地震予知連絡会の活動報告

地震予知連絡会強化地域部会(2001年7月27日) 議事概要

 平成13年7月27日、国土地理院関東地方測量部において、平成13年度第1回地震予知連絡会強化地域部会が開催された。

 東海地域における最近の地殻変動の変化について国土地理院から報告があり、それに関連して大学、関係観測研究機関等から観測・研究成果の報告が行われ、議論がなされた。以下、報告と議論の概要を述べる。

1.東海地方の地殻変動の変化について

 2001年3月から6月にかけて、東海地域西部における国土地理院のGPS観測結果にそれまでと傾向の異なる変化が見つかった。定常的な地殻変動を差し引くと、静岡県西部から岐阜県南部付近に至る地域で、約3ヶ月間に南東向きに1cm弱の変位があったように見える(国土地理院資料国土地理院資料)。

 この地殻変動は2000年の後半からゆっくりと開始したようにも見えるが、2001年になって加速している。ただし、時間変化の詳細を議論するのは現状では困難である(国土地理院資料)。

 この変位をプレート境界面のすべりとしてモデル計算を行うと、愛知県東部付近の地下で最大1-2cmの南東向きの非地震性すべりが生じたとすれば観測値を説明できる(国土地理院資料)。

 水準測量の結果によれば、舞阪付近で2cm程度の隆起が、御前崎の先端付近で5mm程度の南上がりの傾動が見られ、GPSの結果とは定性的に矛盾しない結果である(国土地理院資料国土地理院資料)。

 ただし、浜岡町の水準点2595の沈下傾向には顕著な変化は見られない(国土地理院資料)。

 GPSに変化が見られた時期に体積歪みや地震活動には顕著な変化は見られないが、断層すべりのモデルから予測される歪み変化は体積歪みの検出限界以下であるため、GPSの観測結果と矛盾しない(気象庁資料気象庁資料)。

 愛知県東部の下部地殻付近では、火山地域以外としては珍しい低周波地震が発生していることも最近分かってきており、今回のような地殻変動との関連も今後の検討課題である(気象庁資料)。

 今回の非地震性すべりが推定された領域は、東海地域のプレート境界面上における推定固着域のほぼ西隣に位置している(防災科学技術研究所資料)。

 また、長期間の傾斜記録を解析した結果によると、三ヶ日の観測点において、GPSによって見つかった地殻変動と調和的な北西下がりの傾斜変化が2000年後半以降に加速している可能性がある(防災科学技術研究所資料)。

 今回の異常地殻変動の検出はGPS観測技術の進歩を如実に示すものであり、こうした発見は地震予知の観点からも非常に重要な意義がある。今後とも地殻変動の推移を注意深く見守る必要があり、国土地理院では既に公開している全国の情報に加え、当面月一回程度、この地域の地殻変動情報を公表していく予定である。

(事務局:国土地理院)