地震予知連絡会の活動報告

第138回地震予知連絡会(2000年8月21日) 議事概要

 平成12年8月21日、国土地理院関東地方測量部において、第138回地震予知連絡会が開催された。全国の地震活動、地殻変動の概況の報告及び、関東・東海・中部地方の地震活動・地殻活動等について、大学、関係観測研究機関より観測・研究成果の報告があり、議論がなされた。

 次に伊豆諸島の地震活動について、大学・関係機関からこれまでの観測・調査結果の報告があり、討議が行われた。

 以下に、観測・調査結果の報告と討議の内容について、その概要を述べる。

1.全国の地震活動

 日本列島周辺の地震活動については、この3ヶ月間にM5.0以上の地震は60個発生し、そのうち新島・神津島・三宅島周辺ではM6.0以上の地震4個を含む36個が発生した。(気象庁資料)。
 日本とその周辺の地震活動(気象庁資料)

2.東海地方の地震活動と地殻活動

 御前崎地方の地殻変動については、7月の水準測量結果によると、浜岡の水準点2595は前回観測よりも3.9mm沈降した。年周変化を取り除いた後の値では9.0mmの沈降であった。例年の傾向と比較しても通常の範囲の変動と考えられる。(国土地理院資料)
 水準点2595(浜岡町)の経年変化(国土地理院資料)

 東海地方のいわゆる固着域におけるフィリピン海プレート内の地震活動度は、昨年の夏以来低い状態にあり、定常的な活動度にはまだ復帰しておらず、1996年頃以来の地震発生の静穏化傾向が引き続き見られる(防災科研資料)。
 プレート境界をはさんで、想定固着域周辺の地震活動(防災科学技術研究所資料)
 想定固着域上盤における地震発生率と浜岡−掛川間の水準測量結果(防災科学技術研究所資料)

3.新島・神津島・三宅島周辺の地震活動と地殻活動

 6月26日から始まった三宅島の火山活動に関連した地震活動とそれに引き続き活発化した新島・神津島周辺の地震活動、関連して観測されている地殻変動等について、各観測研究機関から観測結果の報告があった。また、これに基づき、今回の一連の活動のメカニズムについてモデルが提示され議論が行われた。

 6月26日の夜から三宅島の西部で火山性の地震活動が始まり、活発な活動を続けながら次第に活動の中心を西方海上に移動していった。この活動域はさらに北西方向に広がり、神津島の東方に達して、その後消長を繰り返しながら現在まで続いている。活動が活発な時期には狭い地域に集中的に地震が発生するが、その中で震央の移動や深さの変化が認められる場合がある。(気象庁資料)
 6月26日から8月18日までの地震活動(気象庁資料)
 各バースト活動における震央と震源の深さの時間的変化 その1(気象庁資料)
 その2(気象庁資料)
 その3(気象庁資料)

 神津島東方の海域に設置された海底地震計のデータに基づき、震源の深さをより精度良くより決めた観測結果では、深さ7km以深では震源が厚さ約2kmの薄い板状に分布していることが示された。(東大地震研究所資料)
 海底地震計で得られた震源分布(東大地震研究所資料)

 GPS観測により、三宅島の火山活動に伴う大きな地殻変動と、新島・神津島周辺の地殻変動が観測されている。三宅島では水平方向には島の収縮、上下方向では沈降が観測されている。神津島は南西方向に動き大きな隆起が観測され、式根島は南東に動き、新島・利島は北北東方向に動いている。地殻変動は房総半島南部、伊豆半島南部にも及んでいる(国土地理院資料)。 また、新島、式根島、神津島では島内の地殻変動も進行している。(名古屋大学資料)。
 GPS連続観測結果 ベクトル図(水平)(国土地理院資料)
 GPS連続観測結果 ベクトル図(上下)(国土地理院資料)
 伊豆諸島(新島・神津島周辺)の地殻変動 その1(名古屋大学資料)
 その2(名古屋大学資料)

 今回の一連の火山活動、地震活動、地殻変動等を説明するモデルとして、マグマの貫入と横ずれ断層の組み合わせによるモデル(東北大学資料)、および神津島東方の北西−南東走向の開口割れ目の拡大により三宅島直下のマグマが吸い出されるモデルなどが示された。(茂木会長資料)。
 2000年伊豆諸島の地殻活動モデル(東北大学資料)
 三宅島直下のマグマが吸い出されるモデル(茂木会長資料)

(事務局:国土地理院)

各機関からの提出議題

【1】気象庁(A1)
 1.全国の2000年5月〜7月のM5以上の地震

 2.北海道地方とその周辺の地震活動(2000年5月〜7月)
    宗谷海峡の地震活動
    根室半島南東沖の地震活動
    十勝支庁北部の地震活動
    有珠山周辺の地震活動
    松前沖の地震活動

 3.東北地方とその周辺の地震活動(2000年5月〜7月)
    三陸沖の活動(岩手県沖と宮城県沖)
    福島県沖の地震
    秋田県内陸北部(森吉山付近)
    宮城県南部(愛子付近)
    福島県会津地方(磐梯山付近)

 4.関東・中部地方とその周辺の地震活動(2000年5月〜7月)
    東海・南関東の地震活動
    伊豆半島東方沖の地震活動
  A4 三宅島から新島・神津島近海の地震活動
    千葉県北東部の地震
    福井県嶺南地方の地震
    石川県西方沖の地震
    東海沖の深発地震
    長野県北部周辺の地震活動と地殻変動

 5.近畿・中国・四国地方とその周辺の地震活動(2000年5月〜7月)
    三重県中部の地震活動
    京都府南部の地震活動
    兵庫県南部地震の余震活動と周辺の地震活動
    瀬戸内海中部の地震活動
    徳島県の地震活動
    鳥取県西部と広島県北東部の地震活動

 6.九州地方とその周辺の地震活動(2000年5月〜7月)
    大分県北部(別府市付近)の地震活動
    熊本県熊本地方の地震活動
    鹿児島県薩摩地方の地震活動
    日向灘の地震活動
    種子島近海の地震活動
    奄美大島近海の地震活動
    日向灘から奄美大島近海にかけての地震活動

 7.沖縄地方とその周辺の地震活動(2000年5月〜7月)
    台湾付近の地震活動

【2】国土地理院(A2)
 1.日本全国の地殻変動
  A2 GEONETによる最近1年間の地殻水平変動
  A2 GEONETによる最近3ヶ月の地殻水平変動
  A2 GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差(2ヶ月)
  A2 GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差(1ヶ月)

 2.東海地方の地殻変動
  A2 森〜掛川〜御前崎間の上下変動
  A2 水準点(140−1、2595)の経年変化
  A2 水準点2595(浜岡町)の経年変化
  C 掛川〜御前崎間の各水準点の経年変化
  A2 水準点2602−1(菊川町)と10333(大東町)及び2601(小笠町)の経年変化
  A2 水準点2602−1(菊川町)と2601(小笠町)の経年変化
  A2 水準測量(10333及び2601)による傾斜ベクトル(月平均値)
  C 掛川〜静岡間の上下変動
  C 相良〜藤枝間の上下変動
  C 三ヶ日〜掛川間の上下変動
  C 舞阪〜浜岡間の上下変動
  C 舞阪〜浜岡〜清水間の上下変動
  C 舞阪〜掛川〜清水間の上下変動
  C 御前崎〜掛川〜清水間の上下変動
  C 水準測量・験潮による駿河湾周辺の上下変動
  C 東海地方の各水準点の経年変化
  C 焼津〜御前崎間の各水準点の経年変化
  C 東海地方の上下変動
  C 東海地方各験潮場間の月平均潮位差
  C GPS連続観測結果 駿河湾周辺
  A2 GPS連続観測結果 掛川・御前崎周辺
  C GPS連続観測結果 静岡県西部
  C 高精度比高連続観測及び水準測量による上下変動
  C 御前崎長距離水管傾斜計月平均(E−W)
  C 地中地殻活動観測装置観測結果
  C 御前崎における絶対重力変化

 3.伊豆地方の地殻変動
  C 熱海〜伊東〜河津間の上下変動
  C 中伊豆〜伊東間の上下変動
  C 修善寺〜河津間の上下変動
  C 沼津〜熱海の上下変動
  C 内浦〜土肥〜西伊豆間の上下変動
  C 内浦〜中伊豆〜伊東間の上下変動
  C 伊東市付近の地盤上下変動の推移
  C 水準点9335〜9338の経年変化
  A2 伊豆地方の上下変動
  C 伊東・油壷・初島・真鶴各験潮場間の月平均潮位差
  C 熱海(川奈地区)精密辺長測量結果
  C 伊東東部連続観測(辺長)日平均結果
  C GPS連続観測結果 伊東・初島周辺

 4.関東地方の地殻変動
  C 清水〜熱海市〜藤沢市間の上下変動
  C 布良・勝浦・油壷各験潮場間の月平均潮位差
  C 鹿野山精密辺長連続観測結果

 5.北海道地方の地殻変動
  C 伊達市〜内浦町、伊達市〜洞爺村間(有珠山周辺)の上下変動
  C GPS連続観測結果 有珠山周辺
  C GPS連続観測結果 有珠山周辺(ベクトル図)

 6.東北地方の地殻変動
  C GPS連続観測結果 岩手山周辺
  C 岩手山における絶対重力変化

 7.中部地方の地殻変動
  C 岐阜市〜高山市間の上下変動
  C 高山市〜木祖村間の上下変動
  C 福井市〜関市間の上下変動
  C GPS連続観測結果 上高地周辺

 8.近畿地方の地殻変動
  C 和歌山市〜五條市間の上下変動
  C 五條市〜多気町間の上下変動

 9.四国地方の地殻変動
  C GPS連続観測結果 瀬戸内中部

 10.その他
  C 国内VLBI観測(国内超長基線測量)観測結果

 11.伊豆諸島の地殻変動
 (1)GPS連続観測
  A4 基線長・比高変化グラフ(精密暦:1994.7.25〜)
  C 基線長変化グラフ(精密暦:約2年間)
  C 比高変化グラフ (精密暦:約2年間)
  A4 ベクトル図(6.21〜6.25-8.7)
  C ベクトル図(7.1 M6.4前後)
  C ベクトル図(7.9 M6.1前後)
  C ベクトル図(7.15 M6.3前後)
  C ベクトル図(7.24 M5.5前後)
  C ベクトル図(7.30 M6.4前後)
  A4 ベクトル図(8.3〜4の活動前後)

 (2)その他
  A4 8.3-8.6間のデータを用いたインバージョン結果
  A4 新島・式根島・神津島周辺の地殻変動について
  A4 伊豆諸島の地震火山活動が周辺のプレート境界に及ぼす影響

【3】北海道大学
  C 北海道とその周辺の地震活動(2000年5月〜7月)

【4】東北大学
  C 東北地方およびその周辺の微小地震活動(2000年5月〜2000年7月)
  A4 2000年6月3日千葉県北部の地震について
  A4 試論:2000年伊豆諸島海域の地殻活動

【5】東京大学大学院理学系研究科
  C 東海地域における地球科学的観測について
  C 伊豆半島における地球科学的観測について
  C 福島県東部における地球科学的観測について

【6】東京大学地震研究所
  A4 新島・神津島・三宅島付近の地震活動(2000年6月下旬〜8月中旬)
  C 関東甲信越地域の地震活動(2000年5月〜7月)
  C 和歌山県北西部の浅発地震数の推移(1983年8月〜2000年5月)
  C 瀬戸内海西部とその周辺地域の地震活動(2000年5月〜7月)
  C 震研93型平行2枚ばね傾斜計による傾斜観測
  C 震研90型水管傾斜計による傾斜観測(網代、内浦)
  C 北海道地域における屈折法・反射法地殻構造調査
  A4 三宅島における重力変化

【7】東京工業大学
  C 伊豆半島における全磁力変化

【8】名古屋大学
  C 東海地域の地震活動(2000年5月1日〜2000年7月31日)
  A4 三重県東部周辺の地震活動の推移
  A4 伊豆諸島(神津・新島周辺)の地殻活動

【9】京都大学
  C 西南日本内陸部の地震活動
  C 神津島における臨時地震観測

【10】九州大学
  C 九州の地震活動(2000年5月〜2000年7月)
  C 九州南部の地震活動(2000年5月〜2000年7月)(鹿児島大)

【11】防災科学技術研究所
  C 関東・東海地域における最近の地震活動(2000年5月〜2000年7月)
  C 関東・東海地域における最近の地殻傾斜変動(2000年5月〜2000年7月)
  A4 東海地域想定震源域における地震活動変化(その3)
  A4 三宅島の火山活動に伴う傾斜変動・地震活動

【12】地質調査所
  A4 伊豆諸島周辺のテクトニクスと火山地質
  A4 東海・伊豆地域における地下水等観測結果(2000年5月〜7月)
  C 長野県西部・岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(2000年5月〜7月)
  C 有馬−高槻−六甲断層帯近傍における地殻活動観測結果(2000年5月〜7月)
  C 近畿地域の地下水位・歪観測結果(2000年5月〜7月)

【13】水路部
  A4 伊豆小笠原弧北部の変動地形とテクトニクス
  C 留萌沖の海底地質構造について
  C 水路部における地殻変動観測

【14】通信総合研究所
  A4 伊豆諸島における地震・火山活動による首都圏広域地殻変動観測網への影響
  A4 航空機搭載映像レーダによる三宅島の観測結果について

【15】茂木清夫
  A4 神津島・新島・三宅島周辺の地殻活動

【16】その他
A1〜Cの分類は以下のとおりとなっています。
(A1)この間における全国の地震活動の報告と質疑
(A2)この間における全国の地殻変動の報告と質疑
(A3)地震活動,地殻変動以外の観測結果の報告と質疑
(A4)各地域についての詳細検討
(A5)トピックス
(B) 話題提供
(C) 資料提出
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