地震予知連絡会の活動報告

第134回地震予知連絡会(1999年8月23日) 議事概要

 平成11年8月23日、国土地理院関東地方測量部において、第134回地震予知連絡会が開催された。全国の地震活動、地殻変動の概況の報告および近畿、東海、伊豆、関東地域の地殻活動について、大学、関係観測研究機関より観測・研究成果の報告があり、議論がなされた。次に今回のトピックスとして陸域及び沿岸海域の活断層調査結果の報告があり、討議が行われた。 以下に、観測調査結果の報告と討議の内容について、その概要を述べる。

1.全国の地殻変動

 GPS連続観測による日本列島の地殻水平変動については、岩手山周辺の火山活動に関連した変動、神津島周辺の地震活動に関連した変動を除けば、その他の特筆すべき変動は見られない。
 GEONETによる最近1年間の地殻水平変動(東北日本)(国土地理院資料)
 GEONETによる最近1年間の地殻水平変動(中部日本)(国土地理院資料)
 GEONETによる最近1年間の地殻水平変動(西南日本)(国土地理院資料)

2.関東・中部周辺地域の地殻活動

 御前崎地方の地殻変動については、1999年7月の水準測量結果によると、浜岡の水準点2595は、掛川に対して前回観測よりも年周変化を取り除いた後の値でわずかな隆起となっているが、全体としての沈降の傾向は変わらないと考えられる。

 関東・中部周辺地域においては、M5以上の地震は八丈島東方沖のM5.3の地震を除けばなく、静穏な状態であった。

 東海地域における地震活動に関しても、静かな状態が続いている。
 水準点2595(浜岡町)の経年変化(国土地理院資料)
 関東・中部地方とその周辺の地震活動(気象庁資料)
 東海地方における地震活動の変化(気象庁資料)

3.関西地域の地震活動

 1999年8月21日に発生した和歌山県北部の地震(M5.4)は深さ70kmと深部で発生したが、地震後南部に比較的広い範囲に渡って余震活動が見られた。この地震は、紀伊半島に沈み込むフィリピン海プレートの最深部で発生している。この地域の地震活動は1940年代に東南海・南海地震に関連する活発な活動が見られるが、M5以上の地震は最近ではそれ程起きていない。
 和歌山県北部の地震(1999年8月21日 M5.4) その1 (気象庁資料)
 その2 (気象庁資料)

4.トルコの地震

 1999年8月17日にトルコのアナトリア断層西端付近で大きな被害地震が発生した。マグニチュードは当初の7.8から7.4に修正されている。この地震は1939年にアナトリア断層東部地域で発生した地震に引き続く一連の地震活動の中で地震空白域として以前から指摘されていた場所に起きたもので、南北に分岐した断層の内、北部の断層が動いたと推定される。
 トルコの地震(1999年8月17日) その1 (気象庁資料)
 その2 (気象庁資料)
 その3 (地質調査所資料)

(事務局:国土地理院)

各機関からの提出議題

【1】気象庁
  A1 全国のM5以上の地震活動と主な地震のメカニズム
  A1 北海道地方とその周辺の地震活動
  A1 東北地方とその周辺の地震活動
  A1 関東・中部地方の地震活動
  A1 近畿地方・中国・四国地方とその周辺の地震活動
  A1 九州地方とその周辺の地震活動
  A1 沖縄地方とその周辺の地震活動

【2】国土地理院
  A2 全国の地殻変動
  A2 東海地方の地殻変動
  A2 伊豆地方の地殻変動
  C 関東地方の地殻変動
  C 北海道地方の地殻変動
  C 東北地方の地殻変動
  C 中部地方の地殻変動
  C 中国地方の地殻変動
  C 四国地方の地殻変動
  C 九州地方の地殻変動
  C その他
  B 都市圏活断層図の刊行について

【3】北海道大学
  C 北海道とその周辺の最近の地震活動

【4】東北大学
  C 東北地方およびその周辺の微小地震活動(1999年5月〜7月)
  C 東北地方における地殻変動連続観測(1999年7月まで)

【5】東京大学大学院理学系研究科
  C 福島県東部、伊豆半島、東海地域におけるラドン観測

【6】東京大学地震研究所
  C 伊豆半島付近の地震活動(1999年5月〜7月)
  C 関東甲信越地域の地震活動(1999年5月〜7月)
  C 紀伊半島およびその周辺部の地震活動(1999年5月〜7月)
  C 瀬戸内海西部とその周辺地域の地震活動(1999年5月〜7月)
  C 1998年東北脊梁山地人工地震探査について

【7】東京工業大学
  A4 伊豆半島における全磁力変化について

【8】名古屋大学
  C 東海地域の地震活動(1999年5月〜7月)
  A4 GPSと精密重力観測による神津島における地殻変動(1996.7-1999.8)


【9】京都大学
  C 西南日本内陸部の地震活動(1999年5月〜7月)

【10】九州大学
  C 九州の地震活動(1999年5月〜7月)
  C 九州南部の地震活動(1999年5月〜7月)

【11】防災科学技術研究所
  C 関東・東海地域における最近の地震活動(1999年5月〜7月)
  C 関東・東海地域における最近の地殻傾斜変動(1999年5月〜7月)
  A4 東京周辺の浅発地震活動
  A4 霞ヶ浦周辺の地震活動
  A4 関東・東海地域の地震クラスター
  A4 1999/8/11東京湾中部の地震(H60km,M4.0)

【12】地質調査所
  C 東海・伊豆地域におけるテレメータによる地下水等観測結果
                     (1999年5月〜7月)
  C 長野県西部・岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(1999年5月〜7月)
  C 花折断層京都市大原での地殻応力値と全国の地殻応力値との比較
  C 有馬—高槻—六甲断層帯近傍における地殻活動観測結果(1999年5月〜7月)
  C 近畿地域の地下水位・歪観測結果(1999年5月〜7月)
  A5 近畿三角地帯における主要活断層の調査結果と地震危険度
  B 科学技術振興調整費総合研究「陸域震源断層の深部すべり過程のモデル化に関する
    総合研究」の概要

【13】水路部
  A4 水路部における沿岸海域海底活断層調査について
  B 周防灘西部の断層分布について
  B 函館湾の断層分布について
  C 釧路沖の海底地質構造について
  C GPS地殻変動監視観測について

【14】通信総合研究所
  B 首都圏広域地殻変動観測におけるVLBI基線解析への中性大気の影響
A1〜Cの分類は以下のとおりとなっています。
(A1)この間における全国の地震活動の報告と質疑
(A2)この間における全国の地殻変動の報告と質疑
(A3)地震活動,地殻変動以外の観測結果の報告と質疑
(A4)各地域についての詳細検討
(A5)トピックス
(B) 話題提供等
(C) 資料提出等