地震予知連絡会の活動報告

第199回地震予知連絡会(2013年 5月30日) 議事概要

平成25年5月30日(木)、国土地理院関東地方測量部において第199回地震予知連絡会が開催された。始めに第23期地震予知連絡会の体制が決定された。次に将来検討ワーキンググループに関する経過報告が行われた。その後、全国の地震活動、地殻変動等のモニタリングについての報告が行われ、続いて重点検討課題として「日本海で発生する地震と津波」に関する報告・議論が行われた。最後に次回の重点検討課題「地震の短期予測の現状と評価」に関する趣旨説明等が行われた。以下に、その概要について述べる。

「地殻活動のモニタリングに関する検討」資料説明映像(42MB,約19分)
「重点検討課題に関する検討」資料説明映像     (42MB,約20分)
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 説明資料(PDF:22MB)

1.第23期の地震予知連絡会の体制について

 全会一致で平原和朗委員が会長に選出された。
 平原和朗会長により、山岡耕春委員、松澤暢委員が副会長に、松澤暢委員が東日本部会長に、平田直委員が中日本部会長に、澁谷拓郎委員が西日本部会長に指名された。
 東北大学・遠田晋次教授、東京大学・上嶋誠准教授、東京工業大学・岩森光教授、京都大学・片尾浩准教授、産業技術総合研究所・宍倉正展海溝型地震履歴研究チーム長、海上保安庁・岩渕洋海洋調査課長、気象庁・青木元地震情報企画官が新たに委員に就任した(第23期地震予知連絡会委員名簿)。

2.将来検討ワーキンググループについて

 地震予知連絡会の役割の再確認と今後の活動の方向性を示すことを目的に第197回地震予知連絡会で設置された将来検討ワーキンググループにおいて検討された内容の経過報告が行われた(将来検討ワーキンググループ資料)。

3.地殻活動モニタリングに関する検討

3.1 地殻活動の概況

(1)全国の地震活動について

 国内で2013年2月から4月までの3か月間に発生したM5.0以上の地震は58回であった。2013年2月2日に北海道十勝地方の深さ約100kmでM6.5、2月25日に栃木県でM6.3、4月17日に三宅島の近海でM6.2、4月13日に淡路島でM6.3、4月17日から18日に与那国島近海でM5.6、M6.1の地震が発生した(気象庁資料)。

(2)日本周辺における浅部超低周波地震活動

 2013年2月中旬から3月上旬に十勝沖でやや活発な超低周波地震活動があった(防災科学技術研究所資料)。

(3)日本列島の歪み変化

 GNSS連続観測データによる最近1年間の日本列島の歪み図では、東北地方太平洋沖地震の余効変動の影響が見られる(国土地理院資料)。

3.2 東北地方太平洋沖地震関連

 過去3か月間の東北地方の歪み変化及び水平変動には、依然として東北地方太平洋沖地震の影響が見られる(国土地理院資料)。
 上下変動には、宮城県付近の一部の観測点で隆起傾向が見られるが、その大きさは小さくなってきている(国土地理院資料)。
 GNSS観測点の水平変動の時間推移は対数関数近似でよく説明できることが示されたが、上下変動に関しては、対数関数からややずれる観測点が幾つか存在する(国土地理院資料)。
 余効変動から推定した太平洋プレート上面の滑り分布には、顕著な滑り域の移動は見られず、モーメントの解放速度が時間と共に小さくなっていることが示された(国土地理院資料)。

3.3 プレート境界の固着状態とその変化

(1)南海トラフ・南西諸島海溝周辺

・ 西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況
 顕著な微動活動が、紀伊半島南部で3月7日から14日にかけて、四国中部で3月7日から24日にかけて、紀伊半島北部で4月5日から12日にかけて発生した(防災科学技術研究所資料)。

3.4 その他の地殻活動等

・三宅島近海の地震
 2013年4月17日10時過ぎから三宅島近海で地震活動が活発となり、同日17時57分に三宅島の近海の深さ9kmでM6.2の地震が発生した。DD法による詳細な解析では、南北方向に延びる震源分布のほか、東西方向に延びるものもみられる(気象庁資料)。
 GNSS観測結果には、三宅島とその周辺において最大約2cmの変動が見られる。この地殻変動データは南北走向又は東西走向の震源断層モデルのどちらでも説明できることが示された(国土地理院資料)。

・淡路島付近の地震
 2013年4月13日に淡路島の深さ15kmでM6.3の地震が発生した。本震の発震機構解及び余震分布から、南北走向で西傾斜の逆断層と考えられる(気象庁資料)。
 GNSS観測結果には、最大で約1cmの変動が見られる(国土地理院資料)。

・与那国島近海の地震活動
 2013年4月15日頃から与那国島近海で地震活動が始まり、17日13時頃から活動が活発化し、M5程度の地震がまとまって発生した。このうち最大規模の地震は、4月18日23時08分に石垣島北西沖で発生したM6.1の地震であった(気象庁資料)。
 GNSS観測結果には、与那国島で南南西に約5cmの変動が見られる。この地殻変動データを説明する震源断層モデルが示された(国土地理院資料)。

4.重点検討課題「日本海で発生する地震と津波」の検討

 日本海東縁部で発生する大地震について、最新の陸・海構造探査、地殻変動観測、海底地形・地質調査、最新の津波堆積物調査、歴史地震記録等を基に、3部に分けて検討が行われた。

◆第1部 構造探査・地殻変動観測から震源像にせまる。

 ひずみ集中帯での海陸統合地殻構造探査の結果が報告された。厚い背弧海盆堆積中には、デタッチメントが形成されて断層関連褶曲が形成されていることや伏在する活断層が多く存在していること等が示された(東京大学・佐藤比呂志教授資料)。
 構造探査の結果から、日本海東部の地殻構造は島弧地殻、厚い海洋地殻、海洋地殻の3つのタイプに分類されることが示された。庄内沖地震・新潟地震・新潟県中越沖地震等は島弧地殻内で、日本海中部地震は島弧地殻と海洋地殻の境界付近で発生したことがわかった(海洋研究開発機構・小平秀一上席研究員資料)。
 GEONETデータの解析により、陸域においては秋田県以南に比べて青森県以北の短縮変形が明瞭でないことが示された。日本海東縁では東西方向のプレート間相対運動が進行しており、その速度は南ほど大きいことが紹介された。ひずみ集中帯では最大約0.2ppm/年の速度で西北西−東南東方向の短縮が進行していること、ひずみ集中域の東側ではひずみ速度が小さいこと等が示された。マントルの粘弾性を考慮し、地殻を断ち切る断層の深部定常滑りモデルによって、越後平野付近の水平短縮や沈降を同時に説明できることが示された(京都大学・西村卓也准教授資料)。

◆第2部 地形・地質学的調査から震源像にせまる。

 地形・地質学的調査から得られた海域の活断層分布等について報告がなされた。日本海東縁部及び中部では活断層の存在が明瞭であり、過去の地震の震源断層との一致が良いことが示された。一方、日本海西部の活断層は不明瞭であり、断層運動の様式は主に横ずれであることが示された(産業総合技術研究所・岡村行信センター長資料)。
 津波堆積物調査及びそれに基づいて推定される津波波源・震源域が報告された。奥尻島周辺、津軽沖、庄内沖飛鳥周辺、佐渡島周辺では、いずれも1000年程度の再来間隔で津波が発生していることが示された。津波は1900年頃以降に発生が集中しており、9−11世紀にも集中して起きた可能性が示唆された(北海道大学・平川一臣名誉教授資料)。

◆第3部 歴史地震学的調査から震源像にせまる。

 日本海沿岸での過去の津波災害が紹介された。日本海側においても数mの津波が過去に到来しており、近世以降の大きな津波は新潟以北の地震が原因であることが示された。一方、西日本においては、近世以降大きな津波は認められないことが示された(地震予知総合研究振興会・松浦律子地震調査研究センター解析部長資料資料)。

5.次回(第200回)重点検討課題「地震の短期予測の現状と評価」の趣旨説明

    

 地震の短期予測に関して、1)予測の評価、2)震源核、3)トリガリング、4)電磁気学的観測、の4つの課題を中心に議論が行われる予定である(趣旨説明資料)。

各機関からの提出議題

《地殻活動モニタリングに関する検討》

《地殻活動モニタリングに関する検討》
【1】気 象 庁
1.地殻活動の概況
 a.地震活動
  O 全国M5.0以上の地震と主な地震の発震機構
  S 東海地域の地震活動 
2.東北地方太平洋沖地震関連
  S 東北地方太平洋沖地震余震域の地震活動 
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
  S 岩手県沖の地震(3月13日 M5.0)
  S 宮城県沖の地震(3月31日 M5.3)
  S 三陸沖の地震(4月2日 最大M6.2)
  S 福島県沖の地震(4月14日 M5.3)
  S 宮城県沖の地震(4月17日 M5.9)
  S 茨城県北部の地震(3月18日 M4.4)
  S 千葉県東方沖の地震(4月29日 M5.6)
  b.相模トラフ周辺・首都圏直下
  S 東海・南関東地方の地殻変動(3cを含む)
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 東海地域から豊後水道にかけての深部低周波地震活動
  S 愛知県、長野県県境付近における深部低周波地震活動に伴うひずみ変化
  (2013年04月19日〜23日)	
  S 沖永良部島付近(沖縄本島近海)の地震(3月6日 M5.0)
  S 日向灘の地震(3月11日 M5.2)
 d.その他
  S 海溝と直交する方向の全国の基線長変化 
  S サンタクルーズ諸島の地震(2月6日 Mw7.9)	
4.その他の地殻活動等
  S 十勝地方南部の地震(2月2日 M6.5)
  S 北海道東方沖の地震(2月17日 M5.3)
  S 釧路地方中南部の地震(3月9日 M5.0)
  S 釧路沖の地震(3月10日 M5.1)
  S 宮城県沖の地震(2月13日 M4.7)
  S 福島県浜通りの地震(2月24日 M4.5)
  S 福島県会津の地震(4月21日 M4.3)
  S 茨城県沖の地震(2月9日 M5.2)	
  S 千葉県東方沖の地震(2月19日 M5.6)
  S 栃木県北部の地震(2月25日 M6.3)
  S 茨城県北部の地震(3月21日 M4.7)
  S 石川県加賀地方の地震(4月4日 M4.2)
  S 千葉県東方沖の地震(4月4日 M5.1)	
  S 茨城県沖の地震(4月6日 M5.2)	
  S 埼玉県南部の地震(4月14日 M4.6)
  O 三宅島近海の地震(4月17日 M6.2)
  S 千葉県東方沖の地震(4月19日 M4.6)
  S 鳥島近海の地震(4月21日 M6.4)
  S 群馬県南部の地震(5月2日 M4.1)※ 期間外
  S 松代における地殻変動連続観測
  O 淡路島付近の地震(4月13日 M6.3)
  S 内陸部の地震空白域における地殻変動連続観測	
  S トカラ列島近海(諏訪之瀬島付近)の地震活動(2月19日)
  S 与那国島近海の地震活動(4月15日〜 最大M6.1)
  S 台湾付近の地震(3月27日 M6.1)
  S ウラジオストク付近の地震(4月5日 M6.3)
  S 台湾付近の地震(4月11日 M6.3)
  S 千島列島(ウルップ島南東沖)の地震(4月19日 M7.0)
  S インドネシア、パプアの地震(4月6日 Mw7.0)
  S イラン・パキスタン国境付近の地震(4月16日 Mw7.7)	
  S 中国、四川省の地震(4月20日 Mw6.6)	
  	 	
【2】国土地理院
1.地殻活動の概況
 b.地殻変動
  O GEONETによる全国の地殻水平変動
  O GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差
  O GNSS連続観測から推定した日本列島の歪み変化
  O 加藤&津村の解析方法による、各験潮場の上下変動
2.東北地方太平洋沖地震関連
  O 東北地方太平洋沖地震後の地殻変動ベクトル
  O 東北地方太平洋岸 GNSS連続観測時系列
  O 対数関数近似
  O 基線ベクトルの成分変位と速度グラフ
  O 東北地方太平洋沖地震のプレート境界面上の滑り分布モデル
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
  S 北海道太平洋岸 GNSS連続観測時系列
  S 2/2十勝地方南部の地震
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
  S 三浦半島東側の上下変動
  S 2/25栃木県北部の地震
  S 箱根山の地殻変動
  S 伊豆半島および伊豆諸島の地殻水平・上下変動図
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  O 電子基準点の上下変動 水準測量とGNSS観測の比較
  O 御前崎地区高精度比高連続観測
  O 菊川市付近の水準測量結果
  S 御前崎周辺 GNSS連続観測時系列
  S 駿河湾周辺 GNSS連続観測時系列
  S 御前崎・切山長距離水管傾斜計による傾斜変化
  S 御前崎地中地殻活動観測装置観測
  S 東海地方の最近の地殻変動
  S 西宮市〜柏原市間の上下変動
  S 泉南市〜茨木市間の上下変動
  O 室戸市西側の上下変動
  O 1896年を基準とした室戸地方の各水準点の経年変化
  S 高度地域基準点測量による水平歪み
  O 波照間島周辺の非定常地殻変動
  O 4/17〜18与那国島近海の地震活動
 d.その他
4.その他の地殻活動等
  S 伊豆東部地区 GNSS連続観測時系列
  S 伊豆諸島地区 GNSS連続観測時系列
  O 4/17三宅島近海の地震
  O 4/13淡路島付近の地震
  S VLBI観測結果
  
【3】北海道大学
  
【4】東北大学
  
【5】東京大学地震研究所
 
【6】東京工業大学
 
【7】名古屋大学
 
【8】京都大学防災研究所
4.その他の地殻活動等
  S 近畿地方北部の地殻活動
  S 地殻活動総合観測線の観測結果
  S 2013年4月13日淡路島付近の地震(M6.3)について
  
【9】九州大学
  
【10】鹿児島大学
  
【11】統計数理研究所
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
  O 時空間非定常BPTモデルによる北日本太平洋沖沈み込み帯の小繰り返し地震 
   (1993.7.15-2011.3.10)の統計解析 −特にM≧7地震の前と後の変化について−
   東北大学大学院理学研究科と共同 提出
4.その他の地殻活動等
  O 2013年4月13日淡路島付近の地震(M6.3)までの兵庫県南部地震の余震活動などに 
    ついて。
  
【12】防災科学技術研究所
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
  O 日本周辺における浅部超低周波地震活動(2013年2月〜4月)(3cを含む)
  b.相模トラフ周辺・首都圏直下
  S 関東地方のGEONET観測網による地殻変動観測
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  O 西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況(2013年2月〜4月)
  S 関東・東海地域における最近の傾斜変動
  S 伊豆地域・駿河湾西岸域の国土地理院と防災科研のGNSS観測網による地殻変動観測
4.その他の地殻活動等
  S 2013年4月13日淡路島付近の地震
  
【13】産業技術総合研究所
3.プレート境界の固着状態とその変化
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
  S 東海・伊豆地域における地下水等観測結果(2013年2月〜2013年4月)
  S 紀伊半島〜四国の地下水・歪観測結果(2013年2月〜2013年4月)
  S 東海・紀伊半島・四国における短期的スロースリップイベント
    (2013年2月〜2013年4月)
4.その他の地殻活動等
  S 神奈川県西部地域の地下水位観測(2013年2月〜2013年4月)
    神奈川県温泉地学研究所・産総研
  S 岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(2013年2月〜2013年4月)
  S 近畿地域の地下水・歪観測結果(2013年2月〜2013年4月)
  S 鳥取県・岡山県・島根県における温泉水・地下水変化(2012年11月〜2013年4月)
    鳥取大学工学部・産総研
  S 2013年4月13日淡路島付近の地震
  
【14】海上保安庁
1.地殻活動の概況
 b.地殻変動
  S GPSによる地殻変動監視観測
4.その他の地殻活動等
  O 三宅島近海の地震(M6.2)後の海底地殻変動観測結果(速報)

【15】温泉地学研究所


記載分類は以下の通りとなっています。
1.地殻活動の概況
 a.地震活動
 b.地殻変動
2.東北地方太平洋沖地震関連
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
 d.その他
4.その他の地殻活動等

 ・口頭報告(O)
 ・資料提出のみ(S)