地震予知連絡会の活動報告

第200回地震予知連絡会(2013年 8月21日) 議事概要

平成25年8月21日(水)、国土地理院関東地方測量部において第200回地震予知連絡会が開催された。全国の地震活動、地殻変動等のモニタリングについての報告が行われ、続いて重点検討課題として「地震の短期予測の現状と評価」に関する報告・議論が行われた。最後に次回の重点検討課題「物理モデルに基づいた地震発生予測研究」に関する趣旨説明等が行われた。以下に、その概要について述べる。

「地殻活動のモニタリングに関する検討」資料説明(音声のみ)(12MB,約13分)
「重点検討課題に関する検討」資料説明(音声のみ)     (19MB,約21分)

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 説明資料(PDF:5.7MB)

1.地殻活動モニタリングに関する検討

1.1 地殻活動の概況

(1)全国の地震活動について

 国内で2013年5月から7月までの3か月間に発生したM6以上の地震は、5月18日に福島県沖で発生した地震(M6.0)の1回であった(気象庁資料)。

(2)日本周辺における浅部超低周波地震活動

 2013年5月下旬から6月下旬に日向灘周辺で活発な活動があった(防災科学技術研究所資料)。

(3)日本列島の歪み変化

 GNSS連続観測によると、最近1年間の日本列島のひずみには、東北地方太平洋沖地震の余効変動の影響が見られる(国土地理院資料)。

1.2 東北地方太平洋沖地震関連

 過去3か月間の東北地方のひずみ変化及び水平変動には、依然として東北地方太平洋沖地震の影響が見られる(国土地理院資料)。
 最近3か月間のひずみの様子は前回のひずみの様子とほぼ同じであった。上下変動には、宮城県付近の一部の観測点で隆起傾向が見られるが、その大きさは小さくなってきている(国土地理院資料)。
 余効変動から推定した太平洋プレート上面の滑り分布には、滑り域の顕著な移動は見られず、モーメントの解放速度が時間と共に小さくなっていることが示された(国土地理院資料)。
 東北地方太平洋沖地震の直後に岩手県付近で沈降が見られたが、時間と共に隆起に転じつつあることが示された。陸域直下の太平洋プレート上面の滑りの減衰が、海側の太平洋プレート上面の滑りに比べてやや遅いことが、その原因として考えられる(国土地理院資料)。

1.3 プレート境界の固着状態とその変化

(1)南海トラフ・南西諸島海溝周辺

・西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況
 西南日本で発生した最近3か月の深部低周波地震活動について報告された(気象庁資料)。
 短期的スロースリップを伴う顕著な微動活動が、四国西部−中部で5月20日から6月13日にかけて発生した。それ以外の主な微動活動が、紀伊半島中部(7月23日から26日)、四国東部(5月23日から28日、6月27日から7月1日)、豊後水道(7月29日から8月4日)で発生した(防災科学技術研究所資料)。  

1.4 その他の地殻活動等

・本震直後の余震のリアルタイム確率予測
 余震の検出率が低い本震後数時間のデータを用いてリアルタイムに余震発生の確率予測を行う手法を、東北地方太平洋沖地震後のデータに適用した結果が紹介され、その有効性が示された(統計数理研究所資料)。

2.重点検討課題「地震の短期予測の現状と評価」の検討

 地震の短期予測に関して、1)予測の評価、2)震源核、3)トリガリング、4)電磁気学的予測、5)短期予測と統計モデル、の5つの課題を中心に議論が行われた。

◆予測の評価

 CSEP(Collaboratory for the Study of Earthquake Predictability)で用いられている地震発生の予測手法についてレビューが行われた。予測結果の評価手法やそれに基づいた東北地方太平洋沖地震前・後の地震発生予測結果の評価が紹介された(東京大学・鶴岡弘准教授資料)。

◆震源核

 震源断層における高速破壊の前に形成される震源核についてレビューが行われた。臨界滑り量とアスペリティサイズが比例する場合は、大きな地震の発生前に大きな前駆滑りが起こることが示された。地震発生サイクルシミュレーションの結果から、本震の直前にアスペリティの縁で前駆滑りが進行する様子が示された(東京大学・吉田真吾教授資料)。

◆トリガリング

 外的要因による地震の誘発作用についてレビューが行われた。地震の誘発には、自然現象や人工的な活動まで様々な誘発作用があることが紹介された。他の地震による誘発の主なメカニズムは、震源からの距離や誘発されるまでの経過時間によって、静的、準静的及び動的応力変化に分類されることが示された(京都大学・宮澤理稔准教授資料)。

◆電磁気学的予測

 電磁気学的現象による地震の短期予測についてレビューが行われた。地震に先行した電離圏電子密度の減少や夜間のVLF電磁波強度の減少などの事例が紹介され、電磁気学的地震先行現象と地震発生には統計的相関がある可能性が示された(東京学芸大学・鴨川仁助教資料)。

◆短期予測と統計モデル

 前震の確率予測についてレビューが行われた。1978年伊豆大島近海の地震発生に関して、複数の前兆現象を考慮した複合的な発生確率の試算に関する研究が紹介された。また、東北地方太平洋沖地震における前震の確率予報について報告がなされた(統計数理研究所・尾形良彦名誉教授資料)。

3.次回(第201回)重点検討課題「物理モデルに基づいた地震発生予測研究」の趣旨説明

    

 プレート境界地震の発生予測に向けた研究の現状と課題について、1)地震発生の物理に基づく予測シミュレーション、2)プレート境界滑り時空間変化の推移予測、3)地震予知研究次期計画案における物理モデルにもとづく地震発生予測、の3部に分けて議論が行われる予定である(趣旨説明資料)。

4.重点検討課題運営部会報告

    

 今後の重点検討課題については、以下のとおりである。

  
 回 重点検討課題名趣旨説明者
第201回物理モデルに基づいた地震発生予測研究 堀 委員
第202回地震・津波即時推定とモニタリングの役割(仮)土井委員
第203回日本列島の長期広域変動について(仮) 松澤副会長
第204回地震発生予測の評価について(仮) 遠田委員

各機関からの提出議題

《地殻活動モニタリングに関する検討》

《地殻活動モニタリングに関する検討》
【1】気 象 庁
1.地殻活動の概況
 a.地震活動
  O 全国M5.0以上の地震と主な地震の発震機構
  S 東海地域の地震活動
2.東北地方太平洋沖地震関連
  S 東北地方太平洋沖地震余震域の地震活動 
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
  S 釧路沖の地震(7月16日 M5.1)
  S 福島県沖の地震(5月18日 M6.0)
  S 福島県沖の地震(6月4日 M4.7)
  S 福島県沖の地震(7月20日 M5.4)
  S 茨城県沖の地震(7月20日 M5.4)	
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
  S 千葉県東方沖の地震(6月6日 M5.0)
  S 千葉県北東部の地震(7月21日 M4.5)
  S 東海・南関東地方の地殻変動(3cを含む)
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 東海地域から豊後水道にかけての深部低周波地震活動
  O 長野県南部における深部低周波地震活動とひずみ変化(5月15日〜25日)
  O 愛知県における深部低周波地震活動とひずみ変化(6月11日〜12日)
  O 愛知県西部におけるひずみ変化(6月28日〜7月3日)
  O 愛知県における深部低周波地震活動とひずみ変化(2013年8月3日〜)※期間外
 d.その他
  S 海溝と直交する方向の全国の基線長変化 
4.その他の地殻活動等
  S 千島列島(ウルップ島南東沖)の地震活動(6月 最大M5.7)
  S 岩手県沖の地震(5月16日 M5.0)
  S 岩手県沿岸北部の地震(7月10日 M4.9)
  S 岩手県沖の地震(7月16日 M5.1)	
  S 福島県浜通りの地震(7月23日 M5.2)
  S 宮城県沖の地震(7月31日 M5.0)
  S 宮城県沖の地震(8月4日 M6.0)	※期間外
  S 群馬県南部の地震(5月2日 M4.1)	
  S 群馬県北部の地震(5月21日 M4.7)	
  S 新潟県上中越沖の地震(6月7日 M3.8)
  S 栃木県北部の地震(6月27日 M3.9)
  S 相模湾の地震(7月10日 M3.9)
  S 遠州灘の地震(8月3日 M4.9)※期間外
  S 和歌山県北部の地震(6月8日 M4.0、M3.9)	
  S 奄美大島近海の地震(6月21日 M4.6)
  S 台湾付近の地震(6月2日 M6.3)
  S 与那国島近海の地震(6月8日 M5.8)
  S 沖縄本島近海の地震(6月13日 M5.8)
  S マリアナ諸島の地震(5月14日 M7.3)
  O オホーツク海の地震(5月24日 Mw8.3、Mw6.7)
  S	フィジー諸島南方の地震(5月24日 Mw7.4)
  S ソロモン諸島北方の地震(7月8日 Mw7.3)
  S サウスサンドウィッチ諸島の地震(7月15日 Mw7.3)
  	 	
【2】国土地理院
1.地殻活動の概況
 b.地殻変動
  O GEONETによる全国の地殻水平変動
  O GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差
  O GNSS連続観測から推定した日本列島のひずみ変化
2.東北地方太平洋沖地震関連
  O 東北地方太平洋沖地震後の地殻変動ベクトル
  O 東北地方太平洋岸 GNSS連続観測時系列
  O 対数関数近似
  O 基線ベクトルの成分変位と速度グラフ
  O 東北地方太平洋沖地震後のプレート境界面上の滑り分布モデル一覧
  O 時間依存 F3【モデル1】
  O 矢吹&松浦 F3+海底地殻変動観測点【モデル2】
  O 3つの期間における上下変動と滑り分布
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
  S 北海道太平洋岸 GNSS連続観測時系列
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
  S 伊豆半島・伊豆諸島の地殻水平・上下変動図
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 森〜掛川〜御前崎間の上下変動
  S 水準点2595(御前崎市)の経年変化
  S 水準点(140-1・2595)の経年変化
  S 掛川〜御前崎間の各水準点の経年変化
  S 電子基準点の上下変動 水準測量とGNSS観測の比較
  S 高精度比高観測点の上下変動 水準測量とGNSS観測の比較
  S 御前崎地区高精度比高連続観測
  S 御前崎地方の上下変動
  S 菊川市付近の水準測量結果
  S 舞阪〜御前崎〜静岡間の上下変動
  S 渥美半島の上下変動
  S 水準測量による東海地方の上下変動
  S 東海地方の各水準点の経年変化(7月期)S 
  S 1979年を基準とした東海地方各水準点の経年変化(J60固定)
  S 御前崎周辺 GNSS連続観測時系列
  S 駿河湾周辺 GNSS連続観測時系列
  S 御前崎長距離水管傾斜計月平均
  S 御前崎・切山長距離水管傾斜計による傾斜変化
  S 御前崎地中地殻活動観測装置観測
  S 御前崎における絶対重力変化
  S 東海地方の最近の地殻変動
 d.その他
4.その他の地殻活動等
  S 伊豆東部地区 GNSS連続観測時系列
  S 伊豆諸島地区 GNSS連続観測時系列
  
【3】北海道大学
3.プレート境界の固着状態とその変化
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
  O 油壺験潮場の上下変動
  
【4】東北大学
  
【5】東京大学地震研究所
  
【6】東京工業大学
  
【7】名古屋大学
  
【8】京都大学防災研究所
4.その他の地殻活動等
  S 近畿地方北部の地殻活動
  S 2013年4月13日淡路島付近の地震(M6.3)の続報
  
【9】九州大学
  
【10】鹿児島大学
  
【11】統計数理研究所
4.その他の地殻活動等
  O 本震直後の余震のリアルタイム確率予測
  
【12】防災科学技術研究所
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
  O 日本周辺における浅部超低周波地震活動(2013年5月〜7月)(3cを含む)
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
  S 関東地方のGEONET観測網による地殻変動観測
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  O 西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況(2013年5月〜7月)
  S 関東・東海地域における最近の傾斜変動
  S 伊豆地域・駿河湾西岸域の国土地理院と防災科研のGNSS観測網による地殻変動観測
  
【13】産業技術総合研究所
3.プレート境界の固着状態とその変化
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 東海・伊豆地域における地下水等観測結果(2013年5月〜2013年7月)
  S 紀伊半島〜四国の地下水・歪観測結果(2013年5月〜2013年7月)
  S 東海・紀伊半島・四国における短期的スロースリップイベント(2013年5月〜2013年7月)
4.その他の地殻活動等
  S 神奈川県西部地域の地下水位観測(2013年5月〜2013年7月)
    -- 神奈川県温泉地学研究所・産総研
  S 岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(2013年5月〜2013年7月)
  S 近畿地域の地下水・歪観測結果(2013年5月〜2013年7月)
  S 鳥取県・岡山県・島根県における温泉水・地下水変化(2013年2月〜2013年7月)
    --鳥取大学工学部・産総研
  
【14】海上保安庁
1.地殻活動の概況
 b.地殻変動
  S GPSによる地殻変動監視観測
2.東北地方太平洋沖地震関連
  O 東北地方太平洋沖地震後の海底地殻変動観測結果
  
【15】温泉地学研究所

記載分類は以下の通りとなっています。
1.地殻活動の概況
 a.地震活動
 b.地殻変動
2.東北地方太平洋沖地震関連
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
 d.その他
4.その他の地殻活動等

 ・口頭報告(O)
 ・資料提出のみ(S)
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