地震予知連絡会の活動報告

地震予知連絡会強化地域部会(2000年7月2日) 議事概要

 平成12年7月2日、国土地理院関東地方測量部において、平成12年度第1回地震予知連絡会強化地域部会が開催された。

 平成12年6月26日からの三宅島の火山活動に関連した地震活動、神津島近海で起きた7月1日のM6.4の地震、周辺の地殻変動の概況の報告及びその他の観測・研究成果の報告があり、議論がなされた。以下に、観測調査結果の報告と討議の内容について、その概要を述べる。

1.今回の地震活動

 6月26日の夜から三宅島の西部で火山性の地震活動が始まり、活発な活動を続けながら次第に活動の中心を西方海上に移動していった。7月1日には、三宅島から西方に伸びたこの活動域の西端付近で、M6.4の地震が発生した。一方、この活動域とは少し離れた神津島の北方でも6月29日にM5.2の地震が発生している(気象庁資料)。

 過去の地震活動を見てみると、三宅島・神津島周辺ではM5〜M6クラスの地震が短い期間に続発することがあるが、M6クラスの地震が続けて起きたことは1例しかない(気象庁資料)。

 過去の三宅島噴火に関連した地震活動の例として1962年及び1983年の活動と比較してみると、今回の活動は島の西方に活動域が広がっていた1962年の活動に類似している(気象庁資料)。

 今回の地震活動の推移をマグマの活動との関連で見ると、当初島の南部から南西に向けて移動を開始したマグマがその後西向きに貫入を始めたものと解釈される(気象庁資料)。

 7月1日の地震に伴っては、周辺の検潮所で小規模な津波があったことが観測されている(気象庁資料)。

 三宅島・神津島周辺では新島から神津島に沿っての北東−南西に伸びる地震活動の帯が存在している。今回の三宅島から北西方に伸びた地震活動域とこの活動域との間には、神津島の東方で地震活動の空白域があったが、7月1日のM6.4の地震はこの空白域で発生した(地震研究所資料)。

 過去のM4以上の震源分布を見ると、新島から神津島に沿っての北東−南西の地震の帯とともに、三宅島から北西に伸びる活動域の延長に並ぶ傾向が見える。このような傾向の中で今回の地震活動が起きた。空白域の方向に震源が移動し、2つの帯の交点ではかねてから地震活動が活発であったため、地震活動の推移が懸念されていた(茂木会長資料)。

 GPS観測により、三宅島の火山活動に伴う大きな地殻変動が観測された。地殻変動は御蔵島・神津島周辺地域にも及び、7月1日の地震に伴ってはコサイスミックな地殻変動が観測された。コサイスミックな変動の方向は東西方向の右横ずれ断層に伴うものとして理解できることが示された(国土地理院資料)。、(国土地理院資料)。

 神津島に設置された傾斜計では、地震活動域が三宅島西方沖に移動した6月28日頃から北西下がりの傾斜を観測した。その原因については現時点では不明である(防災科学技術研究所資料)。

(事務局:国土地理院)