地震予知連絡会の活動報告

第122回地震予知連絡会(1997年2月17日) 議事概要

 平成9年2月17日、国土地理院関東地方測量部において、第122回地震予知連絡会が開催され、大学及び関係観測機関等から地震活動、地殻活動の観測データの報告があり、議論が行われました。

 以下に主な議事の概要を紹介します。

1. 東海地方の地震、地殻活動

 東海地方の地震活動については、1994年ころ駿河湾を中心とする地域で活動が低調であったが、1995年より活動が見られるようになってきた(気象庁資料)。特に、駿河湾内石花海での固まった活動が顕著で、1990以降駿河湾全域の活動度が消長を繰り返しながらも高まる傾向が見られ、今後の推移が注目される(気象庁資料)。

 平成9年1月の水準測量結果によると、森町を基準として掛川の140−1及び浜岡の2595共に顕著に沈降している((国土地理院資料)。浜岡と掛川間の比高の経年変化は、年周変化を補正しても10月の測量と比較して、約1cmの沈降を示している(国土地理院資料)。

 1977年頃からの国土地理院の水準測量と名古屋大学の辺長測量結果のパターンを比べたところ、東海地方西部の上下変動がいくつかのパターンに分けられ、しかもそのパターンが継続する時期が辺長変化のパターンと同期していることが明らかになった(名古屋大学資料)。

 GPS連続観測結果によると、1996年4月初旬から1997年1月初旬までの期間、岐阜県荘川を基準とすると、東海地方は北西方向へ約2cm/年で移動していることがわかる(国土地理院資料)。しかし、伊豆半島は東伊豆の変動を除けば西へその倍近い速さで移動しており、南関東・東海地方とは異なる変動をしていることが注目される。

2. 伊豆半島の地殻活動

 伊豆半島東方沖で2月になって、小規模な活動があった。今回の活動は、これまでの川奈崎沖とは異なり、網代−宇佐美間の海岸付近深さ2〜6kmあたりに固まって発生していることが特徴である(気象庁資料)。活動は、8日に活発となったが、その後減衰している。広報暦を使用したGPS連続観測結果には、これに伴うと考えられる変動は認められない(国土地理院資料1資料2資料3)。

3.西表島付近の地震活動

 沖縄県西表島付近において2月10日より小規模な活動が始まり(気象庁資料)、16日現在も継続している。地震は、1992年の群発地震活動の震源域の南端、西表島の北西海岸付近に固まっていることが特徴である。前回の活動はかなり長期間にわたったので、今後の活動の推移が注目される。

(事務局:国土地理院)