地震予知連絡会の活動報告

第196回地震予知連絡会(2012年8月29日) 議事概要

平成24年8月29日(水)、国土地理院関東地方測量部において第196回地震予知連絡会が開催された。全国の地震活動、地殻変動などのモニタリングについての報告が行われ、続いて重点検討課題として「内陸で発生する地震について」に関する報告・議論が行われた。最後に次回の重点検討課題「世界の巨大地震・津波」に関する趣旨説明等が行われた。以下に、その概要について述べる。

「地殻活動のモニタリングに関する検討」資料説明映像(38MB,約16分)
「重点検討課題に関する検討」資料説明映像     (46MB,約21分)
※一部音声に乱れがあります。
※アドオンを実行してご覧下さい。
 ページ番号付きの資料が必要な方は、下記よりダウンロードしてください。
 説明資料(PDF:5MB)

1.地殻活動モニタリングに関する検討

1.1 地殻活動の概況

(1)全国の地震活動について

 国内で2012年5月から7月までの3ヶ月間に発生したM5以上の地震は58個であった。M6以上の地震は8個、M7以上はなかった。最大のマグニチュードは5月20日の三陸沖で発生した地震のM6.5であった(気象庁資料)。

(2)日本列島の歪み変化

 GNSS連続観測データによる最近1年間の日本列島の歪み図では、東北地方太平洋沖地震の余効変動の影響が顕著に見られる(国土地理院資料)。

(3)日本周辺における浅部超低周波地震活動

 2012年5月〜7月にかけては、目立った超低周波地震活動は無かった。6月12日に福島県沖〜茨城県沖で、7月4日に日向灘で超低周波地震が検出された(防災科学技術研究所資料)。

1.2 東北地方太平洋沖地震関連

 2012年6月18日宮城県沖の地震の震源付近におけるM6クラスの繰り返し地震に関する報告がなされた(気象庁資料)。
 過去3ヶ月間の水平変動には、東北地方太平洋沖地震後の東向きの余効変動が見られる(国土地理院資料)。
 上下変動については、太平洋沿岸の一部観測点で隆起傾向が見られるが、隆起速度は小さくなってきている(国土地理院資料)。
 海底地殻変動観測結果には、宮城沖1観測点で地震後に約30cmの西向きの変動が見られる(海上保安庁資料)。
 水平歪みの図には、東北地方太平洋沖地震後の余効変動の影響が見られる(国土地理院資料)。
 地殻変動の時系列データの図では、対数関数により観測データがよく説明されていることが示された(国土地理院資料)。
 余効変動から推定した太平洋プレート上面の滑りには、顕著な滑り域の移動は見られず、モーメントの解放速度が時間と共に小さくなっていることが示された(国土地理院資料)。  

1.3 プレート境界の固着状態とその変化

(1)南海トラフ・南西諸島海溝周辺

・西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況
 短期的スロースリップイベントを伴う微動活動が、5月14日から23日にかけて紀伊半島北部で、5月25日から6月10日にかけて四国西部〜中部で、6月8日から14日にかけて紀伊半島南部でみられた(防災科学研究所資料)。

2.重点検討課題「内陸で発生する地震」の検討

 西日本の活断層で発生する地震および東北地方太平洋沖地震の誘発地震について議論が行われた。これらに関して、5つの話題について報告され、検討が行われた。
 近畿・中国地方東部では、歴史的に被害地震のほとんどが南海トラフ沿いのM8クラスの巨大地震前後に発生していることが報告された。前回の東南海・南海地震により起震応力が低下して発生が抑制されたとみられる断層での地震が増加する兆候が見られ、地震の活動期に入っている可能性が示唆された(海洋研究開発機構・堀高峰主任研究員資料)。

 盆地・山地の配列、活断層の分布、重力異常などの観点から近畿地方における地震テクトニクスに関する考察が紹介された。地球物理学的情報から得られた基盤構造などを基に得られた大阪堆積盆地形成のシミュレーション結果などが示された(京都大学・竹村恵二教授資料)。

 地表の活断層分布、地質・地下構造、重力異常分布等のデータを総合的に用いた断層帯の位置、形状、活動規模等の評価について報告がなされた。本評価手法の適用による主要活断層帯の延長および新たな活断層の認定によって九州地方の活断層の長期評価が変わる可能性などが報告された(東北大学・今泉俊文教授資料)。

 過去および新たに行われた活断層調査から、従来、鮎川付近が北端と考えられていた柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯主部が、福井港沖にある越前堆列の北東−南西方向の活断層・背斜付近まで延びていることなどが報告された。さらに、柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯の分岐断層である浦底−柳ヶ瀬山断層帯が、従来の結果よりさらに約10km北西に延びていることなどが報告された(産業技術総合研究所・杉山雄一主幹研究員資料)。

 2011年4月に発生した福島県浜通りの地震では、断層変位地形が明瞭とはいえない独立した2条の断層が同時に破壊したことが報告された。トレンチ掘削調査により、一万数千年前にも井戸沢断層において正断層型の地震が発生していたことがわかった(京都大学・堤浩之准教授資料)。

3.次回(第197回)重点検討課題「世界の巨大地震・津波」の趣旨説明

    

 世界各地の沈み込み帯における巨大地震と津波に関する研究成果をレビューするとともに、M9クラスの巨大地震の断層パラメーターや繰り返し間隔に関する共通性を見出すことを目的として検討が行われる予定である。(趣旨説明資料)。

4.重点検討課題運営部会報告

    

 来年度の重点検討課題について、課題を選定したことと、重点検討課題のとりまとめについて当ホームページで公開することが報告された(事務局資料)。
 「重点検討課題を中心とした議論の紹介」はこちら

各機関からの提出議題

《地殻活動モニタリングに関する検討》

【1】気 象 庁
 1.	地殻活動の概況
  a.地震活動
   O 全国M5.0以上の地震と主な地震の発震機構
   S 東海地域の地震活動
 2.東北地方太平洋沖地震関連
   S 東北地方太平洋沖地震余震域の地震活動 
   S 福島県浜通りから茨城県北部の地震活動 
 3.プレート境界の固着状態とその変化
  a.日本海溝・千島海溝周辺
   S 十勝地方南部の地震(7月22日 M5.1)	
   S 宮城県沖の地震(5月6日 M5.2、5月16日 M4.8)	
   S 三陸沖の地震活動(5月19日頃〜 最大M6.5)	
   S 青森県東方沖の地震(5月24日 M6.1)	 	
   S 岩手県沖の地震(6月3日 M4.2)		 	 	
   O 宮城県沖の地震(6月18日 M6.2)
   S 千島列島の地震(ウルップ島南東沖、7月8日 M6.2)	
  b.相模トラフ周辺・首都圏直下
   S 茨城県南部から千葉県北西部の地震活動	 	
   S 千葉県北西部の地震(5月29日 M5.2) 	
   S 東海・南関東地方の地殻変動(3cを含む)	
  c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
   S 三重県から愛知県における深部低周波地震活動とそれに伴うひずみ変化
    (5月15日〜23日)
  d.その他
   S 海溝と直交する方向の全国の基線長変化 
 4.その他の地殻活動等
   S 上川地方北部の地震活動(7月15日〜 最大M4.3)	
   S 根室半島南東沖の地震(7月15日 M5.0)		
   S 福島県会津から山形県置賜地方の地震活動	
   S 岩手県沖の地震(5月10日 M5.1)
   S 福島県沖の地震(6月28日 M5.2)	  	
   S 岩手県沖の地震(7月2日 M4.5)		
   S 岩手県沖の地震(7月30日 M5.5)	 	
   S 小笠原諸島西方沖の地震(5月27日 M6.3) 	
   S 千葉県東方沖の地震(6月6日 M6.3)	 	
   S 千葉県南部の地震(6月29日 M4.5)	 	
   S 千葉県南部の地震(7月3日 M5.2) 		
   S 長野県北部の地震(7月10日 M5.2)	 	
   S 宮崎県南部山沿いの地震(6月4日 M4.4)  	
   S 天草灘の地震(8月17日 M4.9)※ 期間外	 	
   S 沖縄本島北西沖の地震(5月21日 M5.1)		
   S 台湾付近の地震(6月10日 M6.0)	 	
   S オホーツク海南部の地震(8月14日 M7.3)※ 期間外
   S イタリア北部の地震(5月20日 Mw6.1)		
   S イラン/アルメニア/アゼルバイジャン国境の地震(8月11日 Mw6.4)※ 期間外
   S 活断層付近の地震活動			 	
   	 	
【2】国土地理院
 1.地殻活動の概況
  b.地殻変動
   O GEONETによる全国の地殻水平変動
   O GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差
   O GNSS連続観測から推定した日本列島の歪み変化
 2.東北地方太平洋沖地震関連
   O 東北地方太平洋岸 GNSS連続観測時系列
   O 対数関数近似
   O 東北地方太平洋沖地震後の地殻変動ベクトル
   O 基線ベクトルの成分変位と速度グラフ
   O 東北地方太平洋沖地震のプレート境界面上の滑り分布モデル一覧
   O 矢吹&松浦 Q3【モデル1】
   O 時間依存 F3【モデル2】
   O 矢吹&松浦 F3+海底地殻変動観測点【モデル3】
 3.プレート境界の固着状態とその変化
  a.日本海溝・千島海溝周辺
   S 北海道太平洋岸 GNSS連続観測時系列
   S 北海道の地殻変動(猿払固定)
  b.相模トラフ周辺・首都圏直下
   S 伊豆半島および伊豆諸島の地殻水平・上下変動図
  c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
   O 森〜掛川〜御前崎間の上下変動
   O 水準点2595(御前崎市)の経年変化
   O 水準点(140-1,2595)の経年変化
   O 掛川〜御前崎間の各水準点の経年変化
   O 電子基準点の上下変動 水準測量とGNSS観測の比較
   O 御前崎地区高精度比高連続観測
   O 菊川市付近の水準測量結果
   O 静岡〜掛川間の上下変動
   O 浜松〜掛川間の上下変動
   O 牧ノ原〜藤枝間の上下変動
   O 舞阪〜御前崎間の上下変動
   O 渥美半島の上下変動
   O 御前崎〜掛川〜静岡間の上下変動
   O 舞阪〜御前崎〜静岡間の上下変動
   O 浜松〜掛川〜静岡間の上下変動
   O 水準測量による東海地方の上下変動(定常、非定常)
   O 東海地方の各水準点の経年変化(7月期)
   O 1901年を基準とした東海地方各水準点の経年変化(134-1固定)
   O 1979年を基準とした東海地方各水準点の経年変化(134-1固定)
   S 御前崎周辺 GNSS連続観測時系列
   S 駿河湾周辺 GNSS連続観測時系列
   S 御前崎長距離水管傾斜計月平均
   S 御前崎・切山長距離水管傾斜計による傾斜変化
   S 御前崎地中地殻活動観測装置観測
   S 御前崎における絶対重力変化
   S 東海地方の最近の地殻変動
 4.その他の地殻活動等
   S 三宅島 水準観測結果
   S 伊豆半島東部地区 GNSS連続観測時系列
   S 伊豆諸島地区 GNSS連続観測時系列
   S 対数関数近似グラフ 説明資料
   
【3】北海道大学
   
【4】東北大学
   
【5】東京大学地震研究所
 4.その他の地殻活動等
   O 長野県北部の地震
   
【6】東京工業大学
   
【7】名古屋大学
   
【8】京都大学防災研究所
 4.その他の地殻活動等
   S 近畿地方北部の地殻活動
   
【9】九州大学
   
【10】鹿児島大学
   
【11】統計数理研究所
 2.東北地方太平洋沖地震関連
   O 1995年兵庫県南部地震によって誘発された地震活動の遡及的予測と解析
   
【12】防災科学技術研究所
 3.プレート境界の固着状態とその変化
  a.日本海溝・千島海溝周辺
   O 日本周辺における浅部超低周波地震活動(3cを含む)
  b.相模トラフ周辺・首都圏直下
   S 関東地方のGEONET観測網による地殻変動観測
  c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
   O 西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況
   S 関東・東海地域における最近の傾斜変動
   S 伊豆地方・駿河湾西岸域の国土地理院・防災科研のGNSS観測網による地殻変動の観測
  
【13】産業技術総合研究所
 3.プレート境界の固着状態とその変化
  c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
   S 東海・伊豆地域における地下水等観測結果(2012年5月-2012年7月)
   S 紀伊半島〜四国の地下水・歪観測結果(2012年5月-2012年7月)
 4.その他の地殻活動等
   S 神奈川県西部地域の地下水位観測(2012年5月-2012年7月)
     -- 神奈川県温泉地学研究所・産総研
   S 岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(2012年5月-2012年7月)
   S 近畿地域の地下水・歪観測結果(2012年5月-2012年7月)
   S 鳥取県・岡山県・島根県における温泉水・地下水変化(2012年5月-2012年7月)
     --鳥取大学工学部・産総研
   
【14】海上保安庁
 1.地殻活動の概況
  b.地殻変動
   S GPSによる地殻変動監視観測
 2.東北地方太平洋沖地震関連
   O 東北地方太平洋沖地震後の海底地殻変動観測結果

記載分類は以下の通りとなっています。
1.地殻活動の概況
 a.地震活動
 b.地殻変動
2.東北地方太平洋沖地震関連
3.プレート境界の固着状態とその変化
 a.日本海溝・千島海溝周辺
 b.相模トラフ周辺・首都圏直下
 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺
 d.その他
4.その他の地殻活動等

 ・口頭報告(O)
 ・資料提出のみ(S)
PageTop