地震予知連絡会の活動報告
第129回地震予知連絡会(1998年8月17日) 議事概要
平成10年8月17日、国土地理院関東地方測量部において、第129回地震予知連絡会が開催された。今回からは、これまでの地域別に全機関の報告を受けるやり方から、全国の概況の報告の後、注目すべき地域に関する報告と、トピックスとして選んだテーマについて議論の時間を十分とるような方式に移行することとなり、まず全国の地震活動、地殻変動の概観、東海・伊豆地方の地殻活動等について、大学、関係観測研究機関等より観測・研究成果の報告があり、議論がなされた。次に今回のトピックスとして長野・岐阜県境(上高地−槍ヶ岳付近)の群発地震について討議が行われた。
以下に、観測・研究結果の報告およびトピックスの討議について、その概要を述べる。
1.全国の概況
5月から7月までの全国の地震活動は、M5以上の地震が21個、M6以上は3個発生したが被害を伴うような大きな地震はなかった(気象庁資料。)
ここ1年間の全国のGPS観測から見た日本列島全体の地殻変動には、伊豆、岩手山周辺で地震火山等の影響が見られる他は、とくに目立った変化はなかった(国土地理院資料)。
2.東海地方の地殻活動
東海地方ではこの3ヶ月間、特に顕著な地殻活動はみられなかった。
東海地方周辺の地震活動については、4月22日に三重県・岐阜県境で発生したM5.7の地震の余震域で多少地震活動が残っているが、その他、地震活動度の変化は特に見られない(気象庁資料。)
御前崎地方の地殻変動については、1998年7月の水準測量結果によると、浜岡の水準点2595は年周変化を除いた値では前回観測よりもわずかに沈降した。ここ数年の沈降傾向の鈍化が続いているように見える(国土地理院資料)。
3.伊豆地方の地震活動
伊豆半島東岸では、1998年6−7月の水準測量結果によれば、小室山周辺で1997年10月の測量結果と比較して3cm程度の隆起が観測された。これは、今年4月から5月にかけての群発地震活動に関連した変動と思われる(国土地理院資料)。
4.長野・岐阜県境(焼岳・槍ヶ岳付近)の地震活動
長野・岐阜県境の焼岳東方で8月7日から始まった地震活動は、深さ5km前後と非常に震源が浅く、当初上高地付近で東西方向に震源が分布する傾向を見せていたが、8月12日にM4.7の地震が発生してから、北方の槍ヶ岳近辺まで震源が南北に連なる活動が始まり、16日にはその震源域の北端で、今回の活動でこれまで最大規模のM5.4の地震が発生した(気象庁資料)。
この活動での主な地震の発震機構は、南側の上高地周辺、北側の槍ヶ岳周辺の活動域とも北西−南東方向に主圧縮軸を持つ横ずれ型であった(気象庁資料)。
この周辺では、今回の南側の活動域とほぼ同じ場所で1990年にも群発地震活動があり、また、槍ヶ岳周辺では1993年から1994年にかけて群発地震活動が起こるなど、震源域を移しながら断続的に群発地震が発生している(京都大学防災研究所資料)。
今回の活動はこれまでの活動と比較して、M4以上の地震が多く、最大規模の地震もやや大きいため、これまでと比較しても活発な活動と言える。
(事務局:国土地理院)
各機関からの提出議題
【1】 気象庁 A 1 全国の地震活動 A 2 北海道地方とその周辺の地震活動 A 3 東北地方とその周辺の地震活動 A 4 関東・中部地方の地震活動 A 5 近畿地方・中国・四国地方とその周辺の地震活動 A 6 九州地方とその周辺の地震活動 A 7 沖縄地方とその周辺の地震活動 【2】国土地理院 A 1 全国の地殻変動 A 2 東海地方の地殻変動 A 3 伊豆地方の地殻変動 C 4 関東地方の地殻変動 C 5 北海道地方の地殻変動 C 6 東北地方の地殻変動 C 7 中国地方の地殻変動 C 8 その他 【3】日大 【4】北海道大学 C 1 北海道とその周辺の最近の地震活動(1998年5月10日〜8月10日) 【5】東北大学 C 1 東北地方およびその周辺の微小地震活動(1998年5月〜7月) A 2 1998年5月31日の三陸沖の地震活動と海底津波計で観測された小規模な津波 C 3 東北地方における地殻変動連続観測(1998年7月まで) A 4 最近の岩手山周辺における地殻活動 【6】東京大学理学部 A 1 東海地方における地球化学的観測 A 2 伊豆半島における地球化学的観測 A 3 福島県東部における地球化学的観測 B 4 全国3地域の地球化学観測結果 【7】東京大学地震研究所 B 1 伊豆半島付近の地震活動(1998年5月〜7月) C 2 関東甲信越地域の地震活動(1998年5月〜7月) B 3 東北地方における大規模制御震源探査 C 4 紀伊半島およびその周辺部の地震活動(1998年4月〜6月) C 5 瀬戸内海西部とその周辺地域の地震活動(1998年5月〜7月) 【8】東京工業大学 今回議題なし 【9】名古屋大学 C 1 東海地方の微小地震の分布 A/B 光波測距・水準測量から推定した東海地域におけるプレート間相互作用の時間変化 (1978—1997年) 【10】京大理・防災研 C 1 西南日本内陸部の地震活動 C 2 淡路島800孔における地殻変動—野島断層解剖計画—」(東京大学地震研究所) 【11】九州大学 C 1 九州の地震活動(1998年5月〜1998年7月) C 2 九州南部の地震活動(1998年5月〜1998年7月)—鹿児島大学 【12】防災科学研究所 C 1 関東・東海地域における最近の地震活動(1998年5月〜7月) C 2 関東・東海地域における最近の地殻傾斜変動(1998年5月〜7月) C 3 関東・東海地域における電磁界変動観測結果 A 4 GPS観測による1997年3月の伊東沖群発地震前後の伊豆半島の観測点速度変化 A 5 箱根火山直下の地殻中部低周波地震 A 6 相模トラフの海底津波計でみた、1998年4〜5月の伊豆半島東方沖群発地震の 最大地震(5.7Mjma)の水圧波形 A 7 東海地震推定固着域における地震活動度変化の検出 【13】国立天文台 C 1 江刺における地殻変動連続観測 【14】地質調査所 B 1 東海・伊豆地域の地下水観測結果(1997年5月〜1998年8月) B 2 長野県西部・岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(〜1998年7月) B 3 近畿地域の地下水位観測結果(1998年5月〜7月) B 4 有馬—高槻—六甲断層帯近傍における地殻活動観測結果(1998年5月〜1998年7月) B 5 福井県・敦賀断層の活動履歴 B 6 福井県敦賀市・野坂断層の活動履歴 B 7 三重県・桑名断層および四日市断層の活動履歴 B 8 大阪府・上町断層系住之江撓曲の活動履歴 B 9 奈良県御所市・金剛断層の活動履歴 【15】水路部 B 1 男鹿半島南方に見いだされた海底活断層 B 2 友ヶ島水道及び松山港周辺海底地質構造図 C 3 GPS地殻変動監視観測 【16】通信総合研究所 B 1 新国際座標系による首都圏地殻変動観測VLBIデータの再解析と SLRデータとの比較