地震予知連絡会の活動報告
第118回地震予知連絡会(1996年2月19日) 議事概要
平成8年2月19日、国土地理院関東地方測量部において、第118回地震予知連絡会が開催され、国立大学、関係観測機関等から地震活動、地殻活動の観測データの報告があり、議論が行われました。
以下に主な議事の概要を紹介します。
1.東海地方の地殻活動
東海地方においては、1992年頃から駿河湾内の地震活動が活発化し、1995年からはM3クラスの地震の発生が見られる(気象庁資料1,資料2)。一方、水準測量による上下変動の観測では、1992年頃から御前崎側の沈降の鈍化が見られていたが、再び沈降傾向が認められるようになってきた(国土地理院資料1,資料2,資料3)。ただし、1995年からは年周変化の振幅が大きくなってきたので、沈降速度に変化が生じたかどうか判断するためには、もう少しデータの蓄積を待つ必要がある。駿河湾を横断する基線の測量の結果、最近4年間で最大4cmの縮みが得られた。並行するGPSの連続観測の結果にも同程度の縮みが見られ、少なくとも最近1年間は、駿河湾はこのペースで縮み続けていることが明らかになった(国土地理院資料)。
2.伊豆半島の地殻活動
伊豆半島東方沖では1995年9〜10月の群発活動の後も、若干の地震活動が継続している(気象庁資料)。水準測量結果でも、群発地震活動が終息した後にも伊東市から東伊豆町にかけて広い範囲に小さな隆起が認められる(国土地理院資料)。GPS連続観測でも10月以降、初島−小室山間の距離がわずかながら伸び続けている(国土地理院資料)。
3.北海道地方の地殻活動
北海道松前周辺では、1995年10月より群発地震活動が続いているが、1996年になっても、活動はやや低下したものの依然継続している(気象庁資料)。臨時観測による精密な震源決定によると、地震は北東−南西方向のほぼ鉛直な面上に分布し、さらに時間とともに南の方に活動の中心が移動していることが明らかになった(北海道大学資料)。この地震活動に伴い、GPS連続観測の結果で、松前が小樽に対して北北東に約1.5cm移動した(国土地理院資料)。
4.東北地方の地震活動
1996年2月17日、福島県沖でM6.6の地震が発生し、北海道から関東に至る広い範囲で有感となった(気象庁資料)。海底地震計のデータを含めた解析では、この地震は福島県沖の活発な活動域から少し離れたところで発生した。また、仮定する地殻構造や地震波データの読みとりの精度等によりかなり任意性が大きいが、深さはプレート境界よりは深く、約50kmと推定される(東北大学資料)。ただし、震央は海底地形が周囲より浅くなっているところに位置し、地殻構造が複雑であることも考えられ、今後精査をする必要がある。
5.近畿地方の地震活動
1995年1月17日の兵庫県南部地震以降、北摂・丹波地域では以前の5倍近い地震活動の活発化が見られたが、1995年10月ころより、ややその活動度に低下傾向が見られ、今後、以前の活動レベルに戻っていく可能性が高いとの見解が示された(京都大学防災研資料)。
(事務局:国土地理院)