重点検討課題を中心とした議論の紹介

5.用語集・リンク集

5.1 用語集

地震予知連絡会
 地震予知に関する基礎的用語集(PDF 204 KB)

文部科学省
 「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画の推進について(建議)用語解説」科学技術・学術審議会
 「地震がわかる! 防災担当者参考資料」 資料編(PDF 882 KB)
 「日本の地震活動」 付録(PDF 4,020 KB)


5.2 リンク集「地震の解説」

気象庁
 地震・津波の知識(地震・津波のビデオ、パンフレット)
 地震についてよくある質問集

文部科学省
 「地震がわかる! Q&A」
 「地震がわかる! 防災担当者参考資料」
 「日本の地震活動」

東京大学地震研究所
 謎解き地震学

防災科学技術研究所
 地震の基礎知識とその観測
  第1部 地震の基礎知識
  第2部 地震に関する観測とその体制
 防災基礎講座 「自然災害について学ぼう」 11.地震

5.1 地震予知に関する基礎的用語集

50音順
【ア行】
アスペリティ
 プレート境界や断層面において固着の強さが特に大きい領域のこと。この領域が地震時に滑ると,滑り量が周りよりも大きくなり,大振幅の地震波を放出する。アスペリティがどのように連動して滑るかによって地震の大きさが変化する。いろいろな大きさのアスペリティが混在する場合には,それらの相互作用が地震サイクルに大きく影響すると考えられている。

一元化処理
 地震調査研究推進本部の「地震に関する基盤的調査観測計画」(平成9 年8 月)に基づき,気象庁は,文部科学省と協力して,自らの地震観測データに加え,防災科学技術研究所や大学等のデータをリアルタイムで収集し,震源の決定等の処理を一元化に行っている。この処理は一元化処理と呼ばれ,また,一元化処理により決定された震源は一元化震源と呼ばれる。

異方性
 一般には方向によって物性が異なることをいうが,ここでは地震波速度の異方性のこと。振動方向や伝播(でんぱ)方向によって地震波の伝播速度が異なること。応力物体内部での力の掛かり具合を示す,物体内部に考えた仮想的な面を通して及ぼされる単位面積当たりの力。震源域の応力が破壊強度より高くなったときに地震が発生すると考えられている。三次元の物質中の任意の応力状態は互いに直交する三つの軸に平行な圧縮と引っ張りで表すことができるが,この三つの軸を応力の主軸と呼ぶ。

応力
 岩盤等の物体内部に考えた仮想的な面を通して及ぼされる単位面積当たりの力。震源域の応力が岩盤の破壊強度より高くなったときに地震が発生すると考えられている。3次元の物質中の応力状態は互いに直交する3つの軸方向の圧縮と引っ張りで表すことができるが,この3つの応力を主軸と呼ぶ。

【カ行】
海溝型地震
 海溝付近で発生する地震。プレート境界地震,海洋プレート内地震,陸型プレート内のプレート境界から派生した断層で発生する地震を含む。

海底間音響測距観測
 海底において,音波を用いた距離の測定により地殻変動(相対変位)を連続的に観測すること。

海底基準点
 GPS-音響測距結合方式の海底地殻変動観測により決められる海底の位置基準点。

活褶曲(かつしゅうきょく)
 第四紀後期(数十万年前〜現在)に入ってからも活動を続けている褶曲のこと。おもに活断層の活動に伴う。

活断層
 地質時代でいう第四紀後期(数十万年前〜現在)に繰り返し地震を発生させ地表近傍まで食い違いを生じてきた断層。今後も同様の地震を発生させると考えられる。

間隙(かんげき)水圧
 土や岩石中の粒子間のすきま(間隙)に入り込んだ水などの流体の圧力。間隙流体圧ともいう。

キネマティックGNSS解析
 GNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)は,GPS等の衛星を用いた測位システムの総称で,GNSS観測から観測点の時々刻々の位置を高精度に求める解析手法。

規模依存性
 現象の規模によって,物理量などがどのように変わるかを記述する法則。例えば,断層の長さや滑り量が地震の規模にどのように依存するかを記述する法則。

規模別頻度分布
 地震の規模(マグニチュードM)ごとの地震の発生度数n(M)の分布。通常は,グーテンベルグ・リヒターの式logn(M)= a - bM(a,b は定数)に従うことが知られている。b は0.7〜1.0 程度の値。

逆解析
 観測データから,それを生じさせる原因となる現象や物質の性質等を推定する解析手法。

強度回復過程
 地震が発生したときに低下した断層の摩擦強度が,時間とともに回復していく(高まっていく)過程。

ケーブル式海底地震計
 海底での地震観測を行う一方式。複数の地震計を海底ケーブルでつなぎ,地震計からのデータは海底ケーブルにより陸上局まで伝送され,リアルタイムのデータ取得ができる。

コア
 →ボーリング(コア)の項を参照。

広帯域地磁気地電流(広帯域−MT)観測
 数百Hz 〜数千秒帯域の自然電磁源を用いた比抵抗探査法。地磁気地電流(MT)観測の項を参照。

固着域
 プレート境界上で,注目している期間において,二つのプレートが堅固にくっついている領域のこと。

固有地震
 固有地震モデルに基づく地震のこと。固有地震モデルとは、Schwartz & Coppersmith(1984,1986)のいうCharacteristic earthquake model の訳(垣見, 1989)で、「個々の断層またはそのセグメントからは、基本的にほぼ同じ(最大もしくはそれに近い)規模の地震が繰り返し発生する」というもの。本報告では、固有地震をその領域内で繰り返し発生する最大規模の地震と定義した。(「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」より)

【サ行】
散乱
 波動や粒子線が物体や微粒子と衝突して色々な方向に広がっていく現象。地震学では,地震波が不均質な地下構造を伝わる際に,均質な構造の場合とは異なり,エネルギーの一部が色々な方向に広がっていく現象のことを指す。

地震発生サイクル
 地震発生後,断層面の強度が回復するとともに,プレート運動などによる広域応力により再びひずみエネルギーが蓄積され,次の地震が発生するまでの一連の過程。

地震モーメント
 地震の規模を表す最も基本的な量。地震断層の面積と滑り量及び剛性率(岩盤の変形のしにくさを表す物性値)の積で計算される。

震源核
 地震が発生する前に断層面上でゆっくりと成長すると考えられている地震の種。外的な力の増大とともに滑りが進行し応力が低下している領域。ある臨界状態に達すると成長が加速し,動的破壊,すなわち地震発生に至る。「破壊核」とも呼ばれる。

震源断層パラメータ
 地震が発生した断層の長さ,幅,滑り量,応力の変化など,震源断層を特徴付けるパラメータ。

人工衛星レーザー測距(SLR)
 地上基地局から人工衛星に向けて発射したレーザー・パルスが反射して戻ってくるまでの時間から,地上基地局と衛星間の距離を測定する。人工衛星にはコーナーキューブとよばれる,光がやってきた方向に反射する特殊な鏡が複数取り付けられ,1cm以上の精度の精密な測定が可能である。SLRはSatellite Laser Rangingの略。

深部低周波微動
 プレート境界の固着域の下端付近で発生する低周波(数Hz)成分に富んだ地震波が長い時間にわたって放出される現象のこと。

水圧破砕法
 応力を推定する手法の一つ。ボアホールの任意の深さより浅い部分と深い部分を遮蔽し,水圧をかけて破壊面を造成した後,その破壊面を再び開いたり閉じたりする条件から地殻内の応力を推定する。水圧破砕法では,地表で計測された流量や水圧に基づいて破壊面の開閉の検出を行うが,これは困難との指摘がある。すべての装置をボアホール内に設置し,装置の剛性を高め,破壊が開く時の水圧を精度良く推定できるように改良した手法が高剛性水圧破砕法。

スケーリング(則)
 現象の規模によって,物理量などがどのように変わるかを記述する法則。たとえば,断層の長さや滑り量が地震の規模にどのように依存するかを記述する法則。

滑り欠損
 プレート境界の変位を考えた時,プレートの収束運動から期待される量から,実際に生じているずれの大きさを減じた量。欠損が大きいとはプレート間が固着していることを意味する。

スラブ内地震
 海溝などから沈み込んだ海洋性プレート内で発生する地震のこと。

スロースリップ
 →ゆっくり滑りの項を参照。

制御地震
 地殻構造等を調べる目的で地震波を人工的に発生させる装置。爆薬や,水中に圧縮空気を放出するエアガンなどがある。

セグメント
 断層で地震が起こる場合には,断層全体が一度に動くとは限らず,幾つかの区分に分かれた振る舞いをすることがある。このように,まとまった振る舞いをする区分をセグメントと呼び,それらの境界のことをセグメント境界という。

絶対重力
 測定地点での重力の絶対値。絶対重力計で測定される。

全磁力
 ある場所における地球磁場の大きさ。磁場の観測量として,その長期的安定性が最も高い。磁気を帯びた鉱物の磁化(磁性の強さ)は,温度や応力によって変化するので,全磁力の変化は地下の温度,応力状態の変動を示唆する。

前駆的滑り
 地震の発生に先行する非地震性の滑り。前兆滑りともいう。

前震
 本震の近傍で本震発生前に起きる地震のこと。

相似地震
 地震波形が良く似ている地震群のこと。ほぼ同じ断層面で同じような滑りが起きた場合に発生すると考えられる。

塑性
 応力がほぼ一定のまま非弾性変形が進行し,急激で激しい破壊が起こらないような物質の性質。

ソナー
 超音波の発射信号と反射信号との位相差を測定することにより,反射体との間の距離(変化)を精密に測定する機器。水中では光が届きにくいためレーザー計測の代替手段として使われることが多いが,同距離を測定した場合,光と比べて波長が長く水中の屈折率も大きいため光に比べて誤差が大きい。

【タ行】
大気伝播誤差
 GPS やSAR は電波の到達時刻を測定し,それに光速度を乗じて求めた距離から,最終的に位置の計測を行う技術である。電波は真空では光速度で進行するが,物質中では伝播速度が変化する。高高度の人工衛星から発射された電波は,大気中を通過する際に光速より遅い速度で伝わるため,電波は真空の場合より遅れて地表に伝わる。この遅れを大気伝播誤差と呼ぶ。正確な位置の決定には,この誤差を補正することが必要である。特に,地表250〜400 キロメートル上空付近にある電離層を通過する場合に生ずる誤差を電離層遅延誤差と呼ぶ。

「だいち」
 陸域観測技術衛星(ALOS)。地図作成,地域観測,災害状況把握,資源探査等を主目的とし,2006 年1 月に打ち上げられた国産衛星。地殻変動検出に適するL バンド(波長23.6 センチメートル)のSAR センサー及び2 種の光学系センサーを搭載する。  【2011 年5 月12 日 同衛星の運用が終了。】

地殻変動
 地震などの断層運動や火山活動などの地下の活動によって地表に生じた変位やひずみ,傾斜の変化。

地磁気地電流(MT)観測
 自然電磁源を用いた比抵抗探査法の一つ。地表で電場と磁場の測定を行い,電磁場間の周波数応答関数により地下の非抵抗分布を推定する。低周波(長周期)ほど,より深い構造が得られる。観測する周波数帯域によって,広帯域地磁気地電流(広帯域MT)観測(数百Hz〜数千秒:地殻から最上部マントルを対象),超低周波地磁気地電流(ULF-MT)観測(数秒〜数万秒:中部地殻から上部マントルを対象)などと分類される。また,電場測定において通信回線網を用いて長期長基線観測を行い,広域深部構造を推定する方法として,通信回線網地磁気地電流(ネットワークMT)観測がある。

超長基線電波干渉法
 クエーサー(準恒星状天体)から放射される宇宙電波を数千キロメートル離れた複数の観測点で同時に受信し,その到達時間差から観測点間の距離や位置関係を測定する。VLBI(Very Long Baseline Interferometer)ともいう。

超低周波地磁気地電流(ULF−MT)観測
 超低周波(数秒〜数万秒)自然電磁源を用いた比抵抗探査法。地磁気地電流(MT)観測を参照。

超低周波地震
 短周期成分がほとんど含まれず長周期成分が卓越する地震波を放射する地震のこと。ゆっくり滑りや火山活動にともなって生じる。

津波堆積物
 津波によって運ばれた砂や礫などが堆積したもの。これを調べることにより,過去の津波の年代や規模を推定することができる。

通信回線網地磁気地電流(ネットワークMT)観測
 自然電磁源を用いた比抵抗探査法の一つ。通信回線網に用いられている金属の通信線を利用して,長期長基線電場観測を行う。地磁気地電流(MT)観測を参照。

低周波地震
 地震波の低周波成分が卓越し,高周波成分の地震波が相対的に少ない地震のこと。ここでは特に陸域の地殻深部やマントル最上部付近で発生する地震を指す。活火山ではしばしば低周波地震が観測され,マグマなどの火山流体の地下での移動や地表への噴出活動と密接に関連していると考えられている。

低周波微動
 地下深部において,微小地震と同程度の振幅だが通常の微小地震より低周波の地震波が,長い時間にわたって放出される現象のこと。継続時間は数分から長くとも1 時間程度である場合が多い。低周波微小地震と似た現象だが,波の始まりが不明瞭(りょう)でかつ長時間継続することが異なる。

透過率・反射率
 地震波速度や密度が異なる物質が接している面に地震波が入射すると,そのまま透過する地震波と反射される地震波が生じる。透過地震波と入射波の振幅比を透過率,反射地震波と入射波の振幅比を反射率という。

撓曲(とうきょく)
 地下に伏在する活断層のせん断面が地表まで達せず,地表面や地表付近の地層が緩やかに撓んだ変形を生じること。撓曲は逆断層に多いが,正断層が伏在している場合にも形成される。

透水係数
 岩石などの水の通しやすさを表す係数。単位断面積を単位時間に通過する流量と水圧勾(こう)配の比として定義される。

トモグラフィ
 多数の観測点の地震波形記録等から地下の2次元または3次元構造を推定する手法。地震波速度や減衰構造の推定によく用いられる。医学の分野において,X線や超音波で体の2次元断面を求めるための手法が,地球物理学に応用されたもの。

トレンチ調査
 地質調査法の一つで,地表から溝状に掘り込み,地表では観測できない地層を新たに露出させる手法。過去の断層運動の跡を調査する活断層や火山の噴火史を調査するために有力な方法。

二重差(DD)トモグラフィー
 近接する地震の走時の差を利用することにより,震源域周辺の地震波速度構造を高精度で推定する方法。

【ナ行】
内陸地震
 陸側プレート内の地殻で発生する地震。

日本海溝海底地震津波観測網(S-net)
 地震計と津波計が一体となった観測装置を光海底ケーブルで接続した観測網で,防災科学技術研究所が日本海溝沿いの海底に設置したもの。24時間連続で観測データをリアルタイムに取得できる。観測装置は150カ所,ケーブル総延長は約5,700kmである。

粘弾性
 物質に加える力と変形量が時間に依存せず一対一に対応する弾性的性質と,力を加えると時間とともに変形が進行する粘性的性質とを併せ持つ性質。地下深部の高温下の岩石は粘弾性的性質を持つと考えられている。

粘弾性変形
 加えられた力の大きさに変形が比例する弾性的性質と力が加えられた時間とともに変形が進行する粘性的性質を併せもつ性質が粘弾性である。地下深部の高温下の岩石は粘弾性的性質をもつと考えられ,この性質による変形のこと。

【ハ行】
ハザードマップ
 ある災害に対する危険な区域を示した地図。火山のハザードマップでは,火山岩塊,火山灰,火砕流,溶岩,泥流などの災害を引き起こす現象が波及すると予想される範囲などが図示される。

発震機構解
 地震の起こり方。地震波の放射パターンなどから求められる震源断層の走向,傾斜角,滑り角を指す場合が多い。断層に働いていた力の方向を知る手掛かりになる。

反射地震断面
 地下の物質境界での反射波を地表で観測し,地下構造を可視化した断面図。

非地震性滑り
 →ゆっくり滑りの項を参照。

ひずみ
 岩盤(プレート)などが変形する際の,変形の大きさをひずみという。単位長さ当たりの変位で定義される。

ひずみエネルギー
 弾性体を変形させた時に弾性体中に蓄えられるエネルギー。

ひずみ集中帯
 測地観測や地形から推定される地殻ひずみが大きい領域。

比抵抗
 単位断面積,単位長さあたりの電気抵抗値。電気伝導度の逆数。

不均質地盤構造
 基盤層以浅の物性定数が,空間的に均質でない状態(構造)。例えば,組成の違いや空隙率の分布状態,流体の含有などによって,物性定数が変化する。応力場も不均一になり,特定の場所に応力集中が生じる可能性がある。

プレート
 →プレート境界の項を参照。

プレート境界
 地球表面は,地殻と十分に冷却して固くなっている最上部マントルとを合わせた,厚さ100km程度の複数の固い岩石の層で覆われている。この岩石層がプレートとよばれ,それらの境界がプレート境界である。プレート境界においてはしばしば大きな地震が発生する。

ボアホール
 地下深部の情報を取得するために掘削される円筒状の穴。直径は10〜20 センチメートル程度のものが多いが,深いほど大きくするのが普通である。ボアホールは地下深部の岩石のサンプル(コア試料)を取得する目的のほか,地下深部での地震計やひずみ計,傾斜計などの計測機器の設置,地下水・応力測定などに利用される。

ボーリング(コア)
 ボーリング掘削により柱状試料を採取する手法で,トレンチ調査に比べ深い深度まで地質試料を入手することができ,より長い期間の地質現象を探ることが出来る。ボーリングにより採取されたサンプルのこと。

本震,余震
 比較的大きな地震が発生すると,その近くで最初の地震より小さな地震が直後から続発する。この最初の大きな地震のことを本震,その後に続発する地震を余震という。

【マ行】
マグニチュード(M)
 地震の規模の指標。

摩擦・破壊構成則
 岩石の破壊強度や断層面上の摩擦を滑り変位や滑り速度などの関数として記述したもの。

モーメントマグニチュード(Mw)
 地震モーメントの大きさから一意に算出されるマグニチュード。比較的短い周期の地震波から簡便に決定できるマグニチュードは,大規模な地震でその値が飽和してしまうという問題があった。この問題を解消するために導入された。

【ヤ行】
ゆっくり滑り
 地震波を放射しない,断層面やプレート境界面でのゆっくりとした滑り。ここでは,継続時間が数か月以上のものを長期的ゆっくりすべり,それ以下のものを短期的ゆっくりすべりと呼ぶ。スロースリップ,スロースリップイベント(SSE)ともいう。

余効(よこう)滑り
 地震の後に震源域あるいはその周囲で発生するゆっくり滑り(ずれ)。

余効変動
 地震の後に震源域あるいはその周囲で生じる長期間に及ぶ地殻変動の総称。代表的な例としては,断層面上で発生する余効滑りや,マントルの粘弾性緩和による変形などが挙げられる。

【ラ行】
ラドン濃度
 放射性元素ラドンの濃度。地震発生に先行して地下水中等のラドン濃度の変化が報告されている。

リモートセンシング
 遠隔観測手法の総称。様々な波長の電波や光を用いて,対象物の形状,温度,物質などを測定する。人工衛星や航空機から測定することによって広い範囲を迅速に測定できる。



アルファベット順
【 A 】
ACROSS(精密制御定常震源システム)
 精密に制御した地震波や電磁波を連続的に地下に送り,戻ってきた信号の変動によって地下構造の変動をとらえるために開発されたシステム。岩盤中の割れ目の開閉や流体の移動に敏感であると考えられている。

【 B 】
b値
 地震の規模別頻度を横軸としてマグニチュード,縦軸として地震の発生数の対数をプロットした際の傾きのこと。通常は0.7・1.0程度である。

【 C 】
CMT(セントロイドモーメントテンソル)
 Centroid Moment Tensor の略。地震波形データを用いて,震源過程全体を時空間の1点で代表させた場合のその位置,発震機構などを求めること。

CSEP
 Collaboratory for the Study of Earthquake Predictabilityの略。客観的かつ透明性のある地震予測検証実験を実行できる研究基盤環境を作り,その過程において地震の予測可能性を探るための国際研究計画。

【 D 】
DGPS局
 GPS の信号を用いた相対測位方式であるDGPS(Differential GPS)を実施するために設けられた基地局のこと。DGPS 局から発信される補正信号によって,観測局ではリアルタイムに1〜2 メートルの測位精度が得られる。日本では海上保安庁やFM 局による日本全国のDGPS 局網がある。

【 E 】
ENVISAT衛星
 ヨーロッパ宇宙機関(ESA)によって2002 年に打ち上げられた地球観測衛星。地殻変動や地形を観測できる合成開口レーダー(ASAR)を始めとして,大気・海洋・陸域を観測する複数のセンサーが搭載されている。

【 F 】
F−net
 防災科学技術研究所が日本全国に約70 か所に整備した広帯域地震観測網。奥行き50m程度の横坑の最奥部に,固有周期約120秒または360秒の3成分広帯域速度型地震計,及び3 成分速度型強震計が設置されており,連続データのリアルタイム収集が行われている。

【 G 】
GEONET
 国土地理院が全国に展開しているGNSS 連続観測網。平成18 年時点での観測点(電子基準点)数は1,231 点。1 秒ごとのGPS 観測データがほぼすべての観測点からリアルタイムでつくば市にある中央局に送信されている。定常的に3 時間ごと及び24 時間との各点の座標値を計算している。電子基準点を参照。
 ※ 平成22 年3 月現在 電子基準点数 1,240 点

GIS
 地理情報システム(Geographic Information System)の略語。地理的位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し,視覚的に表示し,時間や空間の面から分析できる技術である。

GNSS
 全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)の略称。位置や時刻同期を目的とした電波を発射する人工衛星群,地上の支援システム及び電波の受信装置の総称。利用者は,受信機で電波を受信することで自分の3次元的な地球上の位置や正確な時刻を計測することができる。アメリカ合衆国が構築したGPSは現在最も実用的なGNSSであるが,他にもロシアのGLONASSや,ヨーロッパ連合(EU)のGalileoなどのシステムがある。

GPS
 汎地球測位システム(Global Positioning System)の略。地上高約20,000 キロメートルの高度を航行するGPS 衛星からの電波を地上で受信し,三次元的位置と時刻を正確に計測するシステム。地殻変動計測には干渉測位と呼ばれる電波の位相を用いた相対測位法が用いられる。

GNSS(GPS)‐音響測距結合方式
 海底における地殻変動を観測するための手法の一つ。海上の船舶やブイの位置をGNSS(GPS)によって精密に決定し,それらと海底に設置された基準点(観測点)との距離を,海中音波を用いて測定することにより,海底の基準点の位置を推定する。

【 H 】
Hi−net
 防災科学技術研究所が日本全国約800 か所に整備した高感度地震観測網。深さ100 メートル程度の縦孔の底部に,固有周期約1 秒の3 成分高感度速度型地震計が設置され,連続データのリアルタイム収集が行われている。

【 K 】
K-NET
 防災科学技術研究所が日本全国約1,000 か所に整備した強震観測網。地表に設置された3 成分加速度型強震計は,計測震度計としての機能も有しており,地震発生時の波形データの収集が行われている。

KiK−net
 防災科学技術研究所が日本全国約700 か所に整備した強震観測網。Hi-net に併設される形で,深さ約100m 程度の縦孔の底部と地表の両方に,3 成分加速度型強震計が設置され,地震発生時の波形データの収集が行われている。

【 S 】
SAR
 Synthetic Aperture Radar(合成開口レーダー)の略。人工衛星や航空機などに搭載されたアンテナを移動させることにより大型アンテナと同等の高い分解能を実現したレーダーシステム。SAR干渉解析(Interferometric SAR,InSAR)は,同じ場所を撮影した時期の異なる2 回の画像の差をとる(干渉させる)ことにより地表面の変動を詳細にとらえる手法である。

SLR
 人工衛星レーザー測距(Satellite Laser Ranging)の略。人工衛星に搭載した逆反射プリズム(コーナーキューブ)に対して,地上基地局からレーザー・パルスを発射し,そのパルスの往復時間から衛星までの距離を1cm 程度もしくはそれより良い精度で求める技術。

【 V 】
Vp/Vs
 P波とS波の伝播速度の比。岩石の種類や流体が含まれるかどうかによって値が変わる。


※以上は,「地震予知のための新たな観測研究計画(第2次)の実施状況等レビューについて(報告)」 平成19 年3 月6 日 科学技術・学術審議会 測地学分科会 及び「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画の推進について(建議)」平成20 年7 月17 日 科学技術・学術審議会 及び「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(建議)」平成29年1月16日 科学技術・学術審議会測地学分科会 用語解説より抜粋。

2017.08.14 更新
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