地震予知連絡会の活動報告

第130回地震予知連絡会(1998年11月24日) 議事概要

 平成10年11月24日、国土地理院関東地方測量部において、第130回地震予知連絡会が開催された。全国の地震活動、地殻変動の概況の報告に続いて、東海・伊豆地方の地殻活動、北海道、関東・中部、近畿地方の地殻活動等について、大学、関係観測研究機関等より観測・研究成果の報告があり、議論がなされた。次に今回のトピックスとして東海地域のプレート間カップリングについてと、9月3日の岩手県内陸北部の地震について関係機関から報告があり、討議が行われた。

 以下に、観測・研究結果の報告およびトピックスの討議について、その概要を述べる。

1.東海地方の地殻活動

 東海地方ではこの3ヶ月間、特に顕著な地殻活動はみられなかった。 御前崎地方の地殻変動については、1998年10月の水準測量結果によると、浜岡の水準点2595は前回観測よりもわずかに沈降した。年周変化を取り除いた値ではほとんど変化していない(国土地理院資料1資料2)。

 東海地方周辺では、地震活動度の変化は特に見られない(気象庁資料)。

2.東海地方のプレート間カップリング(トピックス1)

 東海地方のGPS観測データに基づきこの地域のプレート間カップリングを推定した結果からみると、この2年間では有意な変化は見られなかった(国土地理院資料)。

 この報告の他、名古屋大学から水準測量と光波測距に基づくプレート間カップリングの推定結果が示され、これらの解釈について防災科学研究所からの報告があり、これらを材料として活発な議論が行われた。

3.岩手県内陸北部の地震(トピックス2)

 9月3日に岩手県内陸北部で発生したM6.1の地震の余震は順調に減少している(気象庁資料1資料2)。

 この地震は東西圧縮のメカニズムであり、GPSの観測結果からも東西方向の基線に短縮の変動が明瞭に見られる(国土地理院資料1資料2

 地震前後のGPS観測から地殻変動の推移を見ると、地震後もあまり顕著ではないが、地震の余効変動と火山性の変動により、山体が南北に広がるような変化が残っているように見える(東北大学資料)。

 この地震に伴って地震断層が地表に現れ、全長約750〜850mが現地調査で確認された。断層は南北に走る西側隆起の逆断層で、変位量は鉛直で0.2〜0.35m、水平で0.2〜0.35m量で、確認できた区間では変位量はほぼ一定であった(地質調査所資料)。

 この地震の直前、直後を含めて、地震断層近くで大学の合同観測班が水準測量を行っており、地震直前の9月1日〜3日にかけての観測と、7月の観測との間では、全体的な隆起の傾向は見られるものの、地震断層をはさんでの顕著な変位は確認できなかった。地震直後に行った観測では、断層近傍で30cm以上の変位が確認されている(名古屋大学・大学合同観測班資料1資料2)。

 SAR(合成開口レーダー)のデータによると、9月3日の地震をはさんだ1997年11月と1998年9月の観測データから、地震とその前後の地殻活動に関連し変動が確認された。中間の期間のデータとも合わせて解釈すると、地震前には岩手山の西側で広域に隆起するような変動があり、地震による逆断層の変位がそれに加わってSARの解析結果に現れていると考えられる(国土地理院資料)。

(事務局:国土地理院)

各機関からの提出議題

【1】気象庁
 1 全国の地震活動
 2 北海道地方とその周辺の地震活動
 3 東北地方とその周辺の地震活動
 4 関東・中部地方の地震活動
 5 近畿地方・中国・四国地方とその周辺の地震活動
 6 九州地方とその周辺の地震活動
 7 沖縄地方とその周辺の地震活動

【2】国土地理院
 1 全国の地殻変動   
 2 東海地方の地殻変動 
 3 伊豆地方の地殻変動
 4 関東地方の地殻変動 
 5 北海道地方の地殻変動
 6 東北地方の地殻変動 
 7 北陸地方の地殻変動
 8 中部地方の地殻変動 
 9 中国・四国地方の地殻変動
 10 九州地方の地殻変動 
 11 沖縄地方の地殻変動
 12 その他   

【3】北海道大学
 1 北海道とその周辺の最近の地震活動(1998年8月〜10月)

【4】東北大学 
 1 1998年9月3日岩手県内陸部の地震に伴った地殻活動
 2 1998年9月15の仙台市の地震活動 
 3 東北地方およびその周辺の微小地震活動(1998年8月〜10月)
 4 東北地方における地殻変動連続観測(1998年10月まで)

【5】東京大学理学部 
 1 東海地方における地球化学的観測(10月11日前後の地下水変化)
 2 伊豆半島における地球化学的観測 
 3 福島県東部における地球化学的観測

【6】 東京大学地震研究所 
 1 東海地方の上下変動(1962-1998)
 2 伊豆半島付近の地震活動(1998年8月〜10月)
 3 関東甲信越地域の地震活動(1998年8月〜10月)
 4 長野県上高地付近の群発地震活動 
 5 紀伊半島およびその周辺部の地震活動(1998年7月〜10月)
 6 瀬戸内海西部とその周辺地域の地震活動(1998年8月〜10月)

【7】東京工業大学
 1 伊豆半島における全磁力変化

【8】名古屋大学
 1 東海地方の微小地震の分布(1998年8月1日〜1998年10月31)
 2 長野・岐阜県境の地震活動
 3 水準測量による岩手山における上下変動(水準測量大学合同観測班)
 4 光波測距・水準測量から推定した東海地域におけるプレート間相互作用の時間変化
   (1978-1997年)

【9】京大理・防災研
 1 西南日本内陸部の地震活動

【10】九州大学
 1 九州の地震活動(1998年8月〜1998年10月)
 2 九州南部の地震活動(1998年8月〜1998年10月)

【11】防災科学研究所 
 1 関東・東海地域における最近の地震活動(1998年8月〜10月)
 2 関東・東海地域における最近の地殻傾斜変動(1998年8月〜10月)
 3 関東地域における3成分ひずみ計及びIBOSによる最近の観測結果(1998年4月〜10月)
 4 関東・東海地域における電磁界変動観測結果
 5 1998年8月29日東京湾北部の地震(M5.1,H64km)
 6 個着域とバックスリップ分布のずれ 
 7 東海地震推定固着域における地震活動度変化の検出

【12】国立天文台 
 1 江刺における地殻変動連続観測
 2 東海地方の重力変化(天文台・名古屋大学・京都大学防災研究所)

【13】地質調査所
 1 東海・伊豆地域の地下水観測結果(1997年9月〜1998年11月)
 2 岩手県内陸北部の地震に伴う地震断層
 3 長野県西部・岐阜県東部の活断層周辺における地殻活動観測結果(1998年8月〜10月)
 4 近畿地域の地下水位観測結果(1998年8月〜10月)
 5 有馬—高槻—六甲断層帯近傍における地殻活動観測結果(1998年8月〜1998年10月)
 6 花折断層大津市花折峠付近および京都市大原での地殻応力測定結果
 7 1998年8月6日、小型3成分ポアホール歪計に現れた異常

【14】水路部
 1 GPS地殻変動監視観測

【15】通信総合研究所
 1 VLBI首都圏地殻変動観測における大気勾配推定の効果