地震予知連絡会の活動報告
第124回地震予知連絡会(1997年5月19日) 議事概要
平成9年5月19日、国土地理院関東地方測量部において、第124回地震予知連絡会が開催され、大学及び関係観測機関等から地震・地殻活動の観測データ、研究成果の報告があり、議論が行われました。
以下に主な議事の概要を紹介します。
1.東海地方の地殻活動
東海地方の地殻活動については、1997年3月16日の愛知県東部地震(M5.5)がこの期間の顕著なものであった。本地震はプレート内の地震であり、観測によれば余震は急速に沈静化した。なお、この地域のGPS連続観測では、地震に伴う地殻変動は検出されなかった。
御前崎地方の地殻変動については、1997年4月の水準測量結果によると、森町を基準として掛川の140−1及び浜岡の2595は、前回観測と比較して共に隆起していることが報告された。4月の観測は例年年周変化により隆起する傾向を見せるが、今回の結果もそのパターンに従つたものと考えられる(国土地理院資料)。
2.伊豆半島の地殻活動
伊豆半島東方沖では3月に群発地震活動があった(気象庁資料)。今回の活動は、3月4日のM5.3を最大の地震とする活動であるが、GPS、水準測量、測距等の観測結果には、これまでの活動と多少異なった分布の地殻変動が見られた。昨年10月の活動では開口割れ目モデルによるとみられる変動パターンであったが、今回は開口割れ目モデルだけでなく川奈崎沖の南北走向の断層運動による影響も含まれるものと解釈した方が変動パターンを説明しやすい。
3.関東地方の地殻活動
GPSを利用した高度基準点測量によって、丹沢地区における関東地震以降の水平変動・上下変動が明らかになった。丹沢山塊は地質学的にみれば隆起の傾向にあるが、1923年の関東地震では沈降したことが知られている。今回の観測結果によれば約70年で最大40cm近い隆起が起きており、これは地質学的知見と調和的である(国土地理院資料1)。
4.鹿児島県北西部の地震活動
鹿児島県北西部では3月26日および5月13日にそれぞれM6.3およびM6.2の地震が発生した。地震のメカニズムは二つの地震とも北東−南西圧縮、北西−南東伸張の横ずれである。3月26日の地震はほぼ東西の余震分布を持ち、本震はそのほぼ中央で発生している(気象庁資料)。また、5月13日の地震は3月26日の余震域を南にはずれた場所で発生し、余震の震央分布には東西の列と、南北の列の2つが明瞭に見える。本震はこの2つの列の交わるところで発生している(九州大学資料1,資料2)。GPS連続観測によれば、この地震に伴う水平変動が近傍の観測点において見られる(国土地理院資料)。
(事務局:国土地理院)