地震予知連絡会の活動報告
第211回地震予知連絡会(2016年05月18日)議事概要
平成28年5月18日(水)、国土地理院関東地方測量部において第211回地震予知連絡会が開催された。はじめに全国の地震活動、地殻変動等のモニタリングについての報告が行われ、続いて、重点検討課題として「平成28年(2016年)熊本地震」に関する報告・議論が行われた。以下に、その概要について述べる。
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【お詫びについて】
・今回記者会見の映像について機器の故障がありましたので、掲載できませんでした。
1.地殻活動モニタリングに関する検討
1.1 地殻活動の概況
(1)全国の地震活動について
国内で2016年2月から2016年4月までの3か月間に発生したM5以上の地震は37回であった。目立った活動としては、2016年4月1日の三重県南東沖の地震(M6.5)、2016年4月14日以降の熊本地震(最大M7.3)が挙げられる(気象庁資料3頁)。
(2)日本周辺における浅部超低周波地震活動
日向灘では、4月16日以降に超低周波地震活動が活発化し、足摺岬や室戸岬沖においても活動があった。また紀伊半島沖においても、4月上旬に超低周波地震活動があった(防災科学技術研究所資料4頁)。
(3)日本列島のひずみ変化
GNSS連続観測によると、最近1年間の日本列島のひずみには、東北地方太平洋沖地震の余効変動の影響が見られる(国土地理院資料5頁)。
1.2 東北地方太平洋沖地震関連
東北地方太平洋沖地震以降、東北地方から関東甲信越にかけて東向きの変動が見られ、累積水平変動は岩手川崎A観測点で最大約130cmに達している。また、上下変動は、宮城県から千葉県にかけての太平洋沿岸と関東甲信越地方及び青森県から北海道の襟裳岬付近にかけた地域に隆起が、岩手県沿岸及び奥羽脊梁山脈付近に沈降が見られ、M牡鹿観測点で最大約46cmの隆起が観測されている(国土地理院資料6−7頁)。海底地殻変動のデータには、釜石沖1、釜石沖2、宮城沖1で陸側へ、福島沖、銚子沖では海溝側への変動が見られる(海上保安庁資料8頁)。
1.3 プレート境界の固着状態とその変化
(1)駿河トラフ・南海トラフ・南西諸島海溝周辺
・紀伊水道周辺の非定常地殻変動
2014年半ば頃から、紀伊水道を挟んで西側の四国東部で南東向きの、東側の紀伊半島西部で東向きの非定常的な地殻変動が観測されている。紀伊水道のプレート境界面上で最大約15cmの滑りが推定された(国土地理院資料9−10頁)。
・豊後水道周辺の非定常地殻変動
2015年12月頃から、豊後水道周辺で南東向きの非定常地殻変動が観測されている。四国西部と豊後水道付近のプレート境界面上で最大約7cmの滑りが推定された(国土地理院資料11-12頁)。
・西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況
主な微動活動として、紀伊半島北部(4月1日から4月4日)、紀伊半島南部(3月30日から4月2日)、四国東部(4月14日から4月22日)、四国中部(4月29日から5月3日)で発生した(防災科学技術研究所資料13頁)。
・三重県南東沖の地震
2016年4月1日に三重県南東沖でM6.5の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型でフィリピン海プレートと陸のプレート境界で発生した。今回の地震の震央周辺では2004年にM7.4及びM7.1の地震が海洋プレート内部で発生している。1923年1月以降の活動を見ると、今回の地震の震央周辺では1944年12月7日にM7.9の東南海地震、1946年12月21日にM8.0の南海地震が発生している(気象庁資料14頁)。震源分布の詳細な解析によると、本震と余震は約10km離れている(防災科学技術研究所資料15頁)。低周波地震が2015年9月1日から2016年4月30日まで海溝軸付近に集中して発生している。本震の2日後からまとまった低周波地震の活動があった(気象庁資料16頁)。
2.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」の検討
「平成28年(2016年)熊本地震」に関して、 (1)発生の背景・原因、(2)主要イベントの地震像・前震発生直前から本震に至る過程のモニタリング、(3)今後の活動、に関して議論が行われた(コンビーナ:地震研究所・平田直委員資料19頁)。
(1)発生の背景・原因に関すること
◆地震の概要
平成28年4月16日1時25分に深さ12kmでM7.3の地震が発生した。これに先立ち、4月14日にM6.5の地震が、15日にM6.4の地震が本震の震央付近で発生した。また、熊本県熊本地方、阿蘇地方、大分県中部等の範囲でも地震活動が活発となった。一連の地震活動領域には、布田川断層帯、日奈久断層帯、別府−万年山断層帯が存在している。初動解及びCMT解は、それぞれ北西−南東方向及び南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型を示す。一連の地震の多くは概ね南北方向に張力軸を持つ横ずれ型の発震機構解をもつ。今回の地震活動の付近では、1889年7月28日にM6.3の地震が発生している(気象庁資料20-22頁)。
◆発生場
震源領域では垂直応力成分と水平最大圧縮応力がほぼ等しく、複雑な断層運動が形成されやすい場であることが指摘された(九州大学資料23頁)。
(2)モニタリングに関すること
◆震度分布
本震により震央付近の熊本県益城町、西原村で震度7の揺れを観測した。また14日発生のM6.5の地震により熊本県益城町で震度7の揺れを観測した。これらの地震を含めて、5月6日までに震度6弱以上を観測した地震は7回発生した。大分県中部では、本震とほぼ同時にM5.7の地震が、同日7時11分にM5.4(最大震度5弱)の地震が発生した(気象庁資料24-25頁)。
◆応力場・震源過程・震源分布・地殻変動
起震応力場の推定から、日奈久−布田川断層帯の北部では最小主応力軸(σ3軸)が南北に近い正断層場が、南部ではσ3軸が北北西−南南東に近い横ずれ断層場が卓越することが報告された。前震(M6.5)の波形インバージョン解析の結果、破壊開始点付近とその北北東の浅い領域に大きな滑り(最大0.7m)が推定された。本震の波形インバージョン解析から、震央の北東10㎞から30 km程度の領域に大きな滑り(最大4.6m)が求まり、阿蘇山付近にまで及ぶことがわかった。浅い領域の滑りは、地表踏査で確認された地表地震断層と整合的である。主たる破壊は地震発生から5−15秒後に生じ、約20秒で収束した。本震直後に大分県で誘発された地震について、観測波形や最大地表加速度の距離減衰から、K-NET湯布院観測点のごく近傍で1時25分40秒頃にM5.5の地震が発生したと考えられる。SAR干渉解析から、日奈久断層帯と布田川断層帯の東端から北東に延びる領域において、変位の急勾配が見られた。得られた地殻変動は、4枚の断層によって概ね説明することができることが報告された(防災科学技術研究所資料26-30頁)。震源の鉛直分布から、複雑な断層面で破壊が起きたことが示唆された。本震後の布田川断層周辺では正断層運動の地震が多く見られた。本震の初動解とCMT解の発震機構には顕著な違いが見られることが指摘された(九州大学資料31-34頁)。
◆地殻変動
GNSS連続観測から、本震に伴い最大98㎝の地殻変動が検出された。だいち2号によるSAR干渉解析から、布田川断層帯及び日奈久断層帯に沿って、顕著な地殻変動が検出された。SAR及びGNSS観測結果から推定された滑り分布モデルは、布田川断層帯及び日奈久断層帯に沿った位置に震源断層が推定され、布田川断層帯では北西傾斜の断層面とその東側延長に南東傾斜の断層面、日奈久断層帯では北西傾斜の断層面で、それぞれ右横ずれ的な動きが生じたと推定された(国土地理院資料35-37頁)。
◆地表地震断層調査
日奈久断層帯では高野−白旗区間の北部約6kmにわたって、布田川断層帯では布田川区間をやや超える約28kmにわたって地表地震断層が出現したことが報告された。これらの断層は、従来指摘されていた活断層にほぼ一致する場所に出現しているが、布田川断層帯では、これに加えて複数の平行な断層や幅広い変形帯を伴っている。日奈久断層帯沿いでは高木地区において最大約75㎝の変位が、布田川断層帯沿いでは堂園付近で最大2.2mの横ずれ変位があった(産業技術総合研究所資料38-43頁)。
現地調査から約31kmの長さの地表地震断層が確認された。布田川断層帯から日奈久断層帯沿いの地表地震断層の変位は右横ずれ変位を主体とし、右横ずれ変位は最大約2m、上下変位は最大約80cmであった。出ノ口断層沿いでは、左横ずれ変位(最大約1m)を伴う北落ちの正断層(最大約2m)があった(広島大学・熊原康博准教授資料44頁)。
(3)今後の活動に関する議論
◆前震・余震活動に関する確率予測
4月14日の地震(M6.5)の前震確率は概ね5%であったことが報告された。熊本県熊本地方、阿蘇地方、大分県中部地方における余震は、ETASモデルで予測される時間推移と調和的である(統計数理研究所資料45頁)。
◆余効変動
GNSS連続観測により、本震後約3週間で最大約2cmの余効変動が検出された。余効変動は時間経過とともに減衰している(国土地理院資料46-47頁)。
◆日向灘の地震と九州内陸の地震の関係
1900年以降に日向灘及び九州内陸で発生する地震活動を調べたところ、日向灘で発生した地震の前後0.5年間の九州内陸で発生する地震の回数が顕著に多いことが報告された(名古屋大学資料48-49頁)。
◆熊本地震による静的応力変化
本震に伴い、緑川断層帯東部、雲仙断層群、別府−万年山断層帯東部、佐賀平野東縁断層帯等で、クーロン応力の増加が見られることが報告された(東北大学資料50頁)。
3.次回(第212回)重点検討課題「余効変動と粘弾性 −日本列島広域地殻活動予測に向けて−」の趣旨説明
地震後に生じるゆっくりとした地殻変動である余効変動とその主要因である粘弾性緩和について、観測とモデル研究の現状を整理し、今後の日本列島の広域地殻活動予測に向けてどういった取組が必要か議論する予定である(コンビーナ:京都大学・平原和朗会長資料51頁)。
各機関からの提出議題
《地殻活動モニタリングに関する検討》
《地殻活動モニタリングに関する検討》 【1】気象庁 1. 地殻活動の概況 a.地震活動 O 全国M5.0以上の地震と主な地震の発震機構 ・2016年02月〜04月の全国の地震活動概況を報告する. S 東海地域の地震活動 2.東北地方太平洋沖地震関連 S 東北地方太平洋沖地震余震域の地震活動 3.プレート境界の固着状態とその変化 a.日本海溝・千島海溝周辺 S 茨城県南部の地震(2月7日 M4.6) S 福島県沖の地震(4月20日 M5.8) S 宮城県沖の地震(4月27日 M5.0) b.相模トラフ周辺・首都圏直下 S 神奈川県東部の地震(2月5日 M4.6) S 東海・南関東地方の地殻変動 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺 S 東海地域から豊後水道にかけての深部低周波地震活動 S 東海・南関東地方の地殻変動 S 静岡県西部のひずみ変化(平成25年はじめ頃〜) S 愛知県と静岡県から長野県の深部低周波地震活動とひずみ変化(2月10日〜13日) S 長野県の深部低周波地震活動とひずみ変化(3月3日〜4日,3月20日) S 東海地域の長期的ゆっくりすべり(平成25年はじめ頃〜) O 奈良県から和歌山県にかけての深部低周波地震活動とひずみ変化(3月30日〜4月1日) ・2016年3月30日から4月1日に,奈良県から和歌山県にかけて深部低周波地震活動があ り,周辺のひずみ計データに変化があった. 2016年4月1日三重県南東沖の地震に関する資料 O 三重県南東沖の地震(4月1日 M6.5) ・2016年4月1日11時39分に,三重県南東沖でM6.5の地震が発生した.この地震の発震機 構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で,フィリピン海プレートと陸のプレート の境界で発生した地震である.この地震後,約10km離れた場所で,規模の小さな余震活 動があった. O 三重県の深部低周波地震活動とひずみ変化(4月1日〜3日) ・2016年4月1日から3日に,三重県で深部低周波地震活動があり,周辺のひずみ計デー タに変化があった. d.その他 S 海溝と直交する方向の全国の基線長変化 S 中規模繰り返し相似地震の発生状況と発生確率(2016) 4.その他の地殻活動等 S 岩手沖の地震(2月2日 M5.6) S トカラ列島近海の地震活動(2月3日〜 最大M3.0) S 茨城県北部の地震(2月7日 M4.4,3月22日 M4.7) S 鳥島近海の地震(2月15日 M6.0) S 宮崎県南部平野部の地震(3月3日 M4.9) S トカラ列島近海の地震(3月14日 M5.3) S トカラ列島近海の地震(4月24日 M4.2) S 台湾付近の地震(2月6日 M6.4) S インドネシア,スマトラ南西方の地震(3月2日 Mw7.8) S バヌアツの地震(4月3日Mw6.9,4月29日 Mw7.0) S エクアドル沿岸の地震(4月17日 Mw7.8) Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 O 平成28年(2016年)熊本地震(4月14日〜 最大M7.3) ・2016年4月14日21時26分に,熊本県熊本地方の深さ11kmでM6.5の地震が発生し,この地 震により熊本県益城町で震度7を観測した. その後,4月16日01時25分に熊本県熊本地方で発生したM7.3の地震により最大震度7を 観測,4月16日03時55分に熊本県阿蘇地方で発生したM5.8の地震により最大震度6強を 観測するなど,熊本県から大分県にかけて地震活動の活発な状態が続いている. O 平成28年(2016年)熊本地震 発生状況の概要 O 平成28年(2016年)熊本地震 震度と加速度、長周期地震動 O 平成28年(2016年)熊本地震 4月16日01時25分のM7.3の地震発生直後に発生した大分県 中部の地震 O 平成28年(2016年)熊本地震 DD法および3次元速度構造により再決定した震源分布 O 平成28年(2016年)熊本地震 メカニズム解の分布 O 平成28年(2016年)熊本地震の震源過程(4/16 M7.3、4/14 M6.5、4/15 M6.4) O 平成28年(2016年)熊本地震 バックプロジェクション解析 O 平成28年(2016年)熊本地震に伴う地殻変動(PALSAR-2/InSAR解析) O 平成28年(2016年)熊本地震の活動による、本活動域および周辺活断層への影響(ΔCFF) 【2】国土地理院 1.地殻活動の概況 b.地殻変動 O GEONETによる全国の地殻水平変動 O GEONETによる2期間の地殻水平変動ベクトルの差 O GNSS連続観測から推定した日本列島のひずみ変化 O 加藤&津村(1979)の解析方法による,各験潮場の上下変動 2.東北地方太平洋沖地震関連 O 東北地方太平洋沖地震後の地殻変動ベクトル O GNSS連続観測時系列 S 成分変位と速度グラフ 3.プレート境界の固着状態とその変化 a.日本海溝・千島海溝周辺 S 北海道太平洋岸 GNSS連続観測時系列 O 2016年1月14日浦河沖の地震 b.相模トラフ周辺・首都圏直下 S 伊豆半島・伊豆諸島の地殻水平・上下変動図 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺 S 電子基準点の上下変動 水準測量とGNSS連続観測 S 高精度比高観測点の上下変動 水準測量とGNSS連続観測 S 高精度比高観測 S 御前崎地方の上下変動 S 菊川市付近の水準測量結果 S 御前崎周辺 GNSS連続観測時系列 S 駿河湾周辺 GNSS連続観測時系列 S 御前崎長距離水管傾斜計月平均 S 御前崎・切山長距離水管傾斜計による傾斜変化 S 御前崎地中地殻活動観測施設 S 東海地方の地殻変動 S 東海地方の非定常的な地殻変動 O 紀伊水道周辺の非定常的な地殻変動 O 豊後水道周辺の非定常的な地殻変動 2016年4月1日三重県南東沖の地震に関する資料 O 三重県南東沖の地震(4月1日 M6.5) 4.その他の地殻活動等 S 伊豆東部地区 GNSS連続観測時系列 S 伊豆諸島地区 GNSS連続観測時系列 S 測地VLBI観測 S 2016年4月17日エクアドルの地震に関する合成開口レーダー解析結果 Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 O 九州地方の地殻変動(水平) −熊本地震前5年間− O GNSS連続阿観測による九州周辺のひずみ分布 O 約10年間の測地観測による九州周辺のひずみ分布 O 九州地方の上下変動 O 薩摩半島西方沖の地震(11月14日 M7.1)に伴う地殻変動 O 平成28年(2016年)熊本地震前の地殻変動 O 平成28年(2016年)熊本地震(4月14日 M6.5,4月15日 M6.4)に伴う地殻変動 O 平成28年(2016年)熊本地震(4月14日 M6.5)に伴う地殻変動 O 平成28年(2016年)熊本地震(4月15日 M6.4)に伴う地殻変動 O 平成28年(2016年)熊本地震(4月16日 M7.3)に伴う地殻変動 O 平成28年(2016年)熊本地震(4月15日 M6.4)前 GNSS連続観測時系列 O 平成28年(2016年)熊本地震(4月16日 M7.3)前 GNSS連続観測時系列 O 平成28年(2016年)熊本地震(4月16日 M7.3) GNSS連続観測時系列 O 平成28年(2016年)熊本地震(4月18日 M5.8)に伴う地殻変動 O 平成28年(2016年)熊本地震(4月29日 M4.5)に伴う地殻変動 O 「だいち 2 号」による地殻変動分布図 O 緊急GNSS観測による変動量 O MAI法による断層近傍の地殻変動 O 震源断層モデル O 滑り分布 O 布田川断層帯周辺の地表の亀裂分布図 O 土砂崩壊地分布図 O 南阿蘇村河陽・黒川地区の断層について O 平成28年(2016年)熊本地震(4月16日 M7.3)の余効変動 O 「だいち2号」による地震後地殻変動分布図 【3】北海道大学 【4】東北大学理学研究科・災害科学国際研究所 Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 O 熊本地震による静的応力変化と広域余震活動 【5】東京大学理学系研究科・地震研究所 Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 O 熊本平野における活断層分布の再検討 【6】東京工業大学 【7】名古屋大学 3.プレート境界の固着状態とその変化 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺 S 南海トラフ沿いでの海底地殻変動解析結果(暫定) O 南西諸島海溝における海底地殻変動解析結果(暫定) Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 O 九州内陸の地震と日向灘で発生する地震の時間的関係 【8】京都大学理学研究科・防災研究所 3.プレート境界の固着状態とその変化 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺 2016年4月1日三重県南東沖の地震に関する資料 S 三重県南東沖の地震(2016年4月1日) 4.その他の地殻活動等 S 近畿地方北部の地殻活動 S 地殻活動総合観測線の観測結果 Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 S 平成28年(2016年)熊本地震 【9】九州大学 Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 O 平成28年(2016年)熊本地震 ・背景の応力場,地震活動,震源,メカニズム分布の紹介 【10】鹿児島大学 【11】統計数理研究所 3.プレート境界の固着状態とその変化 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺 2016年4月1日三重県南東沖の地震に関する資料 O 2016年4月1日三重県南東沖の地震(M6.1)に続く群発地震活動の統計解析 Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 O 2016年熊本地震をめぐる地震活動および余震活動に関する確率予測問題 S 2016年熊本地震前の九州地域の地震活動および余震活動の統計的モニタリング(統数研, 東大地震研) S 2016年熊本地震の前震確率予測について(東工大, 統数研) S 2016年熊本地震の多重確率予測試算(統数研) S 2016年熊本地震余震の確率予測(東大生産研, 統数研, 東大地震研) 【12】防災科学技術研究所 3.プレート境界の固着状態とその変化 a.日本海溝・千島海溝周辺 O 日本周辺における浅部超低周波地震活動(2016年2月〜4月) ・日向灘では4月16日以降に超低周波地震活動が活発化し,足摺岬沖や室戸岬沖において も活動が発生した. 4月上旬には,紀伊半島沖でも活動が観測された. c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺 O 日本周辺における浅部超低周波地震活動(2016年2月〜4月) O 西南日本の深部低周波微動・短期的スロースリップ活動状況 ・紀伊半島北部で4月1日〜4日,紀伊半島南部で3月30日〜4月2日,四国東部で4月14日〜 22日,四国中部で4月29日〜5月3日に深部低周波微動活動があった. 4月1日の三重県南東沖の地震前に発生した紀伊半島南部の微動活動は深部から浅部へ 移動するものであったが,この活動はこの地域で定期的に観測される活動である. S 関東・東海地域における最近の傾斜変動 2016年4月1日三重県南東沖の地震に関する資料 O 2016年4月1日三重県南東沖の地震(MJMA6.5)のモーメントテンソル解 ・防災科研F-netと気象庁のMT解の違いによる理論波形の違いを調査した.震央から東西 方向でのradial成分で両機関の解の理論波形に差異が見られるが,実際に観測された 波形との合いはほぼ変わらない. O 2016年4月1日三重県南東沖の地震による震源分布 ・海域の観測点のみを用いてDD法により震源の再決定を行ったところ,北東−南西方向に 走向を持つほぼ鉛直の分布が得られた. O 2016年4月1日三重県南東沖の地震および余震による高周波エネルギー輻射量 ・Hi-netおよびDONET観測点の上下動地震波形エンベロープから,本震・余震による高周 波エネルギー輻射量(4-20Hz)を推定したところ,本震発生後1時間は余震によるエネ ルギー輻射は低調であった.また,高周波のエネルギーは余震域の比較的浅部で輻射さ れていることが明らかになった. Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 O 平成28年(2016年)熊本地震 震源域およびその周辺における震源分布 ・4月16日1時25分頃に熊本県熊本地方でM7.3(気象庁)の地震が発生した.この地震発生 以降,それ以前の活動域より北西側においても地震が発生しているほか,阿蘇地方や 大分県内においても地震が発生した. O 平成28年(2016年)熊本地震 DD法により再決定した地震分布 O 平成28年(2016年)熊本地震震源域周辺のメカニズム解と応力場の特徴 ・応力テンソルインバージョン法により,震源域周辺の起震応力場を推定した.布田川 断層帯より北部ではσ3軸が南北に近い正断層場,南部ではσ3軸が北北西−南南東に 近い横ずれ断層場が卓越する.4/14のM6.5の地震前後で震源域の応力場の回転を検出し た.また,本震後は,本震震源付近に応力方向の強い空間不均質を検出した. O 平成28年(2016年)熊本地震の震源過程:4月14日21時26分の地震(M6.5) ・マルチタイムウィンドウ線形波形インバージョン法により4/14に発生したM6.5の地震の 震源過程解析の結果,Mw6.1,最大すべり量0.7mと推定された. 破壊開始点付近とその北北東の浅い領域に大きなすべりが存在する. O 平成28年(2016年)熊本地震の震源過程:4月16日1時25分の地震(M7.3) ・マルチタイムウィンドウ線形波形インバージョン法により4/16に発生したM7.3の地震の 震源過程解析の結果,Mw7.1,最大すべり量は4.6mと推定された. すべりの大きい領域は震央の北東10kmから30kmn程度の領域に広がる.浅い領域のすべり は地表踏査で確認された地表地震断層と整合的である. O 平成28年(2016年)熊本地震(M 7.3)によって誘発された地震による大分県での強震動 ・4月16日に発生したM7.3の地震直後に誘発された地震により,大分県でも強い揺れが観測 された.K-NET湯布院の北2kmのごく浅くで,M5クラスの地震が発生したとすると観測され た最大地表加速度の距離減衰が概ね説明できる. O 平成28年(2016年)熊本地震および余震による高周波エネルギー輻射量 ・Hi-net観測点の3成分地震波形エンベロープから,一連の地震活動によるエネルギー輻 射量(4-20Hz)の時間変化を求めたところ,4/16のM7.3地震発生時に大分県でも有意な エネルギー輻射があったこと,その振幅からM5クラスの地震が大分県湯布院付近で発生 していたことが明らかになった. O PALSAR-2/InSARによる平成28年(2016年)熊本地震に伴う地殻変動 ・PALSAR-2により観測されたデータを用いたSAR干渉解析を実施した.布田川断層沿いで非 干渉領域が見られるほか,日奈久断層と布田川断層の東端から北東に伸びる領域でスラ ントレンジ変化量の急勾配が見られた.得られた地殻変動は4枚の断層によって,おお よそ説明することができた. 【13】産業技術総合研究所 3.プレート境界の固着状態とその変化 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺 S 東海・伊豆地域における地下水等観測結果(2016年2月〜2016年4月) S 紀伊半島〜四国の地下水・歪観測結果(2016年2月〜2016年4月) S 東海・紀伊半島・四国における短期的スロースリップイベント(2016年2月〜2016年4月) 2016年4月1日三重県南東沖の地震に関する資料 S 三重県南東沖の地震(M6.5)前後の産総研の歪計データの変化 4.その他の地殻活動等 S 神奈川県西部地域の地下水位観測(2016年2月〜2016年4月) -- 神奈川県温泉地学研究所・産総研 S 岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(2016年2月〜2016年4月) S 近畿地域の地下水・歪観測結果(2016年2月〜2016年4月) S 鳥取県・岡山県・島根県における温泉水・地下水変化(2015年11月〜2016年4月) -- 鳥取大学工学部・産総研 Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 O 地表地震断層および古地震・地質構造からみた2016年熊本地震 ・産総研が実施した調査では,2016年熊本地震によって出現した地表地震断層は,布田川 断層帯沿いに28kmに渡って確認された.その東端は地震調査研究推進本部が事前に評価 していたものよりやや東へ延びた.また日奈久断層帯では6kmに渡って地表地震断層が 確認された. 変位量は布田川断層帯へ向かって減少することから,2つの断層帯の活動セグメントは それぞれ独立し,連続していないと考えられる. このほか地質構造や既存の古地震データとの関係についても言及する. S 2016年熊本地震に伴って出現した地表地震断層 S 余震分布と周辺の地質 S 布田川断層帯宇土区間の活断層調査 【14】海上保安庁 2.東北地方太平洋沖地震関連 O 東北地方太平洋沖地震後の海底地殻変動観測結果 ・海上保安庁が日本海溝沿いで実施している海底地殻変動観測について,東北地方太平洋 沖地震後の観測結果を報告する. 【15】海洋研究開発機構 3.プレート境界の固着状態とその変化 2016年4月1日三重県南東沖の地震に関する資料 O 3D構造による震源の分布 O 各機関における読み取り時刻の比較 O 余震波形に見られるPs変換波 余震波形と深発地震波形の比較(KME19) 相対的な位置関係 O 反射時間断面上での震源比較 【16】広島大学 Ⅴ.重点検討課題「平成28年(2016年)熊本地震」 O 2016年熊本地震の地表地震断層の分布とその特徴
記載分類は以下のとおりとなっています。 1.地殻活動の概況 a.地震活動 b.地殻変動 2.東北地方太平洋沖地震関連 3.プレート境界の固着状態とその変化 a.日本海溝・千島海溝周辺 b.相模トラフ周辺・首都圏直下 c.南海トラフ・南西諸島海溝周辺 ・三重県南東沖の地震(4月1日 M6.5) d.その他 4.その他の地殻活動等 Ⅴ.重点検討課題 ・口頭報告(O) ・資料提出のみ(S)