・西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況
 短期的スロースリップを伴う顕著な微動活動が、東海地方(4月14日から19日)で発生した。それ以外の主な微動活動が、東海地方(4月4日から7日)、四国東部(1月30日から2月1日及び4月16日から20日)、四国中部(2月7日から14日)、豊後水道(3月25日から29日)で発生した(防災科学研究所資料17項)。
 

2.4 その他の地殻活動

(1)鳥島近海の地震

 2015 年5月3日に鳥島近海でM5.9 の地震が発生した。この地震により、東京都の八丈島八重根で0.5mの津波を観測したほか、伊豆諸島で0.1m から0.3m の津波を観測した(気象庁資料15頁)。

(2)与那国島近海の地震

 2015 年4月20 日に与那国島近海でM6.8 の地震(最大震度4)が発生した。この地震の発震機構は、南北方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。今回の地震の発生後、同日20 時45 分にM6.0 の地震(最大震度3)、20 時59 分にM6.4 の地震(最大震度2)が発生する等、最大震度1以上を観測する余震が4月30 日までに4回発生した。

(3)ネパールの地震

 2015 年4月25 日にネパールにおいて、深さ15kmでMw7.9 の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。余震は、本震の震央から東南東方向へ約200kmにわたり発生している。最大規模の余震は、5月12日に発生したM7.3 の地震(深さ15km)である(気象庁資料19頁)。だいち2号のデータを用いたSAR干渉解析により、最大約1.2mの地殻変動が検出された(国土地理院資料20頁)。

3.重点検討課題「予測の根拠となるモニタリングデータと処理方法」の検討

 予測の根拠となるモニタリングデータや予測につなげるための処理方法及びどのような予測情報が得られるかについてレビューが行われ、予測実験の定量的評価方法や予測実験の試行の進め方等の議論が行われた(趣旨説明者・堀高峰委員資料23-24頁)。

◆統計モデルによる地震活動異常のモニタリング

 ETASモデルから期待される地震活動度を基準とした異常の検知方法により、地震活動の相対的静穏化等を捉えた事例が紹介された。地震活動の異常を抽出するために、地殻特性等の地域性にあった標準予測モデルの構築が必要であることが指摘された(統計数理研究所・尾形良彦委員資料25頁)。

◆地震活動の潮汐相関にもとづく予測

 地震活動と地球潮汐との間の相関関係に関する研究事例が紹介された。東北地方太平洋沖地震やスマトラ沖地震等の発生前に顕著な地震活動との潮汐相関が見られることが示された。過去の大地震に遡り、現象の特性や普遍性の程度を明らかにしていくとともに、系統的なモニタリングを実施し、潮汐相関が出現した事例に対する追跡・検討調査を進めていく重要性が指摘された(防災科学技術研究所・田中佐千子主任研究員資料26頁)。

◆種々のモニタリングデータにもとづく予測

 地震学的、測地学的、地球化学的、地球電磁気的手法等を用いた地震発生の先行現象候補の事例が紹介された。異常の出現報告は比較的多いものの、地震発生率の算出例は多くないことが示された。機械的な先行現象確率予測のために、地震発生率未算出の先行現象事例についての更なる研究の必要性が指摘された(東京学芸大学・鴨川仁准教授資料27頁)。

◆シミュレーションと観測データにもとづく予測

 観測や数値シミュレーションで見られる固着状態の変化に関する考察が紹介された。シミュレーションによる地震発生サイクルモデルによると、固着のはがれやゆっくり滑りの発生は、自発的に大地震が起こる状況に近づいている場合があることを示唆することが指摘された。また、固着のはがれが進んでいると、近傍の地震のみならず、遠方で発生した大地震や近傍で進行するゆっくり滑りにより、地震が誘発される可能性もあることが指摘された(海洋研究開発機構・堀高峰委員資料28頁)。

3.4. 次回(第208回)重点検討課題「予測実験の試行について」の趣旨説明

    

 引き続き、「予測実験の試行」に関する検討が行われる。次回は、定式化された手法を過去のデータに適用して、現在までの状況を予測した事例の紹介を行う予定である。
趣旨説明資料)。

各機関からの提出議題

《地殻活動モニタリングに関する検討》

《地殻活動モニタリングに関する検討》
【1】気 象 庁
1.	地殻活動の概況
 a.地震活動
  O 全国M5.0以上の地震と主な地震の発震機構
   ・2015年02月〜04月の全国の地震活動概況を報告する。
  S 東海地域の地震活動 
2.東北地方太平洋沖地震関連
  S 東北地方太平洋沖地震余震域の地震活動 
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
  S 浦河沖の地震(2月21日 M5.1)
  S 十勝地方南部の地震(3月25日 M5.0)
  O 三陸沖の地震活動(2月17日〜 最大M6.9)
   ・2015年2月17日08時06分に、三陸沖でM6.9の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ
        逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。この地震により、津波が発生し、岩手県の
        久慈港で27cmなど、北海道から岩手県の太平洋沿岸で微弱な津波を観測した。この地震の発生後、この地震の震央周辺
        では20日13時25分にM6.5の地震が発生するなど、地震活動が活発になった。
  S 福島県沖の地震(3月12日 M5.0、5月3日 M5.0)
  S 岩手県沖の地震(4月30日 M5.4)
  O 宮城県沖の地震(5月13日 M6.8)※期間外
   ・2015年5月13日06時12分に、宮城県沖の深さ46kmでM6.8の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ
        逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
  S 茨城県南部の地震(3月24日 M4.6)
  S 東海・南関東地方の地殻変動
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 東海地域から豊後水道にかけての深部低周波地震活動
  S 東海・南関東地方の地殻変動
  S 東海地域の長期的ゆっくりすべり(平成25年はじめ頃〜)		 
  S 愛知県の深部低周波地震活動とひずみ変化(4月5日〜7日)
  S 愛知県の深部低周波地震活動とひずみ変化(4月14日〜24日)
  S 愛知県の深部低周波地震活動とひずみ変化(4月25日〜5月6日)
 d.その他
  S 海溝と直交する方向の全国の基線長変化
  O 宮古島近海の繰り返し地震(3月6日 M4.4、3月14日 M4.3)
   ・2015年3月6日08時59分と3月14日22時48分に宮古島近海でM4.4とM4.3の地震が発生した。これらの地震はフィリピン海
        プレートと陸のプレートの境界で発生した地震と考えられる。これらの地震の震源付近では、繰り返し地震が4グループ
        見つかっており、今回の地震はそれぞれM4.4程度で平均2.2年間隔とM4.2程度で平均2.5年間隔で発生するグループに
        属している。
  O 中規模繰り返し相似地震の発生状況と発生確率(2015)
4.その他の地殻活動等
  S 日高地方中部の地震(3月6日 M4.9)
  S 岩手県沖の地震(2月17日 M5.7)
  S 宮城県沖の地震(2月26日 M5.0)
  S 青森県下北地方の地震(4月23日 M3.8)
  S 富山湾の地震(2月1日 M4.4)
  S 千葉県北西部の地震(2月23日 M4.5)
  S 鳥島近海の地震(2月25日 M6.1、5月11日 M6.3)
  S 愛知県西部の地震(3月4日 M4.6)
  S 長野県北部の地震(3月24日 M3.8)
  O 鳥島近海の地震(5月3日 M5.9)※期間外
   ・2015年5月3日01時50分に、鳥島近海でM5.9の地震が発生した。この地震により、津波が発生し、東京都の八丈島八重根
        で0.5mなど、伊豆諸島で津波を観測した。
  S 松代における地殻変動連続観測
  S 徳島県南部の地震(2月6日 M5.1)
  S 内陸部の地震空白域における地殻変動観測
  S 台湾付近の地震(2月14日 M6.2)
  O 与那国島近海の地震(4月20日 M6.8、M6.0、M6.4)
   ・2015年4月20日10時42分に与那国島近海でM6.8の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に圧力軸を持つ逆断層
        型である。この地震の発生後、同日20時45分にM6.0の地震、20時59分にM6.4の地震が発生した。
  S パプアニューギニア、ニューブリテンの地震(3月30日 Mw7.4、5月1日 Mw6.8、5月5日 Mw7.5)
  O ネパールの地震(4月25日 Mw7.9、5月12日 M7.3)
   ・2015年4月25日15時11分にネパールの深さ15kmでMw7.9の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に圧力軸を持つ
        逆断層型である。余震は、本震の東へ100km以上にわたり発生しており、5月12日16時05分にこれまでの最大余震(M7.3)
        が発生した。
  S ブーゲンビル−ソロモン諸島の地震(5月7日 Mw7.0)※期間外
	 	
【2】国土地理院
1.地殻活動の概況
 b.地殻変動
  O GEONETによる全国の地殻水平変動
  O GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差
  O GNSS連続観測から推定した日本列島のひずみ変化
  O 加藤&津村(1979)の解析方法による,各験潮場の上下変動
2.東北地方太平洋沖地震関連
  O 東北地方太平洋沖地震後の地殻変動ベクトル
  O 対数関数近似
  O GNSS連続観測時系列
  S 成分変位と速度グラフ
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺	
  S 北海道太平洋岸 GNSS連続観測時系列
  O 2015年2月17日 三陸沖の地震
  O 2015年5月13日 宮城県沖の地震
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
  S 伊豆半島・伊豆諸島の地殻水平・上下変動図
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 森〜掛川〜御前崎間の上下変動
  S 菊川市付近の水準測量結果
  S 御前崎周辺 GNSS連続観測時系列
  S 駿河湾周辺 GNSS連続観測時系列
  S 御前崎長距離水管傾斜計月平均
  S 御前崎・切山長距離水管傾斜計による傾斜変化
  S 御前崎地中地殻活動観測施設
  S 東海地方の地殻変動
  S 東海地方の非定常的な地殻変動
  O 豊後水道周辺の非定常的な地殻変動
4.その他の地殻活動等
  S 伊豆東部地区 GNSS連続観測時系列
  S 伊豆諸島地区 GNSS連続観測時系列
  S 測地VLBI観測
  O 2015年4月20日 与那国島近海の地震
  O 2015年4月25日 ネパールの地震に関する合成開口レーダー(SAR)解析結果

【3】北海道大学

【4】東北大学災害科学国際研究所
  
【5】東京大学地震研究所

【6】東京工業大学

【7】名古屋大学

【8】京都大学防災研究所
4.その他の地殻活動等
  S 近畿地方北部の地殻活動
    S 地殻活動総合観測線の観測結果

【9】九州大学
  
【10】鹿児島大学

【11】統計数理研究所

【12】防災科学技術研究所
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
  O 日本周辺における浅部超低周波地震活動
   ・十勝沖で2月末〜3月上旬にかけてやや活発な超低周波地震活動、4月下旬〜5月初めにも超低周波地震活動が発生した。
   ・日向灘周辺で5月上旬からやや活発な超低周波地震活動が発生した。
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  O 日本周辺における浅部超低周波地震活動
  O 西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況
   ・短期的スロースリップイベントを伴う顕著な微動活動が、東海地方で4月14日〜19日に、それ以外の主な微動活動が、
        東海地方で4月4〜7日、四国東部で1月30日〜2月1日および4月16〜20日、四国中部で2月7〜14日、豊後水道で3月25日
        〜29日にみられた。
  S 関東・東海地域における最近の傾斜変動
4.その他の地殻活動等
  S 2015年5月13日宮城県沖の地震

【13】産業技術総合研究所
3.プレート境界の固着状態とその変化
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 東海・伊豆地域における地下水等観測結果(2015年2月?2015年4月)
  S 紀伊半島〜四国の地下水・歪観測結果(2015年2月?2015年4月)
  S 東海・紀伊半島・四国における短期的スロースリップイベント(2015年2月?2015年4月)
4.その他の地殻活動等
  S 神奈川県西部地域の地下水位観測(2015年2月?2015年4月)
  S 神奈川県西部地域の地下水位観測(2015年2月?2015年4月)
                       -- 神奈川県温泉地学研究所・産総研
  S 岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(2015年2月?2015年4月)
  S 近畿地域の地下水・歪観測結果(2015年2月?2015年4月)
  S 鳥取県・岡山県・島根県における温泉水・地下水変化(2014年11月?2015年4月)
                       --鳥取大学工学部・産総研

【14】海上保安庁
1.地殻活動の概況
 b. 地殻変動
  S GPSによる地殻変動監視観測

2.東北地方太平洋沖地震関連
  O 東北地方太平洋沖地震後の海底地殻変動観測結果
   ・海上保安庁が日本海溝沿いで実施している海底地殻変動観測について、東北地方太平洋沖地震後の観測結果を報告する。

【15】海洋研究開発機構
記載分類は以下のとおりとなっています。
1.地殻活動の概況
 a.地震活動
 b.地殻変動
2.東北地方太平洋沖地震関連
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
 d.その他
4.その他の地殻活動等

 ・口頭報告(O)
 ・資料提出のみ(S)
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