地震予知連絡会の活動報告

第143回地震予知連絡会(2001年5月21日) 議事概要

 平成13年5月21日、国土地理院関東地方測量部において、第143回地震予知連絡会が開催され、全国の地震活動、全国の地殻変動、地震予知における電磁気現象などについて観測・研究成果の報告が行われ議論がなされた。以下に、その概要について述べる。

1.全国の地震活動について

 最近3ヶ月間、北海道東方沖、福島沖、静岡県中部、安芸灘、日向灘などの地域でM5を越える地震が発生した。
 M5以上の全国の地震 (2001.02.01−2001.04.40)(気象庁資料)

2.東海地域の地殻活動について

 東海地域では、2月23日に静岡県西部でM4.9の地震が、4月3日には静岡県中部でM5.1の地震が発生したが、その後特に変化は見られない。
 東海地方における地震活動の変化(最近2年間)(気象庁資料)

 東海地域の推定固着域における地震活動は、境界面の下盤側では1999年8月頃より低下した活動が2000年末から元のレベルに戻った一方で、上盤側では1996年頃からの静穏化傾向が続いている。
 東海地域の推定固着域付近における地震活動変化について(その6)-1(防災科学技術研究所資料)
 東海地域の推定固着域付近における地震活動変化について(その6)-2(防災科学技術研究所資料)

 水準測量結果によると、浜岡町の水準点2595は掛川の水準点140-1に対して沈下を続けているが、その傾向に変化は見られない。
 水準点2595(浜岡町)の経年変化(国土地理院資料)

 国土地理院では、東海地域の上下変動に対する監視体制を強化するため、掛川から御前崎に至る水準路線に沿って高精度比高観測点を整備した。その観測結果によれば、御前崎側が相対的に沈降しており、水準測量の結果とも調和的である。
 高精度比高観測点 基線図(国土地理院資料)
 高精度比高観測による比高変化速度分布(国土地理院資料)

3.伊豆諸島の地殻活動について

 三宅島から新島、神津島にかけて2000年6月末より続いてきた活発な地震活動は次第に落ち着いてきたが、2001年4月以降にやや活発化している。
 三宅島付近から新島・神津島付近にかけての地震活動(最近の活動)(気象庁資料)

 一方、神津島島内で行われた水準測量結果により、2000年1月から2001年4月の間に、南へ向かって傾き上がる7cmの上下変動が検出された。潮位観測結果を加味すると19〜25cmの隆起となり、モデルにより計算される地殻変動と整合的な結果である。
 水準測量による神津島島内の地殻上下変動(2000年1月〜2001年4月)(名古屋大学資料)

4.富士山の地震活動について

 2000年10月以降活発化した富士山周辺の低周波地震活動は4月以降に再び活発化した。低周波地震の震源は富士山頂北東部の下、深さ15km付近に位置しており、振動継続時間と波形記録の最大振幅を表示したダイヤグラムを見ても非常に活発な活動であることがわかる。
 最近の富士山の地震活動(防災科学技術研究所資料)
 富士山の低周波地震活動活動度(防災科学技術研究所資料)

5.栃木・群馬県境の地震活動について

 3月31日に栃木・群馬県境の日光白根山付近でM4.9の地震が発生した。震源の深さは8kmで震源メカニズムは北西−南東圧縮の横ずれ型である。余震活動は4月上旬のうちに減少した。足尾付近の地震活動が活発な地域とは別の活動である。
 栃木・群馬県境の地震活動(気象庁資料)

6.芸予地震について

 3月24日の芸予地震の発生後、豊後水道地域、日向灘地域でもM5クラスの地震が発生しており、それぞれの地域の地震活動が相補的になっているようにも見える。
 安芸灘〜伊予灘〜日向灘周辺域で発生した地震のM−T図(防災科学技術研究所資料)

 また、Double-Difference法を用いて余震分布を精密に再決定したところ、高角で西へ傾き下がるような分布が得られた。さらに、本震の断層すべり分布と重ね合わせると、余震は本震のすべりが少なかった場所で発生していることがわかる。
 (東京大学地震研究所資料)
 (東京大学地震研究所資料)

7.地震予知における電磁気現象について

 トピックスでは、尾池委員を世話人として、地震予知における電磁気現象について集中的な議論を行った。鹿児島県北部地震に伴うULF帯の磁場変動など多くの観測例が紹介され、現象の有意性が検討された。ひとくちに電磁気現象と言っても、周波数や対象とする現象の違いによって様々な手法が存在しており、各手法の長所を生かしつつ統合整理していくことの必要性が指摘された。また、電磁気的な異常の発生メカニズムが未解明である点、特に、地震に先立って地震発生時よりも大きなシグナルが観測される点など、今後解決すべき問題点も多い。今後も機会を設けて議論を深めることの必要性が確認された。
 手法別の分類(東海大学・千葉大学資料)
 発生メカニズムの問題点(東海大学・千葉大学資料)

(事務局:国土地理院)

各機関からの提出議題

【1】気象庁(A1)
 1.2001年2月〜5月の全国のM5以上の地震と主な地震の発震機構解

 2.2001年2月〜5月の北海道地方とその周辺の地震活動
    北海道東方沖の地震活動

 3.2001年2月〜5月の東北地方とその周辺の地震活動
    福島県会津地方の地震
    岩手・秋田県内陸南部の地震
    青森県東方沖の地震
    福島県沖の地震

 4.関東・中部地方の地震活動
    鳥島東方沖の地震
    栃木・群馬県境の地震
    埼玉県東部の地震
    千葉県南部の地震
    伊豆半島東方沖の地震
    三宅島から新島・神津島にかけての地震活動
    富士山の低周波地震
    東海地方の地震活動・地殻変動
    静岡県西部の地震
    静岡県中部(4月3日)の地震
    長野県北部の地震活動と松代における地殻変動観測
    福井・岐阜県境の地震
    石川県西方沖周辺の地震

 5.近畿・中国・四国地方の地震活動
    兵庫県北部の地震
    鳥取県西部地震の余震活動(「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」)
    紀伊水道の地震活動
    安芸灘の地震活動(「平成13年(2001年)芸予地震」)

 6.九州地方とその周辺の地震活動
    日向灘の地震活動
    大分県西部の地震活動
    鹿児島県薩摩地方の地震活動

 7.沖縄地方とその周辺の地震活動
    宮古島近海の地震活動
    与那国島近海の地震活動
  B 顕著な地震の気象庁マグニチュードの変更と経過、今後の決定方針
  A5 (トピックス)淡路島における地電流・地磁気観測について(地磁気観測所)

【2】国土地理院(A2)
 1.日本全国の地殻変動
  A2 GEONETによる最近1年間の地殻水平変動
  A2 GEONETによる最近3ヶ月の地殻水平変動
  A2 GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差(1ヶ月)
  A2 GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差(3ヶ月)
  A2 GPS連続観測から推定した日本列島の歪変化
  C 加藤&津村(1979)の解析方法による、各験潮場の上下変動

 2.東海地方の地殻変動
  A2 森〜掛川〜御前崎間の上下変動
  A2 水準点(140-1、2595)の経年変化
  A2 水準点2595(浜岡町)の経年変化
  C 掛川〜御前崎間の各水準点の経年変化
  A2 水準点2602−1(菊川町)と10333(大東町)及び2601(小笠町)の経年変化
  A2 水準点2602−1(菊川町)と2601(小笠町)の経年変化
  A2 水準測量(10333及び2601)による傾斜ベクトル(月平均値)
  C 比高変化に対する近似曲線の係数変化
  C 東海地方各験潮場間の月平均潮位差
  C GPS連続観測結果 駿河湾周辺
  C GPS連続観測結果 駿河湾周辺(2)
  A2 GPS連続観測結果 掛川・御前崎周辺
  C GPS連続観測による基線長・比高変化に対する近似曲線の係数変化
  C 比高変化に対する近似曲線の係数変化(GPS連続観測及び水準測量)
  C GPS連続観測及び水準測量による比高変化
  C GPS連続観測結果 静岡県中部
  C GPS連続観測結果 静岡県西部
  A2 御前崎地区高精度比高観測
  C 御前崎長距離水管傾斜計月平均(E−W)
  C 地中地殻活動観測装置観測結果
  A2 東海・関東地域における地殻変動について
  A2 2000年伊豆諸島群発地震活動と東海・関東地方の地殻変動

 3.伊豆地方の地殻変動
  C 伊東・油壷・初島・真鶴各験潮場間の月平均潮位差
  C 伊東東部連続観測(辺長)日平均結果
  C GPS連続観測結果 伊東・初島周辺
  A2 GPS連続観測結果 伊豆諸島北部周辺
  A2 GPS連続観測結果 伊豆諸島北部周辺(ベクトル図)

 4.関東地方の地殻変動
  C 東関東地方の水平歪
  C 三浦半島西側地方の上下変動
  C 水準原点を基準とした三浦半島(一等水準点)の上下変動
  C 布良・勝浦・油壷各験潮場間の月平均潮位差
  C 水準・潮位による験潮場固定点の変動
  C 鹿野山精密辺長連続観測結果
  A2 GPS連続観測結果 富士山周辺

 5.北海道地方の地殻変動
  C GPS連続観測結果 有珠山周辺
  C GPS連続観測結果 北海道駒ヶ岳周辺

 6.東北地方の地殻変動
  C GPS連続観測結果 岩手山周辺
  C GPS連続観測結果 磐梯山周辺

 7.近畿地方の地殻変動
  C 阪南市〜広川町間の上下変動
  C GPS連続観測結果 兵庫県北部

 8.中国・四国・九州地方の地殻変動
  C 九州北部〜山陰地方の水平歪
  C 鳥取県地方の水平ベクトル図
  C 中国地方の上下変動
  C GPS連続観測結果 鳥取県西部
  C GPS連続観測結果 瀬戸内中部
  C 安芸灘周辺のGPS連続観測

 9.その他
  C GPS連続観測結果 硫黄島

【3】北海道大学
  C 北海道とその周辺の最近の地震活動(2001年2月−5月15日)
  A4 2001年4月の北海道北部浅発地震帯の地震活動
  A5 (トピックス)十勝沖・根室沖大地震予知のための電磁気観測

【4】東北大学
  C 東北地方およびその周辺の微小地震活動(2001年2月〜2001年4月)

【5】東京大学大学院理学系研究科
  C 東海地域における地球科学的観測について
  C 伊豆半島における地球科学的観測について
  C 福島県東部における地球科学的観測について

【6】東京大学地震研究所
  B 2001年芸予地震の余震分布(再解析結果)
  C 伊豆半島及び伊豆諸島周辺の地震活動(2001年2月〜2001年4月)
  C 関東甲信越地域の地震活動(2001年2月〜2001年4月)
  C 四国地方の歪み変化について
  C 瀬戸内海西部とその周辺地域の地震活動(2001年2月〜2001年4月)
  C 紀伊半島およびその周辺部の地震活動(2001年2月〜2001年4月)
  A5 (トピックス)伊豆半島東部地域における全磁力観測(1996年−2001年4月)
  A5 (トピックス)東海地方における全磁力観測(1996年−2001年4月)

【7】名古屋大学
  C 東海地域の微小地震の分布(2001年2月〜2001年4月)
  C 水準測量による御岳群発地震域における上下変動(1999年9月〜2001年4月)
  A4 水準測量による神津島島内の地殻上下変動(2000年1月〜2001年4月)
  A4 2001年4月3日静岡県中部の地震(M=5.1)に伴う余震活動および前後の地殻変動

【8】京都大学
  B 最近の地震前後の地殻変動について
  C 西南日本内陸の地震活動
  C 西日本の地殻変動観測結果

【9】九州大学
  C 九州の地震活動(2001年2月〜2001年4月)
  C 九州南部の地震活動(2001年2月〜2001年4月)(鹿児島大)

【10】防災科学技術研究所
  C 関東・東海地域における最近の地震活動(2001年2月〜2001年4月)
  C 関東・東海地域における最近の地殻傾斜変動(2001年2月〜2001年4月)
  C 関東地域における三成分ひずみ計及びIBOSによる最近の観測結果
                        (2000年5月〜2001年4月)
  A4 東海地域想定震源域における地震活動度変化(その6)
  A4 2001年4月3日静岡県中部の地震活動
  A4 最近の富士山の低周波地震活動について
  A4 2001年3月31日栃木・群馬県境付近の地震活動
  A4 平成13年芸予地震および安芸灘周辺の地震活動状況
  A5 (トピックス)地中電磁界変動と地震・火山活動との関係(2)

【11】産業技術総合研究所
  C 東海・伊豆地域の地下水観測結果(2001年2月〜2001年4月)
  C 岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(2001年2月〜2001年4月)
  A4 有馬−高槻−六甲断層帯近傍における地殻活動観測結果(2001年2月〜2001年4月)
  A3 近畿地域の地下水位・歪観測結果(2001年2月〜2001年4月)
  C 温見断層(福井県大野市温見地区)のトレンチ調査結果
  B 花折断層(京都市左京区修学院地区)のトレンチ調査結果
  B 2.5万分の1花折断層ストリップマップの刊行について

【12】水路部
  B 伊豆諸島南東方の海底地質構造・地磁気重力異常
  C GPS地殻変動観測

【13】通信総合研究所
  C VLBIによる首都圏広域地殻変動観測

【14】統計数理研究所
  A5 (トピックス)異常現象データと地震発生の相関解析および複合危険度予測:
      北京付近における日別地電位異常強度データ(1982−1997)を例として

【15】東海大学
  A5 (トピックス)電磁気学的な地震予知研究の最近の進展

【16】千葉大学
  A5 (トピックス)ULF帯3成分磁場観測による地震電磁現象

【17】岡山理科大学(事務局収集)
  C 大気イオン濃度関係資料
A1〜Cの分類は以下のとおりとなっています。
(A1)この間における全国の地震活動の報告と質疑
(A2)この間における全国の地殻変動の報告と質疑
(A3)地震活動,地殻変動以外の観測結果の報告と質疑
(A4)各地域についての詳細検討
(A5)トピックス
(B) 話題提供
(C) 資料提出
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