地震予知連絡会の活動報告

第126回地震予知連絡会(1997年11月17日) 議事概要

 平成9年11月17日、国土地理院関東地方測量部において、第126回地震予知連絡会が開催され、東海地方の地殻活動、伊豆半島の地殻活動、釧路沖、鳥取県西部の地震活動等について、大学、関係観測研究機関等より観測・研究成果の報告があり、議論が行われました。

 以下に主な議事の概要を紹介します。

1.東海地方の地殻活動

 東海地方の最近の地震活動については、9月26日と10月11日に御前崎沖でM4クラスの地震が発生し、また、10月21日には静岡県内陸部でM4.3の地震が発生したことが報告された。御前崎沖の地震の初動によるメカニズムは北西−南東伸張の正断層タイプで、沈み込むフィリピン海プレート内の地震と考えられる。また、10月21日の地震もほぼ東西伸張の正断層タイプであり、陸側プレート内の地震と考えられる(気象庁資料1資料2)。

 御前崎地方の地殻変動については、1997年10月の水準測量結果によると、掛川の140−1を基準として浜岡の2595は、前回観測と比較してわずかに隆起していることが報告された。浜岡2595の上下変動をみると、最近は少し沈降の速度が鈍っているようにも思える(国土地理院資料1資料2)。

 東海地方における微小地震観測により得られた駿河湾周辺のプレート固着域における応力の変化についての解析結果が示された。推定固着域の中央部ないし深い側で応力の変化率が大きいことが伺われる(防災科研資料1)。

 地殻変動と地震活動の関連においては、東海地方でやや大きめの地震が発生する時期には、御前崎の沈下がやや停滞する傾向にあるように見えることが示された(日大茂木資料)。

2.伊豆半島の地殻活動

 伊豆半島東部ではこの3ヶ月間、特に顕著な地震活動は見られなかった (気象庁資料1資料2国土地理院資料)。

3.関東地方の地震活動

 11月の初めから、神奈川県西部で最大M4程度の地震を含む活動があったことが報告された。今回の震源域では、最近あまり活動が見られていなかった。しかし、今回の活動はすぐに沈静化したことが報告された(気象庁資料)。

4.釧路沖の地震活動

 北海道の釧路沖では、10月9日にM5.6の地震が発生した。この地震のメカニズムは北西−南東圧縮逆断層タイプであり、今回の活動では2日間にM5クラスの地震が4個続けて発生した。今回の活動は1952年十勝沖地震の震源域の中央で起きたことが示された(気象庁資料)。

5.鳥取県西部の地震活動

 鳥取県西部では8月23日にM4.0の地震が発生したのをはじめ、9月4日に発生した最大M5.2を含む地震活動があったことが報告された。この地域では1979年以来小規模な地震活動が何回か起きているが、今回の活動はその中でも活発な方であった(京大防災研資料)。

6.GPSによる全国の変動ベクトル図

 GPS連続観測により明らかになった1996年4月から1年間の地殻変動ベクトル図が報告された(国土地理院資料)。この変動ベクトルは、VLBIの結果を考慮して計算されたユーラシアプレートの安定部に対するものである。

 日本列島太平洋沿岸には、太平洋プレートやフィリピン海プレートの沈み込みによる影響が見られる。九州南部や伊豆半島などにおける大きな変動は、この間に発生した地震活動の影響である。

(事務局:国土地理院)