地震予知連絡会の活動報告

第127回地震予知連絡会(1998年2月16日) 議事概要

 平成10年2月16日、国土地理院関東地方測量部において、第127回地震予知連絡会が開催され、東海地方の地殻活動、伊豆半島の地殻活動、関東地方の地殻変動および北海道地方、鹿児島県北部の地震活動等について、大学、関係観測研究機関等より観測・研究成果の報告があり、議論が行われました。

 以下に主な議事の概要を紹介します。

1.東海地方の地殻活動

 御前崎地方の地殻変動については、1998年1−2月の水準測量結果によると、森町を基準にして掛川の140−1および浜岡の2595は共に沈降をしており、例年のこの季節にみられる傾向に一致している(国土地理院資料)。

 しかしながら、掛川の140−1からみた浜岡の2595の比高は、前回1997年11月の観測値と比較して沈下したものの、年周変化を補正した値でみると、最近の沈下速度が鈍っているように見える傾向は変わらなかった(国土地理院資料)。

 GPS連続観測点でみた東海・関東地方の、茨城県八郷を基準とした上下変動は、地震活動等に伴って隆起を見せている伊豆半島、伊豆諸島の一部を除いては、ここ3年間あまり大きなパターンの変化はなかった(国土地理院資料)。

 この3ヶ月については、東海地方・駿河湾周辺においては特に顕著な地震活動はみられなかった(気象庁資料)。駿河湾内の地震活動は少ない状態が続いている(気象庁資料)。

 東海地方全般にわたっての1981年から1997年までの微小地震活動をみると、いくつかの活動のクラスターが確認できるが、活動パターンはそれぞれのクラスターによって様々である。掛川近くのクラスターでは、1992年頃から活動が活発化している(防災科研資料1資料2)。

2.伊豆半島の地殻活動

 伊豆半島東部ではこの3ヶ月間、特に顕著な地震活動はみられなかったが、伊東周辺では微小地震の活動が現在も継続している(地震研究所資)。

3.関東地方の地殻変動

 房総半島の上下変動は、水準測量の結果からみると経年的に沈降が続いている。先端部においては、水準原点からみて年間4mm程度の沈下速度であるが、最近4年間をみると、ややそれより大きい沈下速度を見せている(国土地理院資料)。

4.北海道地方の地震活動

 北海道地方では、太平洋側の根室沖、浦河沖および日本海側の北海道南西沖地震の余震域で地震活動が続いているが、最近の観測網の整備によって北海道北西岸に南北に連なる地震活動の帯が存在することが明らかになった(北海道大学資料)。

5.鹿児島県北部の地震活動

 鹿児島県北部では、1997年3月26日および5月13日の余震域で地震活動が続いている(九州大学資料)。

 5月13日の地震以降みられていた南北に連なる余震域のうち、その南端の部分で1997年12月14日にM3.5の地震が発生した。その後、この地域では1998年1月10日にM4.1の地震が発生するなど、地震活動がやや活発化している(鹿児島大学資料)。

(事務局:国土地理院)