地震予知連絡会の活動報告

第131回地震予知連絡会(1999年2月15日) 議事概要

 平成11年2月15日、国土地理院関東地方測量部において、第131回地震予知連絡会が開催された。全国の地震活動、地殻変動の概況の報告に続いて、東海、伊豆、北海道、関東・中部、九州地方の地殻活動等について、大学、関係観測研究機関等より観測・研究成果の報告があり、議論がなされた。次に今回のトピックスとして地震予知における電磁気現象について関係機関からこれまでの研究についてレビューと現在の観測状況に関する報告があり、討議が行われた。

以下に、観測・研究結果の報告について、その概要を述べる。

1.全国の地殻活動

 日本列島周辺では、1998年11月〜1999年1月の3ヶ月間にマグニチュード(M)5.0以上の地震が14個発生しているが、M7.0以上の地震は発生していない。また、1998年1月〜12月の1年間でM6.0以上の地震は11個発生している(気象庁資料1資料2)。

 GPS連続観測による日本列島の地殻水平変動については、岩手山周辺の地震活動に関連したベクトルが見られるが、その他の特筆すべき変動は見られない(国土地理院資料1資料2資料3)。

 沖の鳥島においては1995年以来毎年1回づつGPSの繰り返し観測が行われている。この4年間の観測によると、沖の鳥島は本土(紀伊半島の下里観測点)に対して北西方向に4.7cm/年移動しており、この動きはフィリピン海プレートの動きに調和的である(海上保安庁水路部資料)。

 GPS観測の結果に基づき面積歪速度、最大剪断歪速度を解析した結果として、日本列島全体の圧縮場および剪断変形の様子が地図上で示された(国土地理院資料)。

2.東海・伊豆地方の地殻活動

 東海地方ではこの3ヶ月間、特に顕著な地殻活動はみられなかった。駿河湾ではここ4年間のGPS観測によれば定常的な縮みの変化が続いていることがみられる(国土地理院資料1資料2)。

 御前崎地方の地殻変動については、1999年1月の水準測量結果によると、浜岡の水準点2595は前回観測よりも沈降した。年周変化を取り除いた後の値でも沈下している(国土地理院資料)。

 水準測量の結果に基づいた解析によれば、1980年以降の駿河湾東岸(伊豆半島西海岸)の上下変動と、駿河湾西岸の上下変動の経年変化は互いに似通った傾向を示しており、沈降速度の変化が見られた時期を比較すると、伊豆半島における変動が1〜2年先行している様子が見られる(東京大学地震研究所資料)。

(事務局:国土地理院)

各機関からの提出議題

【1】気象庁 
 1 全国の地震活動
 2 北海道地方とその周辺の地震活動
 3 東北地方とその周辺の地震活動
 4 関東・中部地方の地震活動
 5 近畿地方・中国・四国地方とその周辺の地震活動
 6 九州地方とその周辺の地震活動
 7 沖縄地方とその周辺の地震活動
 8 GPSデータによる地殻変動簡易表示ソフトウエア

【2】国土地理院
 1 全国の地殻変動
 2 東海地方の地殻変動
 3 伊豆地方の地殻変動
 4 関東地方の地殻変動
 5 東北地方の地殻変動
 6 中部地方の地殻変動
 7 近畿地方の地殻変動
 8 中国・四国地方の地殻変動

【3】北海道大学
 1 北海道とその周辺の最近の地震活動(1998年11月〜1999年1月)
 2 北海道とその周辺の最近の低い地震活動

【4】東北大学
 1 東北地方およびその周辺の微小地震活動(1998年11月〜1999年1月)
 2 宮城県およびその周辺の最近の地震活動
 3 東北地方における地殻変動連続観測(1999年1月まで)

【5】東京大学理学部
 1 東海地方における地球化学的観測
 2 伊豆半島における地球化学的観測
 3 福島県東部における地球化学的観測

【6】東京大学地震研究所
 1 東海地方と伊豆半島の上下変動の比較
 2 光波観測による伊東付近の地殻変形
 3 富士川・駿河湾地方における地殻変動観測(その23)
 4 伊豆半島付近の地震活動(1998年11月〜1999年1月)
 5 伊豆半島東部地域の全磁力観測(1998年2月〜1999年1月)
 6 関東甲信越地域の地震活動(1998年11月〜1999年1月)
 7 長野県中部の地震の臨時余震観測 
 8 紀伊半島およびその周辺部の地震活動(1998年11月〜1999年1月)
 9 瀬戸内海西部とその周辺地域の地震活動(1998年11月〜1999年1月)

【7】東京工業大学
 1 伊豆半島における地磁気・地電流観測
 2 地震予知における電磁気現象

【8】名古屋大学 
 1 東海地域の地震活動 
 2 御岳山周辺の地震活動の推移
 3 GPS観測による神津島における水平変動(1996年7月〜1998年8月)

【9】京大理・防災研
 1 西南日本内陸部の地震活動
 2 地殻活動総合観測線による観測結果(暫定値)1998年2月1日〜1999年1月31日

【10】九大理・鹿児島理学部
 1 九州の地震活動(1998年11月〜1999年1月)
 2 長崎県諫早付近の地震活動
 3 九州南部の地震活動(1998年11月〜1999年1月)
 4 種子島付近の地震活動
 5 背弧(男女群島)における地震観測

【11】防災科学技術研究所
 1 関東・東海地域における最近の地震活動(1998年11月〜1999年1月)
 2 関東・東海地域における最近の地殻傾斜変動(1998年11月〜1999年1月)
 3 東海地震推定固着域における地震活動度変化の検出(2)
 4 伊豆半島東方沖の最近の地震活動
 5 防災科研における電磁気現象に関する観測研究の概要

【12】国立天文台
 1 江刺における地殻変動連続観測 

【13】地質調査所 
 1 東海・伊豆地域におけるテレメータによる地下等観測結果(1998年11月〜1999年1月)
 2 跡津川断層沿いの歪計で観測されたクリープ現象
 3 長野県西部・岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果
                     (1998年11月〜1999年1月)
 4 近畿地域の地下水位観測結果(1998年11月〜1999年1月)
 5 有馬—高槻—六甲断層帯近傍における地殻活動観測結果(1998年11月〜1999年1月)

【14】水路部 
 1 GPS地殻変動監視観測

【15】通信総合研究所
 1 VLBI首都圏地殻変動観測における大気勾配推定モデルの効果(続報)
 2 通総研における電磁気現象に関する観測研究の概要