地震予知連絡会の活動報告

第139回地震予知連絡会(2000年10月10日) 議事概要

 平成12年10月10日、国土地理院関東地方測量部において、「平成12年(2000年)鳥取県西部地震と西南日本の地殻活動」を議題として、第139回地震予知連絡会(臨時会)が開催された。平成12年10月6日に発生した鳥取県西部地震(マグニチュード7.3)とそれに関連する西南日本の地殻活動等について、大学、関係観測研究機関より観測・研究成果の報告があり、議論がなされた。

 以下に、観測調査結果の報告と討議の内容について、その概要を述べる。

 鳥取県西部地震は、余震の震源分布や発震機構からみて、北北西−南南東方向の断層が活動したものと考えられる。余震は本震の震源の北北西側、南南東側の両側で発生しており、順調に減衰している。

 最大の余震は8日に震源域の北部で発生したマグニチュード5.0の地震である。また周辺で地震活動が誘発された地域があり、8日には本震の震源地の西南西約20km付近でマグニチュード5.5の地震が発生した。
 平成12年鳥取県西部地震とその余震活動図(10/613:00 - 10/10 7:00)(気象庁資料)
 鳥取県西部の地震活動(期間別)(気象庁資料
 鳥取県西部の地震活動(周辺で地震活動が活発になった領域)(気象庁資料)

 GPS連続観測結果によると、地震に伴って最大16cmの水平変動が観測された。この地殻変動から、北北西−南南東方向で長さ20km、幅10km、上端の深さ1kmのほぼ垂直な断層が1.4mの左ずれを生じたという断層モデルが示された。これは本震の発生機構や余震の震源分布と調和的である。(国土地理院資料、4頁及び別添資料)
 鳥取県西部GPS連続観測 水平ベクトル図(国土地理院資料)
 平成12年10月6日鳥取県西部地震に伴う地殻変動と断層モデル(国土地理院資料)

 鳥取県西部では、今回の震源域の中で1989−1990年にマグニチュード5クラスの地震が多発するなど、最近約10年間は地震活動が活発であった。
 鳥取県西部の地震活動(1989年〜)(京都大学防災研究所資料)

 山陰地方の沿岸域では、880年出雲地震、1872年浜田地震、1925年北但馬地震、1927年北丹後地震、1943年鳥取地震などのマグニチュード7級の地震が知られている。島根県東部地域は880年出雲地震以来の地震空白域になっており、今回の地震はその周縁部で発生したこと、1943年鳥取地震以後、鳥取県内では東西圧縮応力に対応した横ずれ断層型の地震が西進して発生する傾向があることが示された。
 山陰地方の歴史地震と最近の地震活動(鳥取大学資料)
 山陰地方の地殻応力の方向と震源断層面(鳥取大学資料)

 鳥取・島根県沿岸域でマグニチュード4以上の地震に着目すると、1990年を境に鳥取県西部に地震が集中するようになったことも示された。
 鳥取・島根県地方のM4以上の地震(1961年1月〜(気象庁資料)

 以上のように、今回の地震は唐突に発生したものではないことが議論されたが、さらに広域的にみて、西南日本は南海地震後の静穏期から次の南海地震前の活動期に入っていることが議論された。また、1978年に地震予知連絡会が観測強化地域、特定観測地域を指定して以来、これまでに発生したマグニチュード6.5以上の地震の多くがこれらの地域内で発生したことも示された。
 西南日本の海溝型巨大地震のサイクルと内陸地震(茂木会長資料)
 特定地域において発生した内陸型地震(茂木会長資料)

(事務局:国土地理院)